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ダニエル・カーネマン 真理と経済を語る

ダニエル・カーネマン

 

第1章 ノーベル賞記念講演 限定合理性の地図

・「限定合理性」という言葉は、人によってさまざまに違った意味を持っています。別の言い方をすれば、たとえば道路地図と、標高を示す地図と、どこでどんな産物が取れるかという地図のように、同じ地域のことを描いているのに違った地図があるというふうに考えていただいてもいいかもしれません。

・限定合理性(中略)一般的には、人間などの主体・行為者が完全な認知・推論能力を備えていることを意味する「合理性」に対して、限られた認知・推論能力しか備えていないことをさす。ただし、「限定合理性」=「非合理性」ではないことに注意。

・私たちが「損失回避性」と名付けたもので、人は何かを得る時よりも、何かを失う場合の方に強く反応するというものです。実際、この反応は二倍も強いのです。

・ヒューリスティックとは、アルゴリズムと対比して使われる概念。(中略)「便宜的な手続き」といった意味であり、日本語では簡便法、目の子などと言われる。

人生は、運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっているの理論背景の一つでしょうか。

 

第2章 自伝

・私が人生で笑った回数のたぶん半数以上は、エイモスと一緒にいた間のことだと思います。

○著者の共同研究者であり、親友(と呼びたい!)のエイモス・トヴェルスキー。ノーベル受賞前に鬼籍に。この「第2章 自伝」は青春小説のように読めました。

 

第3章 効用最大化と経験効用

・将来の快楽や、感情の状態の予測は、現在の感情や動機の状態にアンカリングされるということだ。この結果は、「投影バイアス」と呼ばれる。

・空腹、性欲、怒りなどによって興奮している時、人は、自分が「冷静な」時にはどんな行動をするかを見誤り、逆に冷静なときには、興奮の影響を見誤る。どちらの状況でも、現在の状態からの変化が与える影響の大きさを見くびっているわけだ。

 

第4章 主観的な満足の測定に関する進展

・生活上の満足度と、様々な生理学的、あるいは医学的基準の間に相関があることは実証されている。

○風にかかりにくく、治りも早い、傷も早く治る。病は気からといいますね。

・多様な人々を標本にした場合、収入と生活上の満足度はさほど大きな関連はないが、所得そのもののレベルよりも、所得分布上での、あるいは仲間集団内でのランクの方が重要であることがいくつかの研究で分かった。

○自分の山の中での立ち位置。猿山と一緒。

・結婚の前年、および結婚した年には、生活上の満足度は上がっているが、短いハネムーンの時期を過ぎると、以前のレベルに戻っている。報告される満足度に対して、生活環境における変化が与える一時的な効果は「快楽の踏み車」と呼ばれてきた。つまり、生活における大きな変化が主観的な幸せに及ぼす効果は、一時的だということだ。

・適応について次々と出される研究成果は、満足は、長い目で見ればその人の置かれた環境やチャンスと密接な関りなどないと示唆することによって、日常的な直感にも経済学説にも挑戦状を叩き付ける。ありうる解答は、「快楽の踏み車」は、「願望の踏み車」と取り替え可能だとすることだ。

○人の欲望は計り知れないと。だからこそ、「己を知る」ことも大事です。

・下半身不随とか宝くじに当たるといったような環境への適応のメカニズムは、こうした状況が徐々に新味を失って行き、人の注意を引く時間がわずかずつ減っていくためのものだろう。

・われわれは、U指数(Uは「不快(unpleasant)」もしくは「好ましくない(undesirable)」ことを表す)という指数を提案したい。U指数は、人が好ましくない状態で過ごす時間の割合を測定するものだ。

・これはレフ・トルストイにとっても自明の直感だった。『アンナ・カレーニナ』の冒頭を、彼はこんな言葉で始めている。「幸福な家庭は皆似ているが、不幸な家庭はそれぞれにその不幸の様を異にしている」。

○だからこそ、当たり前の幸せに「当たり前に慣れないこと」。

・政策立案者にとっても、幸せという漠然としたコンセプトを最大限に大きくしようとするよりも、苦痛という具体的なコンセプトを最小限に抑えるという考え方をする方がより楽に取り組めるのではないだろうか。

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