何もしない方が得な日本

何もしない方が得な日本

太田 肇

 

第1章 日本社会で起きている「保身のリアル」

・職務満足に関係する要因2種類、満足に関係する要因「動機付け要因」と不満足に関する要因「衛生要因」。給与や職場の労働環境は衛生要因、達成や証人は動機付け要因。

・公務員のモチベーションは正義感や善意、承認欲求、社会的証人というデリケートで壊れやすい要素によって保持。バッシングの広がりが(中略)(感謝・尊敬という)信頼に基づく善意の関係が崩壊したとき、(権威・監視といった)悪意の入り混じった関係に移行。

〇心を保つための事務的な態度が「お役所的態度」だと。

 

第2章 組織における「挑戦と保身」のコスパ

・(退職理由の建前と本音。人間関係や労働条件に対する不満を言わないので)本当のニーズとは乖離した制度作りやマネジメントが独り歩き。

・今の会社で働き続けたいわけではないが、かといって転職するつもりもないという人が相当数いることが示唆される調査結果。

〇組織にはいろいろな人がいますから⇒「あなたはどこにいますか?」

・欧米のように外部労働市場が発達していれば、出世コースから外れたら転職して再チャレンジできるが、日本では転職によるキャリアアップがしやすくなったとはいえ、実績を残せなかった人の再就職機会はそれほど恵まれていないのが現状。

・典型的な年功制度の場合、貢献度と報酬の線が交差する点(下図X)は45歳くらい。貢献度の報酬に対する超過分を貯金にたとえると最大になる年齢。

 

第3章 挑戦の足をひっぱる「人間関係」

・損得勘定には「損得感情」が強く稼働。

〇ここがすべての原点な気がしました。わかりみが深い(^-^;

 

第4章 「消極的利己主義」はなぜまん延したか?

・共同体の中では人間関係が固定化され、物理的にも社会的にも関係が密接になるため、メンバーは集団の濃い空気に支配される。

〇『「日本人」という、うそ』に通じます。

・「規範的コミットメント」「情緒的コミットメント」に対して「功利的コミットメント」「手段的コミットメント」。損得や打算から、または何かを得る手段として献身しているように振舞うこと。

・日本と欧米のホワイトカラー対象の比較調査では、(助け合いますか、という趣旨の数種の質問に対し)「yes」と答えた日本人の割合は、欧米人に比べて顕著に低いという結果。

〇利己主義・・・。

・コンフリクトへの対応策4種類。「バーゲニング」「政治的工作」は当事者の利害が根本的に対立。「問題解決」「説得」は利害が一致しているときに用いる。(中略)権力者側は、より有利な手段として、対立が根本的なものではないという共通認識を得ようとする。

・共同体が「空洞化」しているにもかかわらず、権力者や体制側はそれを認めようとせず、共同体主義を貫こうとする。

〇対立は否めない。それでもどこで妥協するか。自利利他が大切なのでしょうか。

・個人が自分の置かれた状況を利用して私益を追求する「機会主義」。組織と個人、全体と個は利害が一致しているという建前を逆手に取り、組織や「公」の名を借りて利己的にふるまうのは機会主義の典型。

・集団が小さくなると個人の自由はむしろ小さく。トップから(自分の上に対しての)権限移譲や、国から地方自治体への分権も個人にとっては必ずしも有利とはいえない。

・「個人の権利を守ること」が理論の出発点であるホッブズの「リヴァイアサン」。「万人の闘争」を防ぐのに不可欠な以上に絶対的な国家権力の必要性を説いた。「個人主義的全体主義」であり、素朴な全体主義とはある意味対照的。日本国憲法の三原則は「ホッブズの政治原理そのものでは」と田中浩氏。

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