サクセスケース・メソッド

サクセスケース・メソッド

ロバート・O・ブリンカーホフ 佐々木亮/訳

巻頭言

・SCMが生み出すストーリーは、裁判に耐えうる確かな証拠を引用、司法証拠の厳格なルールに裏付けられている。

第1章 サクセスケース・メソッドとは何か、その仕組みとは?

・SCM調査の4つの基本的な質問。「本当は何が起こっているのか?」「このプログラムはどのような成果をもたらしているのか?」「成果の価値とは?」「どのようにしてこの取り組みを改善できるか?」

・ある新しい取り組みが良い結果を得ているのは一部の参加者に限られている場合、まだ得られていない大きな価値がある可能性があり、また悪い結果を得ているのは一部の参加者に過ぎないということ。もし多くの人が同じ結果を得ることができれば、より多くの利益を得ることができる。

・多くの場合成功に大きな違いをもたらしているのは、プログラムのツールや手法そのものではなく、イノベーションを成功させるために活用されている特定の「職場環境要因」。

・何かを知りたいときには、そのことをよく知っている人に話を聞くべき」という社会学者の考え。SCMはジャーナリズムや司法調査の方法論を取り入れている。ある意味ジャーナリスト。成功や不成功のドラマチックな「ニュースになる話」を探す。

第2章 サクセスケース・メソッドのステップ・バイ・ステップ

・「インパクトモデル」とは、その取り組み(技術革新や研修など)が本当にうまく言った場合に、どのような成功がもたらされるかを予測したもの。※評価額では「ロジックモデル」。最近では「セオリー・オブ・チェンジ」とも。具体的には「投入」→「活動」→「アウトプット(結果)」→「アウトカム(成果)」の4段階。

・成功を「思い描く」ことが重要。

○お客さまと一緒に希望を見ること。

・インタビュアーは、新しい情報や発見を歓迎しつつも、カバーすべき事柄があるため、しっかりとインタビューを誘導し、的を得た質問をしなければならない。

第3章 成功事例に焦点をあてて周到に計画する

・「見落とされたステークホルダーが頭をもたげてきた事例」。

○大事な人を見落とすと手痛いしっぺ返しが待っていますね。

第4章 成功を思い描くこと:インパクトモデルの構築

・インパクトモデルを使用するSCM調査では、実際に起こったまたは起こらなかった「パフォーマンス」を明らかにし、文書化する必要が。「パフォーマンス」は、能力の向上がどのように行動に結びついたかを詳細に分析したもの。

・インパクトモデルは最終的な「成果物」ではないが、場合によっては評価の最終結果になる場合の例は、評価の目的が、実際の使用状況や実践の詳細を発見して文書化することにある場合。

第5章 サーベイを使ってベストケースと最小成功ケースを探す

・SCM調査は常に「ある新しい取り組みやプログラムを使って」「組織にとって価値があるとされる成果を達成した」人を特定することが目的。

・SCMの主な目的は、どの成功の物語が最も語るに値するかを迅速かつ効率的に把握すること。緻密で詳細な調査をしなくても成功事例を見つけることは十分可能。

第6章 成功事例の個別インタビューをして文書化する

・インタビューの録音は対象者の回答を妨げてしまう可能性も。

○自分に合ったメモ法を準備しておくこと。

・5つのバケツを満たす:インタビュー手順書の概念モデル、「何を使ったか?」「どのような成果が得られたか?」「その成果はどんな価値があるか?」「何が役に立ったか?」「成功を再生産するための提案は?」。

・不成功の手順書には2つのバケツのみ。「障壁は何だったか?」「何か提案はあるか?」。

第7章 信頼性と説得力のある成果を、ストーリーに沿って伝える

SCM調査では、プログラムのプロセスを強化するための習性、生花の評価、より多くの人々へのプログラムサービスの拡大、意図した効果が得られていないプログラムの中止など、変更が必要であることを示唆する情報が発見される。

・「未実現価値の推定」、この結論の目的は、あるプログラムが現在達成している価値に基づいて、より多くの価値を達成できるかを推定すること。

・達成の4条件、1.参加者のうち、変化の取り組みをうまく利用しているのはごく少数、2.その少数の人々は一人当たりのコストを大幅に上回る価値のある大きな成功を収めること、3.SCM調査で、成功している人々とそうでない人々を区別する重要な要素を明らかにできる、4.これらの要因のうちのいくつかは、そのマイナスの影響を克服するために比較的容易に管理できる。

・上記4条件は「コンサルタントの夢」。より多くの参加者が取り組みをうまく使えるようにするための「さらなる取り組みの提案」を正当化するもの。

・SCM評価チームができる最善は「すべてのステークホルダーを認識・理解しようとする」「測定手順を慎重に設計する」「プロセスすべての段階に主要なステークホルダーを参加させる」。

○仲間外れは誰でも嫌ですからね。

第8章 サクセスケース・メソッドを実用的に用いるための戦略的な取り組み

・プログラムが上手くいかなかった理由を見つけることは、うまく言った理由を見つけることと同様に価値がある。

・重要なのは、部分的でも成功とを見つけ、その取り組みがどのように利用できるか、利用して得た価値ある結果を伝えること。

翻訳者から:日本の社会での適用に向けて

・全員が5段階評価で3.5から3.9に伸びたかどうかを見る研修評価でなく、参加した100人の中から1人でもイーロン・マスクやスティーブ・ジョブズのような人が出れば研修成功だと考える。実施者側でできることは、その成功はどんな条件がそろったときに誕生したのかを探り、その条件を提供すること。成功例から皆が学ぶ。

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