世界標準の経営理論【第3部】ミクロ心理学ディシプリンの経営理論

入山章栄

 

第18章 半世紀を超える研究が行き着いた「リーダーシップの境地」

・平たい日本語で言えば、LMX(Leader-Member-Exchange)理論はリーダーの心理的な「えこひいき」(質の高い交換関係)を説明する理論。(中略)全員をひいきできるリーダーこそが最強。

・経営学からはそれが可能であるという研究結果。①アクティブリスニング。②部下が出してきた課題に対して自分の考えを押し付けない。③部下への期待を部下とシェア。

・TSL(Transactional Leadership)とLMXはほぼ同義。LMXは互いの関係性、TSLはリーダーのスタイルそのものに焦点。

・TFL(Transformational  Leadeaship)が重視するのは「ビジョンと啓蒙」。(中略)TFLとカリスマ・リーダーシップの違いは「フォロワーの自立性」。盲目的追従ではない。

・SL(Shared Leadership)は「時には全員がリーダーシップを執る」と考える。

・知の交換の過程でSLが重要な理由は「自分のグループである」というアイデンティティを持ちやすいため。

・現在のリーダーシップにおいて最強のパターンは「SL×TFL」の掛け合わせ。「チーム全員がビジョンをもってリーダーシップを執りながら、互いに啓蒙し合い、知識・意見を交換する姿」。

 

第19章 半世紀を超えてたどり着いた新時代のモチベーションとは

・職務特性理論で重視されるのは「内発的動機」。それを高める職務特性5つ、①多様性②アイデンティティ③有用性④自律性⑤フィードバック。

・PSM(Prosocial motivation)は「他者視点のモチベーション」。他人に貢献することにもモチベーションを見いだす。

・PSMと内発的動機が同時に高い人は「他者に貢献することを自らの楽しみとして感じる」。

・TFL×SLが高い組織では、メンバーの内発的動機×PSMが高まり、個人のパフォーマンスを高め、高い組織パフォーマンスとして顕在化する。

・期待理論は「人の合理性」に基づいたものだったが、現代の経営学で注目されるモチベーションは「ビジョン」「仕事の楽しさ」「他者視点」などを重視するように。

○チクセントミハイによる「フロー体験」は、ここが高まることによって結果的に報酬は後からついてくるということなのかもしれません。

 

第20章 認知の歪みは、組織で乗り越える

・2種類のダイバーシティ。タスク型は知見・能力・経験・価値観。デモグラフィー型は性別・国籍・人種・年齢。デモグラフィー型に起居する多様性のマイナス要因「イングループ・バイアス」。

・「企業は、人の認知の集合体」という前提のアテンション・ベースト・ビュー。(中略)各人が持つ認知バイアスを解消する一つの有用な手段が、経営メンバーの多様性。

・脳には3つのアテンション機能(Ocassio 2011.)default-mode(自分の内面世界を漂う)、salience(違和感に気付く)、executive(言語化やイメージ化する)。

 

21 意思決定の未来は、「直感」にある

・行動意思決定論の代表的研究者、ダニエル・カーネマン。「プロスペクト理論」「フレーミング効果」「二重過程理論」。

・バイアスとヴァライアンスのジレンマ。ヴァライアンスとは「過去の経験や情報収集などから得られた変数が、将来の予測にどのくらい『使えないか』」のこと。(中略)両者はトレードオフ(ジレンマ)の関係。

・直感・ヒューリスティックがその人のさまざまな経験に裏打ちされたものでなければならない。

 

第22章 感情のメカニズムを理解してこそ、組織は動き出す

・感情労働理論(emotional labor theory)は、感情ディスプレイを2つに分ける。

・「サーフェス・アクティング」は外にディスプレーする表情と自分の本心にギャップを持ったまま感情表現をする。「ディープ・アクティング」は、「自分の意識・注意・視点の方向を変化させることで、感情そのものを自分が表現したい方向に変化させてからそれに合わせて自然に感情表現をする」。

・感情そのものの制御は難しくても「相手の立場に立つ」「多角的な角度で物事を見る」ことができるように視点・認知を広げることは可能。認知と感情は脳内で不可分な関係。

 

第23章 「未来はつくり出せる」は、けっして妄信ではない

・現在の日本の大手・中堅企業に最も欠けており、最も必要なのが「センスメイキング」。(中略)本質をよく捉えた日本語として「納得」「腹落ち」。

・ホンダの事例。イナクトメント(環境に行動をもって働きかける)したことでストーリーを作り上げ、周囲にセンスメイキングさせることで結果的に成功。

・行動をして試行錯誤を重ね、もがく間に納得するストーリーが出てきて、ストーリーに腹落ちしながらさらに前進する。

・センスメイキングの7大要素。①アイデンティティ②回想・振り返り③行為④社会性⑤継続性⑥環境情報の部分的認知⑦説得性・納得性。

 

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