心脳マーケティング

心脳マーケティング

ジェラルド・ザルトマン

第1章 慣れ親しんだマーケティングからの脱却

・企業のマネジャーたちは、人類学、心理学、社会学に加え、音楽学、神経学、哲学、動物学、など、過去にビジネスから無視されてきた様々な研究を利用し、消費者が製品を評価する際に、「心 - 脳 - 体 - 社会」がもたらす複雑な相互作用を理解しようとしている。

・最近の脳研究や生理学研究によれば、我々の脳細胞や神経の活性化は、我々自身が思考を認識する際の脳の活動や、それを言語化しようとする脳の活動に先立って起こることが明らかになっている。

第2章 新しいフロンティアへの旅立ち

・ほとんどのマネジャーは、自分自身の意思決定や消費者の意思決定において、感情が重要な役割を果たすことに異論はない(信奉理論)が、実際には理性に偏った見方(使用理論)にこだわる。

・理性と感情は正反対に位置するものではなく、時に反発し合うが、相互に依存するパートナーである。(中略)我々の感情に訴えることの無いアイデアは記憶されにくく、それゆえ後で思い出すこともない。

第3章 顧客の無意識を分析する

・自己認識と自己反省を行う人間の性向こそ、他のあらゆる生物と人間とを区別するもの。

・認知神経学者は、「心とは脳が活動することである」と述べ、この概念を表すために「心脳」という専門用語を使用。

・人が時々直観や勘だというものは、我々の無意識の心に蓄積された知恵の凝縮の表れ。

第4章 メタファーを介して心脳に語りかける

・メタファー(シミリー(直喩)・アナロジー(類比)・アレゴリー(寓喩)・プロバーブ(ことわざ)を含む)は、ある事象を他の事象になぞらえて表現する。

第5章 先端複合領域から心脳を読み解く

・明示された思考や感情が無意識のものと矛盾する場合には、無意識の思考や感情が将来の行動に結び付く場合が多い。

第7章 市場の心を理解する

・人間の脳(必然的に心も)は成人になってもずっと可塑性を持ち続けるため、(中略)市場の心を再構築することができる。

第8章 壊れやすい記憶

・通常心理学者は記憶を3つのカテゴリに分類。意味記憶、エピソード記憶、手続き記憶。意味記憶は我々の周りにある言語や記号の意味を思い出そうとするときに起こる。(中略)エピソード記憶は出来事の時間、場所、状況に関する記憶。(中略)手続き記憶は後天的に学習した能力を含む、生活に必要な「ノウハウ」のようなもの。

・経験に関する新しい記憶は、既に存在する記憶と関連付けられるとより強化される。

第9章 記憶・メタファー・物語

・顧客にとって、企業との新しいやり取りが増えるたび、過去のやり取りに関する記憶も大なり小なり変化する。どの1回を取ってみてもブランドの構築につながる時もあれば、その破壊につながることもある。

○だからこそ普段からの誠意が重要です。誠意の蓄積が失敗をカバーしてくれることも・・・。

・記憶とメタファーはいずれも、あるものを別のものに置き換えて表現したもの。(中略)何かを思い出すたびに過去の経験内容を無意識のうちに変えてしまうという意味で、記憶とは創造的なものである。

・物語には、我々の信念及び世界に関する知識の両方が蓄積。「蓄積(store)」と「物語(story)」が似ているのも偶然ではない。

・消費者が商品やサービスを買うかどうかの判断する際には、商品が提供し得る機能的便益と情緒的便益の双方を考慮。

第10章 物語とブランド

・多くの消費者の記憶は「アーキタイプ(元型)」。さまざまな経験を通じて存在する、重要かつ普遍的な共通項を捉えたイメージのこと。

・消費者が作り出す物語に対して働きかけるなら、アーキタイプに基づいて物語を作るべき、ステレオタイプではなく。

・ブランドとしての価値は消費者の心の中に存在し、広告の中に存在するわけではない。ブランドの意味を創造するのはマネジャーではなく、消費者。

第11章 創造的思考のための10の方策

・「例外」を発見する能力は、人類が生存競争に勝つために進化過程の早い段階で身に付けた能力。(中略)今でも我々は人の表情の変化には敏感で、その人の感情や次の行動を推し測る。

・創造的プロセスは「情熱」と「冷静」の両方から成り立っている。

・「失敗から学ぼうとしないことは、高い授業料を払いながら学校に通わないことと同じだ」(GMのビンセント・バラッバ)。

・思考の習性は、身体の動きと同様に、神経学的な基盤の上で機能している。したがって思考の習性は無意識であることが多く、物事を疑ったり変えたりすることに抵抗がある。

○限定合理性でしょうか。ダニエル・カーネマン 真理と経済を語る

第12章 優れた質問が、優れた答えを生む

・質問を言葉で表現する時の視点の違いも、回答の内容に影響を及ぼす。

○営業目線で言うと、テクニックでもあり、間違えると狡猾でもあり。やはり誠意が大事。

・データとは、我々の思考や感情、態度を刺激する一片の情報であると言える。

・心理学者のロバート・ローゼンタールとラルフ・ロズノーの研究によると、バイアスやその他のエラーコントロールできるはずの室内実験においてさえ、研究者の期待が被験者に影響を与えない確率は0.0000001以下。

○ピグマリオン効果(教師期待効果)も相まって。喜ばせたいという気持ちはだれにでもあります。

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