思考の整理学
思考の整理学
外山滋比古
グライダー
・人間には、グライダー能力と飛行機能力。受動的に知識を得るのが前者、自分で物事を発明、発見するのが後者。
・自分で翔べない人間はコンピューターに仕事を奪われる。
不幸な逆説
・あえて教え惜しみをする。焦らせておいてからやっと教える。といってすぐに全てを教えず、本当のところは中々教えない。教わる側のため。
○考えさせる意欲を持たせる。ただ、昔よりは興味を持たせる工夫も必要でしょう。背水の陣でない限り。
・ギリシャ人が人類史上最も輝かしい文化の基礎を築きえたのも、彼らに優れた問題作成能力があり、「なぜ」を問うことができたから。飛行機能力が素晴らしかったから。
朝飯前
・寝て疲れを取った後、腹に何も入っていない、朝のうちが最高の時間。いかにして朝飯前の時間を長くするか。
○早く寝ること、でしょうか(笑)
醗酵
・二年か三年はそっとしておいたら、人間は正本に対して常に異本を作ろうとする。
寝させる
・「三上」。優れた考えが浮かぶ場所、馬上・枕上・厠上。
・思考の整理法として大切な「寝させる」。
・幸運は寝て待つ。一夜漬けのようにさっとできあがることもあれば、何十年という沈潜の後に形を整えることも。無意識の時間を使って考えを生み出すことに関心を持つ。
カクテル
・AからDまでと(自分の考えである)Xを全て認め、これを調和折衷させるのが本当のカクテル論文。
○社会構成主義って、これの事かもしれません。⇒関係からはじまる
エディターシップ
・「知のエディターシップ」。頭の中のカクテルを作るには、自分自身が独創的であるかはさして問題ではなく、どう組み合わせどう並べるかが緊要。
○執筆の経験をさせていただいて一番思ったことがまさにこれでした。きっと全くもって別物になってしまうのだと思います。Kさんに感謝です。
(と、宣伝(笑))
触媒
・無から有を生ずるような思考などめったに起こらない。既に存在するものを結び付けることによって新しいものが生まれる。
・発想の母体は触媒としての個性。
○個性を個性と思わせない・・・?
・寝させておく、忘れる時間を作るというのも、主観や個性を抑えて、頭の中で自由な化合が起こる状態を準備することにほかならない。
アナロジー
・アナロジーを用いて、未知を解くもっともありふれた方法としてよい。
○例えていう事で、自分に腑に落ちることはありますね。
セレンディピティ
・18世紀イギリスの童話「セイロンの三王子」を基にした造語。
・意思の力だけで全てを成し遂げるのは難しく、無意識の作用に負う部分が時には極めて重要。
情報の「メタ」化
・思考の整理とは、低次の思考を、抽象のハシゴを登ってメタ化して行くこと。(中略)誤解の多いコミュニケーションを救うには、抽象のハシゴを下りて、二次的・三次的情報を一次的情報に還元するのが有効。
○アブストラクトを読むだけでもよい、と言ってもらえた(と理解した)私には、グッとくるお話です。
スクラップ
カード・ノート
○発想法。
○スクラップ、カード・ノートとも、PCで代用できるからこそ、時には、若しくは人によってはアナログの手法が有効なのでは。私にとっては「マインドマップ」がそれです。
つんどく法
・人には向き不向きあり。優れた方法であっても、自分に合わないこともたくさん。
手帖とノート
・寝させている間に、息絶えてしまったのである。そうなったら惜しげもなくすてる。寝させている間に太らないようなのは、つまり縁がなかったのである。
○この文章、怜悧な中に、温かみがあるような気がして好きです(笑)。
メタ・ノート
○楽屋裏を見せていただきました(笑)
整理
・人間の頭は一部は倉庫の役を果たしながら、新しいことを考え出す工場に。(中略)工場の整理にあたるのが「忘却」。
・忘れるのは価値観に基づいて忘れる。面白いと思っていることは些細な事でもめったに忘れない。
忘却のさまざま
時の試練
・原稿の時と全く同じ意味を持ったままで古典になったという作品は、古今東西ないはず。(中略)時の試練とは、時間の持つ風化作用をくぐってくること。言いかえると忘却。(中略)思考の整理には忘却が最も有効。
すてる
・知識は初めのうちこそ多多益々弁ずだが、飽和状態に達したら、削り落とし、精選の原理を発動させなくてはならない。
○捨てなければ入ってこない。起業当初にこの言葉に励まされました。
とにかく書いてみる
・書き直しの労力を惜しんではならない。(中略)原稿に書いたものを推敲する場合でも、音読すると、考えの乱れているところは読みつかえるからすぐわかる。
○セリフはまさにこれです。
・琵琶法師の集団的功績。思考はなるべく多くのチャンネルをくぐらせた方が整理が進む。
テーマと題名
・一文で言い表せたら、その中の名詞をとって、表題とすることは何でもないはず。思考の整理の究極は、表題ということ。
ホメテヤラネバ
・人間はほめるよりもけなす方が上手くできている。頭のいい人ほど欠点を見つけるのが上手く、長所を発見するのが下手。
○観察者バイアスもこれかも。
しゃべる
・とっておきの考えは、やはりとっておかないといけない。話してしまうと頭の内圧が下がる。留飲を下げたような快感。するとそれ以上考え続けようとする意欲が失われる。(中略)創作へのエネルギーはとかく代償行為で肩代わりされやすい。
談笑の間
垣根を越えて
・新しい思考を生み出すにもインブリーディングは好ましくない。
○越境学習。
三上・三中
・三多とは「看多(多くの本を読む)」「做多(多く文を作る)」「商量多(多く工夫し、推敲する)」で、文章上達の秘訣三ヶ条。
・「無我夢中」「散歩中」「入浴中」が良い考えが浮かぶ状態であると考えられ、いずれも「最中」。
○うまいことを言いますね(笑)
知恵
・本に書いていない知識。(中略)誰も教えてくれない知識がどれくらいあるかしれない。
○これを集合知にしてくれたのがグーグル先生なのでしょうか。
ことわざの世界
・ことわざという高度の定理化。(中略)具体例を抽象化し、さらに定型化したのがことわざの世界。
第一次的現実
・物理的現実を第一次的現実、頭の中の現実は第二次的現実。
・第一次的現実の思考の結晶した最も通俗なものがことわざ。
既知・未知
拡散と収斂
コンピュータ
○自律型人材の必要性。
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