脳の誕生

大隈典子

 

第1章 脳を構成する細胞の世界

・代謝回転(metaboric turnover)。細胞を構成する分子たちが次々と置き換わる。軸索を取り巻く髄鞘さえも高い代謝回転率がある。

 

第3章 脳の区画の成立

・身体の部分を規定する働きのある「ホックス遺伝子」。染色体上のホックス遺伝子の並び方と胚の中での発現パターンは脊椎動物とショウジョウバエに相関性。

 

第5章 ニューロンの移動

・大脳皮質で生まれたニューロンは建物が徐々に積みあがるように放射状に移動し、脳の内側から外側へ「インサイド・アウト」に形成される。(中略)「Inside Out」は「あべこべ」という意味があり、ディズニー映画のタイトルに。大脳皮質構築のことも込めて。

○邦訳では「インサイドヘッド」に。「教育は以前、多分に楽しむ能力を訓練することだと考えられていた」というのが如実に出ます。

 

第6章 脳の配線はどのようにつくられるか

・シナプス前ニューロンは自身の生まれた番地に合った相手を(分子による)濃度勾配を感知して見出す。実際は「反発因子」として働くのでシナプス前ニューロンは「嫌な相手を避ける」ことで、結果として適切なシナプス後ニューロンと出合う。

 

第7章 ニューロンの生存競争

・生体は予め必要な量以上のニューロンを産生することにより、バックアップを用意。

・シナプス形成の最終段階では神経活動に応じて、シナプス結合に強弱が生じる。シナプス結合ができなかったニューロンは、標的からの神経栄養因子を受け取ることができずに細胞死を起こす。このように脳の配線ができあがる。

 

第8章 生後の脳の発達

・ニューロンと同様に「後で必要なものだけ残す」仕組みがシナプス形成にも。「シナプス除去」若しくは「シナプス刈り込み」という現象。

 

第9章 脳は「いつも」成長している

・脳の特定の領域では、生涯にわたって脳細胞が産生される。恒常的に日々新しく作られるニューロンやグリア細胞が記憶や学習に深く関わることが知られるように。

・ニューロン新生は、海馬や脳室の壁の部分(脳室下帯)にて、いくつになっても神経細胞が作られる。

・行動課題のトレーニングにより、ラットの海馬のニューロン新生が向上。海馬依存的な記憶の成立や各種の学習に成体のニューロン新生が必要。

○運動が脳に対しての良い作用を及ぼす。

・ニューロン新生の低下は、鬱や心の病にも関わる可能性も。

 

第10章 神経系の誕生

・ヒドラは不老不死と考えられており、幹細胞を使って自分の身体を更新させ続けることができるが、ニューロンの寿命自体は3週間程度。(中略)幹細胞は維持されつつ、恒常的にニューロンが供給される。

・動物は植物と異なり、(中略)栄養の摂取は生存戦略上もっとも重要。口のある方向が動物にとっての進行方向であり前方部。前方部に、センサーである各種感覚器が集まる(頭化(cephalization))。プラナリアの頭部の「神経節」構造は脳の起源と見なすことも可能。

 

第12章 脊椎動物の脳

・哺乳類と鳥類で異なる脳形成のメカニズム。

・ニワトリの神経幹細胞も哺乳類型の発生プログラムを発動できる可能性。

○鳥類が哺乳類に・・・!単純ではないでしょうか、そのうち、笑い飯さんのネタの鳥人が・・・。

 

第13章 霊長類の脳、ヒトの脳

・視覚の発達は表情の発達とともに「共進化」した可能性。

人及び動物の表情について

・ロビン・ダンバーの、霊長類の複雑な社会性が脳の進化を加速したのではという「社会脳仮説」。霊長類の形成する社会集団のサイズ(個体数)が大きいほど、大脳新皮質の割合が大きいという研究結果。他の研究者も、他者を欺く回数などの行動レベル指標と新皮質の相関性を認める。

・チンパンジーの「模倣」は、共通の祖先から更にヒトが進化する上で重要。模倣が可能であった故に言葉を獲得できたとも考えられている。

・二足歩行をしたこと自体がヒトの脳の大型化をもたらした原因ではない。

・石器の作成は、手順の記憶や創造的な意志が必要であり、さまざまな側面から人類の進化が加速したことは間違いない。

 

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