ミドル・シニアの脱年功マネジメント

ミドル・シニアの脱年功マネジメント

石橋誉 小林祐児 迎美鈴 中島夏耶

第1章 40~50代ミドル・シニア社員の活性化の条件

・仕事における成果・業績(パフォーマンス)は、「スキル×モチベーション=パフォーマンス」。モチベーションが低下した50代社員は、難しい仕事を先送りしてやらない、新たな挑戦をしなくなることで生産性が低下するというデータ。

・50代~60代の部下を持つ上司の大半は「年下上司」。

・(適正な評価を下す上司の)役割を十分に果たさず、前年踏襲の目標設定、寛大化傾向、中心化傾向の評価を続けるのは、(年上)部下に「変わらなくてよい」「働きに不満はない」というメッセージを送っていることと同義。評価エラーと状態の放置がミドル・シニア社員において高い確率で発生。

・活躍しているミドル・シニア社員に共通する5つの躍進行動(PEDAL)。Proactive(まずやってみる)Explorer(仕事を意味づける)Diversity(年下と上手くやる)Associate(自ら人と関わる)Learn(学びを活かす)。

・大企業に入社した多くの社員の会社人生の大きい二つの壁。40代前半の「昇進・昇格の分かれ道」と50代前半から定年・再雇用前後の「役職離脱」。

第2章 調査結果から見えてきたミドル・シニア社員の課題

・ミドル・シニア社員の類型化、「5つのタイプ」。躍進タイプ(19.1%)、バランスタイプ(30.2%)、伸び悩みタイプ(38.3%)、事なかれ・安住タイプ(8.3%)、不活性タイプ(3.7%)。

・「伸び悩みタイプ」は「不満が強く、働き続けたくもないが、かといって転職もしたくない/できない」。

・「伸び悩みタイプ」の心理には、まだ組織内で昇進・昇格ができるという期待があるが、躍進行動が低水準なのは興味深い発見。

○拗ねてしまっている部分かも。無意識に救けを待っているのかも・・・。

・躍進しているミドル・シニア社員は、仕事の意味付けを「昇進・昇格」ではなく、「仕事(社会的意義・組織内での意義・専門性の追求)」「自分(成長、貢献)」軸に切り替えることで、仕事に対して自ら動機づけの源泉を獲得できている。

・ディビッド・コルブの経験学習モデル。ミドル・シニア社員に対してより役に立つことが示唆。

○豊富な経験をいかにして伝えていくか。気持ちよく伝えられる環境を用意することができるかが鍵。

・「事なかれ・安住タイプ」は「年下と上手くやる(Associate)」行動のスコアだけが突出して高いのが特徴。

○釣りバカ日誌の浜ちゃん(笑)スイッチが入ればすごい存在なのかも。

第3章 ミドル・シニア社員の課題解決に向けた対応策

・40代、50代の躍進行動に影響を与える研修・カウンセリング。40代は「社内スタッフによるキャリアカウンセリング」が正の相関、「過去10年以内に研修受講経験なし」は負の相関。50代は「マネジメントスキル研修」が正に、「マネープラン研修」が負の相関。

・マネープラン研修そのものは役に立つが、「引退モード」「お役御免」のタイミングとの”記号=シグナル”として機能してしまう可能性。

・「伸び悩みタイプ」を「バランスタイプ」へと移行させることが企業の課題感の解消に。

・人事、経営側の「中高年一般に対してサポートや支援が必要である」という意識の薄さが障害に。

・ミドル・シニア社員の不活性化問題は企業側の「放置」が招いている面が。投資もせず教育もせず、それまでのキャリア・コースを振り返る機会も与えないままでは、課題感を払拭できない。

・「社員を成長させられない」「教育投資を行わない」事が社員の不満を招き、人材流出につながるリスク。

・ミドル・シニア社員のパフォーマンスが落ちる「二つの谷」。第一の谷は40代中盤、第二の谷は50代前半。

・第一の谷は「昇進・昇格」の見通しが縮小していく転換点。モチベーションの低下を防ぐための3点、「期待値の調整」「働き甲斐の再発見」「広い視野での居場所づくり」。

・期待値の調整:リアリスティック・キャリア・プレビュー(RCP)の機会の付与。

・働き甲斐の再発見・再定義:スポイルされた内発的動機づけへの転換の機会の付与二つ。①支配的な「ナラティブ」の転換。組織の中の個人から、個人の中の組織へ。②キャリアを振り返るための「ライフ・テーマ」。

・広い視野での居場所づくり:トランザクティブ・メモリーを活かした役割の模索。「誰が何を知っているか(Who Knwws What)」に関する知識。ミドル・シニア社員の知的資産。

・第二の谷は、「年齢逆転マネジメント」「形骸化する目標管理制度とできていないネガティブ・フィードバック」「越境機会」。

・越境的学習(Cross-boundary Learning)。「ホーム」と「アウェイ」を行き来し、異なる考え方を獲得する学び。

・越境的学習の二つの誤解。①「社外に出ること=越境」という理解はミスリーディング。②本業への不満に基づいた越境は本業にマイナス効果という研究結果。

第4章 役職定年制の功罪と運用の留意点

・役職定年でのモチベーション低下を大きく左右する変化は「役職定年前の部下人数」。部下の数が多かった方が意欲低下の幅は大きく強い戸惑いを感じている。

・役職定年前の事前準備で不活性を防いでいたのは「具体的なキャリアプランの計画」と「仕事に対する考え方を変えていた」という意識の変化。

・不活性化の大きな要因として、役職定年後、上司の役割が消失すると同時に、次にどんな役割が求められているのか分からないという戸惑い。

○コミュニケーションが不可欠です。

第5章 環境変化に伴い様変わりする職場―脱年功マネジメント

・年上部下との1 on 1。部下の強みや肯定的な話題で警戒心や猜疑心を取り去り、場をリラックスしたものにするため、部下の日常の言動、業務への取り組み状況や姿勢、周囲との関係性などを観察し、具体的な事実を知ることが重要。

○「あなたのことを見ていますよ、関心がありますよ」と承認する事。

・正解を持ち、「指示・命令する上司」ではなく、答えのない世界を「伴走する上司」への転換。上司は完璧でなくてはという気負いは不要。

○お世話になっている人事の方の口ぐせが「伴走」。素敵な言葉です。

・「頼る」ことが年上部下にとっての最大の敬意に。

・ミドル・シニア社員は変わらない、と腫れ物に触れるようにではなく、焦らず部下を信じること。人は幾つになっても成長・承認に対する欲求があるもの。

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