フォーカス

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ダニエル・ゴールマン

第1章 鋭敏な能力

・自己管理能力の基礎となるのは自己認識であり、対人関係スキルの基礎となるのは共感。

・デジタル機器に夢中になれば、生身の人間と交流する時間が犠牲に。非言語的サインを「読む」練習の機会が奪われるということ。

・アメリカでは、ゲームをする8歳から18歳の子供たちの8%前後が依存症と判定。こういう児童たちがゲームをしている時、報酬に関する神経回路においてアルコールや薬物の依存症患者と同様の変化が起きている。

○スマホ等も同じなのでしょうか。

第2章 基本

・人生に欠くべからざる能力の一つとしての集中力。リチャード・デイヴィッドソンは、集中力が高まっている状態において前頭前皮質が意識の対象と同調することを発見し、これを「位相同期」と呼ぶ。(中略)集中が強ければ強いほど「位相同期」も強くなる。集中が切れてよそ事を考えたりすると、同期は解消してしまう。

・フロー状態をより多く経験するためには、仕事と好きな作業が一致することが重要。(中略)フロー状態に達する道の一つは、能力の限界ギリギリの「なんとか達成できそうな」目標にチャレンジすること。もう一つは、情熱を燃やせる対象を選ぶこと。(中略)最終的には100%の集中を通過しなくてはフローには至らない。

○楽しく仕事をすること。精神のコントロールも必要かもしれませんが。

第3章 心の中のトップ・ダウンとボトムアップ

「SQ 生き方の知能指数」では、「表の道」と「裏の道」。

・「ボトム・アップ(下から上へ)というフレーズは、認知科学において脳の深い部分からの働きかけについてよく使われる言葉。「トップ・ダウン(上から下へ)」は、主として大脳新皮質レベルからの働きかけについて使われる。大脳新皮質は皮質下の回路を監視し、新皮質の目標を実行させようとする。二つの脳が働いているかのように。

・我々は自分が意識的に捉えている世界こそが脳のはたらきの全てだと思いこんでいるが、実際には脳のはたらきの大部分は舞台裏のボトム・アップ・システムによって処理されている。

第4章 「うわの空」でいるメリット

・「マインド・ワンダリング(心の徘徊)」、すなわち精神活動の対象から注意がそれて徘徊する心の動き。意味のあることから遠ざかる思考ではなく、意味のあることへ向かって行く思考。

・セレンディピティ(幸運なひらめき)を活かすには、可能性をキャッチする開いた意識性に加えて、ひらめきを実現化するための集中力も必要。

・創造的なひらめきが浮かぶ直前、マインド・ワンダリングに関係する脳の領域が活発になることがわかっている。

・新発見のエピソードは、散歩中や入浴中あるいは長時間のドライブや休暇中に素晴らしいアイデアがひらめいた、といった記述に事欠かない。開かれた時間は創造的精神を活性化させる。

○普段考えているからこそ、のんびりした時間に「ボトム・アップ」が勝手にやってくるのでしょうか。

第5章 集中と夢想のバランス

・安らげる環境の中でのんびりして、トップ・ダウンの回路から受動的なボトム・アップの回路へ切り替えること。「休息に最も効果的なのは自然の中に身を置くこと」。注意回復理論を提唱するスティーヴン・カブラン。

第6章 人生の内なる指針

・人生の内なる指針。決め手は自己認識。自分の内なる肉体の声を正確に聞き取る能力。(中略)経験に基づく決定則は、人生のあらゆる出来事を収集し、保存し、順序立てて整理する大脳皮質下の神経ネットワークが担っている。

大脳皮質下の領域は大脳新皮質の言語野とは密につながっていないが、内臓とは密につながっている。人間の価値観は、まず最初に正しいか間違っているかを内臓レベルで感じ取り、そのあとで感じ取ったことを理路整然と言葉にする。

身体心理学

・ある選択が間違っていると感じたり正しいと感じたりする時の身体感覚を「ソマティック・マーカー」と神経科学者のアントニオ・ダマシオは呼ぶ。このボトム・アップ回路が直観という形で結論を瞬時に知らせてくれる。トップ・ダウン回路が理性的な結論に到達するのはそれよりはるかに遅れる。

