サクセスケース・メソッド
サクセスケース・メソッドとは
- 「サクセスケース・メソッド(Success Case Methods)」とは、「研修後の実践度合い」を定量的に数字で把握し、「実践内容」を定性的にインタビューする方法です。SCMは、全員への一般化を目指さず、「サクセスケース(成功事例)」に着目して、「伸びる人を伸ばそう、伸びる環境を利用しよう」と考えます。
- SCMでは、少数あるいはたった一つの成功例からも、多くを学ぶことができるという前提で、その「成功例」を見つけ出し、深く話を聞くことに焦点を当てています。ブリンカーホフ曰く「もしたった一人の成功例も見つからないようであれば、その研修は失敗である」のです。
- 研修で学んだことを現場で生かすためには、研修受講者が現場において、研修で学んだことを行動に移すことが必要です。この「行動変容を量る」手法の一つとして、SCMがあります。
- 研修終了後、数か月後に「簡易アンケート」を実施し、研修で学んだことを仕事で活用したかどうか、活用した場合には、良い結果が出たかどうかを問い、「成功例」と「失敗例」それぞれに「深掘りインタビュー」を行います。
研修転移を促す【サクセスケース・メソッド】
- 研修の定義は、「組織の目標・成果のために仕事の現場を離れた場所で、メンバーの学習を組織化し、行動・現場の変化を導くこと(中原2014)」と言われています。
- 研修の目的は、研修で学んだことを現場で活かすことです。ただ学んだだけで現場での行動変容に繋がらなければ、研修の意味はありません。専門用語では、それを「研修転移」と言います。研修を転移させる方法はいくつかありますが、サクセスケース・メソッドはその最たる方法の一つになります。
簡易アンケートで深堀インタビュー対象者を選定
- 上記アンケートから「成功例」と「失敗例」を抽出し、それぞれに深掘りインタビューを行い「物語」としてレポートにまとめます。ここでいう「物語」とは、小説家が描くような物語のことではなく、単純に「研修前・研修中・研修後」の3つの時期において、
(1)研修前の受講者の状態
(2)研修中の出来事や研修で得たもの
(3)研修後の受講者の状態
を一連の物語として描けばよいということです。
深堀インタビュー
【成功例(物語として描きたい人)】
1)(研修で学んだことの内)何を使った?
2)(それを行ったことで)どんな結果が?
3)(研修内容を活用する際に)何が手助けに?
4)(他の受講者や教育スタッフに対して)助言があれば
5)(研修を受ける前は)どんな状況?
【失敗例(学んだことを活用しなかった人)】
1)(研修内容を活用しなかった理由として)何が邪魔した?
2)(他の受講者や教育スタッフに対して)助言があれば
⇒失敗例は、研修の「形成的評価」(改善を通じて研修転移の可能性を高めること)につながる可能性がありますが、ネガティブ感情を喚起してしまうことも。
SCMで研修成果を「物語化」し、行動変容を促す
- サクセスケース・メソッド(SCM)は、研修の効果を単なる受講満足度ではなく、実際の行動変容と成果という視点から可視化し、成功の要因と障壁の両面を深く掘り下げて明らかにする手法です。
- 成功事例からは「何が機能したか」を学び、失敗事例からは「何が阻害したか」を知ることで、今後の研修設計やフォロー施策に活かすことができます。
- 少数の声に丁寧に耳を傾けることで、組織全体への示唆と転移の可能性を広げることが、SCMの本質であると言えるでしょう。
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