教室における非言語的コミュニケーション

教室における非言語的コミュニケーション
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【1章 教室の文脈】

・非言語的シグナルの重要性については、二つの大きな理由があります。第一は、教室の複雑さです。(中略)25人から30人の人間をいちどきに扱わなければならないからです。

・非言語的チャンネルは話し言葉よりもあいまいであり、これが非言語的シグナルの重要性の第二の理由です。(中略)非言語的コミュニケーションのあいまいさは、それ以外での方法では無礼になるようなメッセージを、押しつけでないやり方で伝えるには理想的です。

<非言語的コミュニケーションとは>

・教師は授業がうまくいっているかどうかについて、子どもたちの表情からの判断に主に依存するようになります。説明の上手でない人は、子どもたちの表情をモニターしようとせず、子どもたちが知らない言葉を自分が繰り返し使っていることに気づきません(Brown & Armstrong,1984)

○小学生でも分かるように噛み砕くこと。

<非言語的シグナルのあいまいさ>

・話し手がどちらかといえば隠しておきたい情緒が、非言語的態度に現れてしまいます(Ekman & Friesen,1969a)。

<教室はユニークか>

・一般的には、子どもたちは教師からのシグナルも教師でない人のシグナルも同じように解釈します(Neill,1989b)。

○まずは、安心できるかどうかでしょうか。

<要約>

・非言語的行動は、教室のなかでたいへん重要です。なぜなら、教師も子どもたちも、語られたメッセージよりも非言語的行動を信じるからです。

【2章 子どもの非言語的能力とその発達】

<年齢とともに増す非言語的行動の洗練さ>

・子どもたちは、ある範囲の生まれつきのシグナルを持ってスタートします。(中略)それらは学習された可能性が非常に少ないかなり初期の年齢段階やさまざまな文化で表れます。微笑や笑いといったいくつかの表情が一つの例です(例えばHinde,1987)。

<会話とイントネーションの発達>

・子どもは早い年齢段階から自分より小さい子に話すとき、自分で母親ふうを生み出すことができます(Ellis & Beattie,1986)。

○お姉さん・お兄さんぶり。かわいいです(笑)

【3章 支配性と自信のなさのシグナル】

<教室の社会構造>

・教室での争いは、義務教育の導入以来、子どもたちが教師や仲間とけんかしたり、交渉するといった形態で起こります(Humphries,1981)。

・彼らはクラスのみんなが適切と考える指導に忠実に従わない教師を処罰する準備ができているのです。

○それに耐えるのは辛いから、体罰に頼らざるを得なかったのが昔の教育。子どもと対等に向かい合うのはエネルギーがいります。

<教室の支配>

・もし低レベルの違反が即座の少し不安な処罰を引きだすならば、子どもたちは高レベルの挑戦に対して教師の反応がどんなものになるかについて推論できます。(後略)(Partington,1984)。

・教師の行動がすべての面で一貫していれば、子どもたちは教師の行動の認知の強さに応じて自分を統制するのです。

・穏やかさ、公正さ、明確なルール構造、および適した罰によって、そのルールに従わせる教師を子どもたちは好みます(Lovegrove & Lewis,1982;Lewis & Lovegrove,1984)

○えこひいきをしないこと。これ、研修にも言えることでもあります。

<穏やかさとストレスを示す行動パターン>

・有能でない教師は、授業中、より多くの防御的シグナルを用いました。(中略)有能な教師は指差しシグナル(Morris,1977)や全体の授業にまたがり、課題について話しているあいだ、しかも特に対決のあいだに、手のひらを前に出すといった統制ジェスチャーを用いるのです。

【4章 注目-ポジティブとネガティブ】

<注目と教室における子どもたちの役割>

・答えられないような質問を教師から投げかけられて気恥ずかしい思いをしたくないときには、子どもたちは本当の理解水準を隠すことができるのです。

・Hook  & Rosenshine(1979)によれば、子どもたちの授業に対する見方は外部の者の見方と一致しており、教師の見方よりも正確です。

○子どもはしたたかです。自分が子供の頃のことを省みると、本当にそう思います(苦笑)

<子どもたちの興味のシグナル-凝視>

・Peterson & Swing(1982)は、小学校の高学年(5,6年)の算数の授業をVTRに収めました。(中略)Peterson & Swingの考えによれば、子どもたちを見張ってそれを推測するよりも、興味をもっているか、理解しているかを子どもたちにたずねるほうが教師には良策です。6-7歳の子どもたちでさえ、注目しているフリをすることができるからです。

【5章 熱意の伝達】

<授業における説得行動>

・中学校や大学でのVTRを使った研究から示唆されるのは、有能な教師は、平均的な教師や有能でない教師にくらべて、非言語的に熱心さをたくさん伝えているということです(Willett,1976;Neill,1986b)。

