Pocket

サイコパスの真実

原田隆之

 

はじめに 隣のサイコパス

・サイコパスとは、良心を欠いて生まれた人々。(中略)良心を欠いたサイコパスは究極の自由を謳歌しているようにも見える。

 

第2章 サイコパスとはどのような人々かーサイコパスの特徴

・ハーバード大学の心理学者、マーサ・スタウト(Martha Stout)はサイコパスについての中心的な特徴を「良心が欠如していること」と簡潔に示している。

・危険な人は魅力的とはよく言われるが、カリスマ性と呼んでもよいほどの表面的な魅力がある。

・洗脳のテクニックこそサイコパスの得意技。習ったテクニックではなく、生まれながらに備えている天性のスキル。サイコパスが他人を騙し、操作する目的は、相手を自分の支配下に置くため。

・良心が欠如している状態とは、他者への思いやりや配慮を欠き、愛という感情のない状態。

・共感性には、「認知的共感性」(心理学では「こころの理論」と呼ぶ)と、「情緒的共感性」の二つがある。「認知的共感性」は他人の言動や表情から気持ちを推察する能力、「情緒的共感性」は頭で推察した上で同じように追体験する能力。

 

第3章 マイルド・サイコパスーサイコパスのスペクトラム

・スティーブ・ジョブズのパーソナリティには、毀誉褒貶相半ばするものが。偉大な起業家・革新者として尊敬を集め称えられる一方で、その尊大さ、冷淡さ、激しさなどは広く伝えられている。

・ジョブズの冷淡な面は、慈善活動に全く関心を示さなかったところにも表れている。(中略)アメリカの億万長者は慈善活動に熱心な人が多いが、ジョブズは例外。

○多くの起業家の謙虚さは「畏れ」があるような気がしますが、その畏れさえも超越した人だったのでしょうか。

・アメリカの神経学者、ジェームズ・ファロン(James Fallon)は、サイコパスと呼ばれる者の脳画像には独特の特徴があることを見出していた。(中略)殺人者の脳画像が紛れ込んだと思っていたものをチェックした結果、自分自身の脳画像がサイコパスの特徴を備えていたことに気づいた。

○衝撃的な展開!

・ファロン自らを称して「マイルド・サイコパス」「向社会的(社会に適応した)サイコパス」と呼んでいる。ジョブズやトランプ大統領のような「成功したサイコパス」よりは「マイルド」な印象。

○存命中の有名人で「サイコパス」と名指しされるのもすごいです。

・「職場のサイコパス」は「成功したサイコパス」ほど傑出した大物ではなく、どこの企業や組織にもいるサイコパス的な人々。指導的な地位に昇進したときに「害」を発揮。ハラスメントや不正や企業犯罪に関わったりなど。

・オックスフォード大学の心理学者、ケビン・ダットン(Kevin Dutton)は、サイコパスの数ある特徴の一つ一つを、調光器やオーディオのコンソール・ボックスに並んだたくさんのダイアルになぞらえ、それらを左右に回して調節することによってさまざまなサイコパス像が浮かび上がるとし(「コンソール・ボックス説」)(中略)「”緻密に調整されたサイコパス特性”なるものを、ある程度必要としている職業がある」と述べる。

・ミネソタ大学の心理学者、デビッド・リッケン(David Lykken)は、サイコパスを危険な存在とする恐れ知らずで大胆不敵な傾向に、適切な社会化が伴えば、リーダーシップやヒーローが生まれると述べている。

・悪性サイコパスと良性サイコパスの違い。「代償過程論」は、サイコパス特有の問題性は全て有していても、自らの高い能力を駆使すれば犯罪という手段を取らなくても、目的を達成することが出来る。という論。また、生育環境や教育機会にめぐまれていたためにサイコパス特徴の発現が抑制されたケースもあるのでは。

