承認欲求の呪縛

太田肇

 

第1章 「承認欲求」最強説

・諸外国に比べ、日本人の自己効力感や自尊感情、自己肯定感が低いことが明らかになっている。

・承認には離職を抑制する効果が。海外のある調査では、従業員が上げた退職理由の一位は「ほめ言葉や感謝が足りない」(J・M・クーゼス、B・Z・ボスナー 2001)。

・承認は認められた当人だけでなく、周囲との人間関係や職場の空気、顧客との関係などにも好影響を及ぼす。同僚同士がほめ合う取り組みや、お客さまの感謝の言葉をスタッフに届ける施策。

 

第2章 認められたら危ない

・「認知された期待」から受けるプレッシャーこそが「承認欲求の呪縛」の正体。

・「認知的不協和の理論」(L・フェスティンガー 1965)。心の中に不協和、すなわち矛盾や葛藤があると不快に感じること。もともと自分とはかけ離れた「番長」や「ヒール」キャラを演じる不快さを解消するために自分をキャラに合わせようとした結果、やがて板についてくる。世間の目が厳しくなりバッシングされるようになると、不協和を解消するためにさらに特異な言動がヒートアップしていく。

○ドツボにはまっていく過程。

・承認によって得られたものの多くは、承認されなくなったら失われる。

○失われるかもしれない恐怖に怯えて、期待に応え続けなければという強迫観念でしょうか。

 

第3章 パワハラ、隠蔽、過労死・・・「呪縛」の不幸な結末

・働く人の意識の中に残業せずに帰ったり、休暇を目一杯取ったりすると、上司や同僚からの承認を失うのではという不安が染みついているよう。(中略)育児休業や介護休暇、短時間勤務、フレックスタイムなどの制度についても同じことが言える。

・会社や上司から「認めてもらわなければならない」「期待を裏切ってはいけない」という気持ちの背後には、功利的・打算的な理由が隠れている。(中略)社会学における「交換理論」(G・C・ホーマンズ1978 P・M・ブラウ 1974)。経済学が原則とする等価交換と違い、不確実だが大きな見返りに期待して先に行う贈与に注目。将来の人事評価や昇進などを期待。

・認められ、期待されることを意気に感じる心理を利用して報酬と不釣り合いな責任を持たせたり、貢献を引き出したりするのは「承認欲求の搾取」と呼べる。

・「認知された期待」「自己効力感」「問題の重要性」が呪縛の三要素。(認知された期待-自己効力感)×問題の重要性=プレッシャー=「承認欲求の呪縛」の強さ。

・積極的な承認欲求より、いったん獲得した評価や評判を失いたくないとう消極的な承認欲求のほうが強い執着をもたらす。(中略)ときには正義感や倫理観さえ抑圧してしまう。

○損失回避。

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・「承認欲求の呪縛」は上位者が下位者に依存して生じる場合もある。共依存の関係も。

 

第4章 「承認欲求の呪縛」を解くカギは

・「認知された期待」を下げ、「自己効力感」を高め、「問題の重要性」を下げる。

・「認知された期待」をコントロールできるのは、組織では主に経営者や上司。

・金銭には人間を人格的な服従から解放する機能がある(G・ジンメル 1978)。

・日本人の自己効力感が低いのは、「承認」が不足している可能性(中略)。一方で、認め方、ほめ方によっては「認知された期待」も高めてしまう懸念も。

・承認は「鏡」。正しいフィードバックを送ることが目的。できる限り客観的な指標や具体的な事実に基づくことが大切。

・効果的なのは「自分の名を出して仕事をさせること」。

○感謝の気持ちを伝える時にもとても重要なことです。

・潜在能力をほめることは「やればできる」という自信をつける。自己効力感が高まれば挑戦意欲がわく。仮に成果があがらなくても、潜在能力に自信があれば、努力の質か量に問題があるからだと受け止められる。

・潜在能力のほめ方。1.第三者の評価を伝えることで信憑性を高める 2.ほめる理由を文章にして具体的に示す 3.他人と比較するのではなく、過去の自分と比較して進歩の度合いを客観的に理解できる指標を示す 4.普段できないことがたまたまできた時など、例外的な事象に注目する。

・自己開示には期待の重荷を下ろし「承認欲求の呪縛」を解く効果がある。

○弱みを見せることも大事。

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