行動経済学の使い方

大竹文雄

 

はじめに

・行動経済学。確実性効果と損失回避から成り立つ「プロスペクト理論「」、時間割引率の特性である「現在バイアス」、「社会的選好」、「直感的意思決定のヒューリスティック」の4つ。

・人間の意思決定は合理的なものから予測可能な形でずれる。(中略)金銭的なインセンティブや罰則付きの規制を使わないで、行動経済学的特性を用いて人々の行動をより良いものにすることを「ナッジ」と呼ぶ。

 

第1章 行動経済学の基礎知識

・確実なものとわずかに不確実なものでは、確実なものを強く好む傾向を「確実性効果」と呼ぶ。

・利得よりも損失を大きく嫌うことを「損失回避」と呼ぶ。

・「参照点」を上回る利得と、それを下回る損失では、同じ金額の動きであっても損失を大きく嫌う。同じ額の利得と損失では、損失の方を2倍から3倍嫌うという実験結果。

・(罰則などの)コミットメント手段は、自分自身に「現在バイアス」があり、将来先延ばし行動を取ってしまう事を知っている場合には有効な選択。

○現在バイアス。夏休みの宿題に苦しんだ人なら共感です(苦笑)。

・思考費用がかかったり、計算能力に限界があったりすることを前提に、合理的意思決定を考えるのは難しいので、「ヒューリスティックス」と呼ばれる直感的意思決定を利用してしまう。「近道による意思決定」。

 

第2章 ナッジとは何か

・ノーベル経済学賞受賞者のリチャード・セイラーは「ナッジ(軽く肘をつつく)の英語)」を「選択を禁じることも、経済的なインセンティブを大きく変えることもなく、人々の行動を予測可能な形で変える選択アーキテクチャ―のあらゆる要素を意味する」と定義。

・行動経済学的知見を用いて、人々の行動を自分の私利私欲のために促したり、より良い行動をさせないようにすることは「スラッジ」と呼ばれている。

○人を悪い意味で操る。

 

第3章 仕事のなかの行動経済学

・プロゴルファーのパーパットの成功率はバーディパットの成功率よりも高いことが研究で明らかに。損失回避によるバイアス。

・ピア効果(同僚効果)。同僚が他の労働者の生産性に与える影響。

 

第4章 先延ばし行動

・長時間労働にピア効果があれば、長時間労働する従業員が職場に入ってくると、他の従業員も長時間労働をするようになる。職場で感染してしまう。

残業学

 

第5章 社会的選好を利用する

・恩を受ければ返したいという互恵性から発生する贈与交換。参照点と賃金の差額を雇い主からの贈与だと考えて、その贈与に報いる傾向。

・贈与のイメージを意識させる。行動経済学の贈与交換の教訓は、同じだけの賃金を支払うにしても、それが贈与として認識されやすくする工夫があると効果的。

・日本人であれば、お礼を込めてお金を支払う際には祝儀袋に新札のお金を入れて渡す。

・多数派の行動を強調してナッジとして用いる研究例は多い。

 

第6章 本当に働き方を変えるためのナッジ

・計画した目標が達成できない理由二つ、目標を忘れてしまうことと、目標があってもそれを達成するために毎日何をすればよいかはっきりしないような計画になっていること。

・目標達成のために、毎日何をやればいいのかを明確にし、毎日の課題さえこなせば、自動的に目標を達成できる。(中略)まずは具体的な行動予定までスケジュールに書き込むことが、目標達成の第一歩。

応援クリック、励みになります!

にほんブログ村