・悪性の犯罪的サイコパスはサイコパス特性に加えて、自己愛傾向(ナルシシズム)と、目的のためには手段を択ばない傾向(マキャベリズム)が加わったものとする説。「ダークトライアド(暗い三徴候)」。

SQ 生き方の知能指数

 

第4章 人はなぜサイコパスになるのかーサイコパスの原因

・サイコパスには確かに遺伝的影響が大きいがその発現においては(中略)生物学的要因のみでサイコパスになることもなければ、環境要因だけでサイコパスが誕生するわけでもない。

・生まれもった本人の生物学的な脆弱性は、環境的ストレスと組み合わさった時に問題として発現しやすくなるという「ストレス脆弱性モデル」。

・ポルトガルの神経学者、ダマシオ(Antonio Damasio)は、我々の判断や思考に影響を与える生理的な反応のことを「ソマティック・マーカー(生理的信号)」と呼び、正しい行動の決定には冷静な思考だけでなく、感情やそれに伴う生理的反応も重要な影響を及ぼしていると強調。

・扁桃体の属する大脳辺縁系が「情動脳」と呼ばれ、脳の一番前に位置する前頭前皮質は「理性脳」と呼ばれる。(中略)前頭前皮質を上部(背側部)と下部(眼窩部、腹側部)に分けると、上部は冷静な思考や判断などと関連する「冷たい脳」、下部は感情、倫理などに関連する「温かい脳」と考えられている。

・外部からの刺激に対して、扁桃体由来の衝動的なアクセルを踏み込み、不安や恐怖心という感情的ブレーキを欠いたまま、倫理や共感性という「温かい脳」による歯止めもなく、自らの欲求充足のために他人を搾取し、暴力をふるうのがサイコパス。

○ボトム・アップからの抑えが聞かないと行くことでしょうか。

フォーカス

・神経伝達物質セロトニン。感情の調節。サイコパスにおいて、セロトニンを分解する酵素(モノアミン酸化酵素<MAO>)に異常があることが判明している。サイコパスは「戦士の遺伝子」と呼ばれる<MAO-L(※長型)>を持ち、MAO-Lはセロトニンを分解する酵素の産出を抑制。セロトニンがシナプス間隙に留まり続けるが、ホメオスタシス(生体が恒常性を維持しようとする)が働き、セロトニンの生体への過剰作用を軽減するためにセロトニンレセプターの数が減少。セロトニンに対して感受性のない脳に。ファロンはこの状態を「大量のセロトニンが放出されても脳は聞く耳を持たなくなっている」と表現。怒りを鎮める働きをする脳の仕組みが永続的に変化してしまっている。

・ファロンは、サイコパスの病因について「三本脚のスツール」説を提唱。①前頭前皮質眼窩部と扁桃体の機能異常、②いくつかの遺伝子の変異体(戦士の遺伝子など)、③幼少早期の精神的、身体的、性的虐待。

 

第5章 サイコパスは治るのかーサイコパスの予防、治療、対処

・暴力が日常的であった時代、サイコパスは現代ほど目立つ特異な存在ではなく、その勇敢さや冷酷さなどを武器に、優秀な指導者や英雄になっていた可能性も大きい。

・治療において、「あなたが悪いのだから、変わらなければならない」というメッセージではなく、「これまでの行動を続けていれば、あなたの損にもなるから、別の行動を取った方がよい」というメッセージを伝えて治療のモチベーションを高める。

・罰や叱責などの懲罰的な方法はとらず、プラスの変化を褒めて強化する、(後略)。

 

第6章 サイコパスとわれわれの社会ー解決されないいくつかの問題

・神経犯罪学者のエイドリアン・レインは、「ロンブローゾ・プログラム」という予防策を提案。男性は18歳になると全員、脳スキャンとDNA検査を受けることを義務付けるという政策。(中略)「陽性」と判断されれば、特別な施設に無期限の収容」。

・「親免許制度」の導入。

○刺激的な提案をすることで議論の機会をつくること。

応援クリック、励みになります!

にほんブログ村