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人はなぜ物語を求めるのか

千野帽子

 

第1章 あなたはだれ? そして、僕はだれ?

・ストーリーを表現する「文」には、物語(ナラティヴ)という性格がある。物語(ナラティヴ)とは、ストーリーを(口頭・手話・文字)で語る言葉の集まり。

 

第2章 どこまでも、わけが知りたい

・英国の小説家エドワード・M・フォースターは、「物語内容(ストーリー)」と「筋(プロット)の違いを強調。ストーリーは出来事を時間順に叙述するもの。年表や履歴書など。プロットと呼ぶためには因果関係が必要。

・「前後即因果の誤謬」。英国の哲学者ヒュームが指摘。人間は時間の中で前後関係にある二つのことがらを、因果関係で結びつけたがる習性を持つ。

・個別の事例をもとに、広範囲の現象に蓋然的にあてはまる傾向や法則を導くのが帰納。逆に一般的な傾向・法則を別の個物に適用するのが演繹。

・太陽は毎日昇るという一般論を演繹して生きているが、本当は毎日昇る保証はない。ヒューム曰く、人は、これまで、太陽は24時間間隔で昇ってきた(個別例の集合)から、毎日そうなんだろう(一般論)といったん帰納したものを、だから明日もそうなんだろう(新たな個別例)と演繹している、と。

・人間を含む動物は、ラッキーなことよりアンラッキーなことを強く記憶に刻み、チャンスを期待する以上にリスクを恐れて生きている。この傾向を「ネガティヴィティバイアス」と言う。これは心理学の概念だが、行動経済学者のダニエル・カーネマンは、人間は利益から得る満足よりも、同額の損失から受ける苦痛の方を大きく感じると言っている。

○損失回避性。ダニエル・カーネマン 心理と経済を語る

・情報と体験の違い。ストーリーはそれだけでは情報だが、ストーリーを表現・提示した物語(ナラティヴ)は、それを読む・聴く人に「体験」をさせるということ。

・ドイツの哲学者ニーチェの言葉。「人間は自分の存在にどのような意味があるのかという問題に苦悩したのである」「人間の問題は苦悩そのものではなく、『何のために苦悩するのか?』という叫びに、答えがないことが問題だったのだ」。

・オーストリアの脳外科・精神科医のヴィクトル・E・フランクルは、責任という概念を重視。責任とは、「問いに答える」こと。

・「なぜ私が?(こんなことに・・・!?)」と問うストーリー形式から、「人生が私に何を期待しているか?」と問うストーリー形式へと転換することで、その後の人生がそのままその問いへの答えになる。

○人間関係の解決の答えの全てが凝縮されている気がします。心の持ちようはチクセントミハイのフローに通じるものがあるかもしれません。フロー体験 喜びの現象学

 

第4章 「~すべき」は「動物としての人間」 の特徴である

・米国の臨床心理学者アルバート・エリスの「A・B・C」。人間の感情(心理的結果)の発生の仕方。A:activating event(きっかけとなったできごと)→B:belief(信念)→C:consequence(結果)。人によって抱いている信念が違うことにより、同じ出来事でも人によってリアクションが違う理由。

・他人は自分の欲求を満たすために存在・行動しているわけではなく、自分も他人の欲求を満たすために存在・行動しているわけではない。

・「自分には環境・他者を変える力がある」と思いこむコントロール幻想。

・「自分の感情の赴くままに行動する」「感情の反応が行為を決定してしまう」という筋書きを「感情行為直結説」のストーリと呼ぶ。真逆の「行為選択可能説」のストーリーも。

・感情に突き動かされて行動することは選択肢を手放すこと。自由から最も遠い。

・世界で一つだけ選択可能なものは、出来事に対する自分の態度。

 

第5章 僕たちは「自分が何を知らないか」を知らない

・「他人がどんな目的や信念を持ち、どんな推測をしているか」推測する機能を「心の理論」と呼ぶ。

・劇で、観客にはわかっているが登場人物はそれを知らない、という状況が生む効果を「劇的アイロニー(反語)」。「志村ー、後ろ後ろ!」。

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