<教室における相互作用の調整>

・教師の中には、一人の生徒だけを凝視しつづける者がいます。教室のなかのほかの生徒を無視して、一対一の場面に戻してしまうのです。それとは別に、黒板を見たり、自分のノートを見たりすることにより、教室の生徒みんなからの凝視を避けます。

○凝視に耐えられないなら、なぜ教師になったのか?なんて素朴な疑問がわきます。

<アイディアを構成するジェスチャー>

・熱心な教師がほとんど共通に用いる姿勢に関連して、限定的な証拠があります。すなわち、体の前傾がそれです。これは、接近の意図動作です(Morris,1977)。

○前のめりには熱さを感じさせるオーラがあると思います。空回りには注意しないといけませんが。

【6章 関心と親密さの表現】

・非言語的行動は、カウンセラーを、より親密で、信頼でき、知識にあふれているかのように印象づけます(Robbin
ns & Haase,1985)。

<生徒のフィードバックの効果>

・Klein(1971)は、大学生に対し、15分ごとに非常勤講師に対する反応を変えるように事前に打ち合わせました。(中略)学生の中立的なふるまいは、教師を激励するようです。なぜなら、ポジティブと中立のあいだには、講師の行動になんらの違いがみられなかったからです。(中略)Kleinの感じたところによれば、学生のネガティブなフィードバックは、ポジティブなフィードバックよりも影響が強く、潜在的に学生への関心を損ねました。

<向社会的行動に及ぼす教室環境の効果>

・Rowe(1974)は、子どもが答えの次の部分を作り出すために沈黙しているとき、多くの教師が子どものじゃまをしがちであることを見つけています。(中略)子どもに考える時間を許せる教師は、より思慮深く、援助的と見られます。

○沈黙の時間に耐えることは、講師のつとめだと思います。

<ほめる>

・Brophy(1981)(中略)の驚くべき結論の一つは、教師からの賞賛を引き出すのが非常にうまい子どもたちがいることです。(中略)子どもたちは教師の行動を強化し統制している、と結論づけています。ほかの報告(Garner & Bing,1973)は、教師は社交的な子どもを好むことを確かめています。

○教師も人間ですからね。

【7章 対人距離と教室のレイアウト】

<列とテーブル>

・Wheldall & Olds(1987)の性によって座席配列を変えるということです。ふだん、男女別々のテーブルに座っているクラスで、子どもたちが男子と女子と並んで座るように求められたのです。子どもたちは、結果として課題により多くの時間を費やしました。(中略)課題にとりくむ時間は、男女がいりまじった集団で90%、男女が別々の集団で75%以下でした。(中略)もう一つの研究は、13~14歳の中学生クラスで矛盾した結果をもたらし(後略)。

○小学生は、同性同士のほうが仲が良い。中学生は、思春期。大人の研修では、グループ内に女性がいると、グループワークが盛り上がることが多いです。

【8章 空間の使用】

<保育学級デザインについての研究>

・Moore(1987)は、子どもたちが環境によって操られるとみる伝統的な見方は、彼ら自身の発達における子どもたちの能動的な働き、および彼らが使用することになる状況を正しく見抜くことのできる能力を正当に評価していないと主張しています。(中略)子どもたちは、Cooper(1979,1981)の研究での教師に劣らず、外部機関の作成した教育計画を破壊することができるのです。

○1994年の本なので、今の知見は違うと思いますが、子どもって、ホントに、大人の想像を越えていきます。

【9章 集団間の差異】

<要約>

・非言語的コミュニケーションは、メッセージを伝えるために用いるシグナルを統制する送り出しルールと受け手が受け取ったメッセージを解釈する読み取りルールの両方を含んでいます。これらのルールはめったに表に現れませんので、送り手と受け手が異なった集団に所属しているとき、問題が生じてきます。

○異文化コミュニケーションの難しさの一つ。

【10章 教師の訓練への示唆】

<面接と非言語的スキルの影響>

・Coleman(1985)は、教師-訓練の志願者についての面接者の評定が、同一の志願者を評定したときでさえ、かなりばらついていることを発見しています。

<教生に対する子どもたちの知覚>

・小学校の生徒も中学校の生徒も、教師のスキルの正確な判定者です(Cortis &Grayson,1978;Meighan,1977)。生徒の意見は指導主事や実習指導教師といったほかの判定者の意見と一致しています(Hull,1985)。

<教師の非言語的スキル訓練についての研究>

・Raymond(1973)は、(中略)。その結果、非言語的訓練を受けた教生は、よりポジティブな非言語的行動を示すことが明らかになりました。生徒は、非言語的にポジティブな教師を、授業の上手な教師とみなしました。

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