中途採用人材を活かすマネジメント

中途採用人材を活かすマネジメント

尾形真実哉

第1章 中途採用者の「組織再適応課題」は何か

・転職者は自分自身に対して、より高い行動基準と他者をコントロールしようとする戦略を好むのに対し、新人は他者からの支援やサポートを求める戦略を好むことが示されている。

・中途採用者が既存社員から信頼感を得るために必要な要素として、「成果を出すこと」であると発信。

・中途が成果を出すために既存社員との信頼関係が重要だが、信頼関係を構築するためには成果が重要だという「因果のねじれ」が生じている。

・高いパフォーマンスを発揮するための、仕事の「know how」を得るためにまずは「know who」が必要。

〇who knows what、組織記憶(Transactive memory)。

第2章 人的ネットワークの重要性と効果的なコミュニケーション

・労働者は労働時間の約70%をコミュニケーションに費やしているRobbins(2005)。

・Robbins, DeCenzo, and Coulter(2013)は、相手に最も意味を伝えるコミュニケーション要素は、非言語コミュニケーションであると主張。

非言語コミュニケーションとは

・中途採用者の組織内人材ネットワークの構築に効果的な「対面コミュニケーション」。

〇オンラインコミュニケーションの前にまずは対面で慣れてこそ、オンラインの真価が発揮されると思います。

第3章 組織内人的ネットワークのつくり方、広げ方

・(中途採用者同士の)ネットワークを構築するために有意義なものとしての研修。(中略)中途採用者と既存社員のつながりを構築できる研修もデザインし、提供することが有益。

・中途ネットワークは「傷をなめ合う」情緒的な機能は果たすが、お互いに経験が浅いのでタコツボ化してしまう可能性が高い(金井、1994a)。中途ネットワークの負の側面。

・既存社員と研修で顔を合わせて、少し話した弱いつながり(弱連結:strength of weak tie)を得ることで内向きになりがちな中途採用者を自部署以外のコミュニティに連れていくことが可能に。

〇ドミノ効果。人的ネットワークの構築が肝。

第4章 中途採用者の適応エージェントの性質

・仕事の経験や知識、組織内の人間関係が乏しい中途採用者こそ、相談する相手は役職者であることが求められる。

〇だからこそ、OJTメンターも、上司を巻き込むことに注力することが大事です。

・多様なエージェントとの関係構築は多様なコストを要する。(中略)まずは1人の重要な適応エージェントとの関係構築が重要であり、その人物をコネクターとして社内での人的ネットワークを広めていくことが有益。

誘(いざな)う人。

第5章 中途採用者の能力を引き出す職場環境をデザインする

・上司はタスク重要性も意識しながら、中途採用者の再適応状態を把握し、それに応じた仕事の割り当てが求められる。

・上司が期待してフィードバックや指導を行えば行うほど、中途採用者の「貢献実感」に負の影響を及ぼす可能性。「サポート・パラドクス」。

第6章 オンボーディング施策の現状と効果

・組織社会化は組織内だけでなく、人生を通じて継続される長期的なプロセスであり(Van Maanen,1976)、個人の中の成果であるのに対し、オンボーディングは特定の組織内における数時間から数ヶ月にわたる時間軸のもので(klein and Polin, 2012)組織社会化に影響を及ぼす要因。

・経営はトップの考え方次第で大きく変わる。

〇いかに人材施策を理解してもらえるか。人事担当者にも営業手腕が必要なのかもしれません。

・最も多く成果に影響を及ぼしたオンボーディング施策は、「メンターや相談役などの支援制度」。また、「上司など受け入れ側に対する教育」も、中途採用者の組織再適応に重要な役割を果たす(オンボーディングBIG2)。

・中途採用者へのオンボーディング施策は、中途と既存双方に効果がある。

第7章 組織再適応をどう促進するのか

・研修を通じて中途採用者にアンラーニングを実践してもらうためには、アンラーニングの意味と重要性をしっかりと伝えること。

・中途採用者に対するオンボーディング施策が整備されていないならば、中途採用を行うべきではない。

〇尾形先生、言いきり、好きです!

・組織は中途採用者を上手く会社に再適応させるための仕組みづくり(オンボーディング施策)と同時に、良い意味で既存社員と中途採用者の摩擦を生じさせるような仕組み(コンフリクトマネジメント)の双方が求められる。

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