第8章 「自制」のコツ

・認知科学によれば、注意には限りがある。ワーキング・メモリーには同時に処理できる容量に限界があり、容量の一部が不安に使われてしまうと例えば数学に振り向けられる容量が小さくなってしまう。

・心の領域では、意志力はトップ・ダウン系とボトム・アップ系のせめぎ合い。意志力とは、衝動や情熱や習慣や渇望に駆られても目標に集中し続ける能力。この認知制御は「熱い」情動反応(迅速で衝動的で自動的)に圧倒されずに目標を追求しようと努力する「冷静な」回路の働き。

第10章 「共感」の3つのかたち

・「認知的共感」。他者の視点に立ち、精神状態を理解し、胸中を慮りながら自分の情動を管理できる。トップ・ダウン回路。

・「情動的共感」。相手と気持ちを共有し、相手が感じている喜びや悲しみと肉体的にも共鳴。自動的で自発的なボトム・アップ回路が主。

・「共感的関心」。他者を心配し、必要ならば援助の手を貸す。思いやりと愛着の思いやりのボトム・アップ回路上に成立しつつ、他者の幸福が自分にとってどのくらい重要であるかを評価する思慮的なトップ・ダウン回路も関係。

・興味深い会話。聞き手の脳は話し手の脳と親密につながっている。(中略)理解が最上のレベルに達したとき、完全に集中し理解し合っている二つの脳の驚くべき反応。聞き手の脳波が1秒か2秒ほど話し手の脳波を先読みした形で表れる。

○脳波が呼応するのは知っていましたが、先読みとは!

第11章 社会的感受性

・心理学者ダッカ―・ケルトナーは、「裕福な人々は他者のニーズにさほど気を使わなくても暮らしていけるから、他者の苦境に気付きにくいおそれがある」と主張。

○初心忘るべからずを肝に銘ずること。

第16章 ゲーム脳の功罪

・「同時に発火するニューロンはつながりあう」と心理学者ドナルド・ヘップが表現。脳には可塑性があり、日々の経験を通じてたえず回路を形成し直している。

第19章 必要な3つの集中力

・直観を研究している学者たちは、感覚を情報の一つとして活用するのは「一般的に見て理にかなった判断戦略」であり、超理性主義者が主張するような「間違いのもと」ではないと結論づけ。情報源の一つとして自分の直観を読み取ろうとするのは、脳が無意識のうちに収集した膨大な量の決定則を利用すること。

・優れたリーダーであるためには、自己への集中、他者への集中、外界への集中の全てが必要。

・ペースセッター型のリーダーにとって苦手な対人スキル - 傾聴・動機づけ、影響、協力。ペースセッター型のリーダーは共感を欠いている。

第20章 優れたリーダーの条件とは

・目標に集中するときに使う神経回路と人間関係を観察するときに使う神経回路は別で二つの神経回路はお互いに抑制しあう。「優秀なリーダーは、数秒のうちに二つの回路を行ったり来たりしている」とリチャード・ボヤツィス。

○人間関係だけにこだわりすぎてもいけないということだそう。バランスが難しい。

・ヴァネッサ・ドラスカットによると、優秀なチームは、くすぶる不和を表面化させて沸騰する前に処理するなど、集団の自己認識を高める努力をしている。

・スティーヴン・ウォルフは「集団が知性を発揮するには二つのことが必要。マインドフル・プレゼンスと安心感」だと。

・マインドフル・プレゼンスとは、現状を認識してそれを掘り下げようとする意識。(中略)否定的な感情はちゃんと向き合えば最後には成果をもたらしてくれる。否定的な感情を抱いたら、そこで立ち止まって「これは何だ?」と自問すること。

・集団で自己認識を高めていけば、感情の行き違いを解消することができる。優秀なチームの特徴。メンバーの否定的な感情を口に出し、話しやすい雰囲気を持っている、とウォルフ。

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