世界標準の経営理論【第4部】社会学ディシプリンの経営理論

世界標準の経営理論

入山章栄

第24章 ソーシャルネットワークの本質はいまも昔も変わらない

・エンベデッドネス(embeddedness)→埋め込み理論。基本単位は「つながり(tie)」。「アームス・レングス(よそよそしい)なつながり」「埋め込まれたつながり」「ヒエラルキー上のつながり」。「埋め込まれたつながり」は「深く、それなりに強い関係」。

・「埋め込まれたつながり」の関係では、「合理性」「利己性」よりも、心理学的なヒューリスティックに基づいた意思決定メカニズムが働きやすい。

・「埋め込まれたつながり」の法則。①関係性の埋め込み(繰り返しつながる)②構造的な埋め込み(ネットワーク化)③位置的な埋め込み(ネットワーク中心性で情報の受発信に有利)④埋め込まれたつながりでは、人は意思決定のスピードが早くなる(ヒューリスティック)④埋め込まれたつながりは、アームス・レングスのつながりより「私的情報」を交換しやすくなる(信頼醸成)。

○信頼関係を維持する努力も重要ですね。

第25章 弱いつながりこそが、確信を引き起こす

・「弱いつながりの強さ(strength of weak ties [SWT])」理論。欠かせないのは「ブリッジ」。ブリッジによって作られる「希薄なネットワーク(sparse network)」。幅広く、多様な情報が、遠くまでスピーディーに伝播する。「知の探索」に向いている。

・SWT理論からは、「チャラ男・チャラ娘」こそが、イノベーションに悩む伝統的な日本企業には必要。

・イノベーションを起こすのに必要なのは「チャラ男・チャラ娘と根回しオヤジの組み合わせ。

○許容する度量が必要。オジサン、肝に銘じないと(苦笑)。

・SNSの「シェアがシェアを呼ぶ」はSWT理論の主張そのもの。

第26章 「越境人材」が世界を変える、そのメカニズム

・ストラクチャル・ホール(structural hole [SH])理論。ネットワーク上でのスキマ。

・ソーシャルネットワーク上で「つながっていないプレーヤー同士の媒介となり、それを活かして優位に立つこと」をブローカレッジ(brokerage)と呼ぶ。

・SH理論は「つながり方の構造」が重要。SHが豊かなつながり方。

・バウンダリー・スパナ―(boundary spanner)。組織の境界で行動し、境界を超える人。

○人脈が大事。

第27章 リアルとデジタルのネットワークで働く、真逆の力

・ソーシャルキャピタル(社会資本)理論。人と人がつながって、関係性を維持することで得られる便益全て。金融資本・人的資本に続く「第3の資本」。

・SWT理論とSH理論で説明できる便益全てが「ブリッジング型ソーシャルキャピタル」。

・ボンディング型ソーシャルキャピタル。高密度で閉じたネットワーク下にて。「信頼」「ノーム(暗黙の行動規範)」「相互監視と制裁」。

・ブリッジング型とボンディング型。共存する一方、相半も。自身が取るべき最適なバランスを取ることが競争力に直結。

○自分はブリッジングをもっと高める必要があるかも。

第28章 「常識という幻想」に従うか、活用するか、それとも塗り替えるか

・「社会学ベースの制度理論(institutional theory)」の根幹メカニズム、アイソモーフィズム。フィールド内の人・企業は同質化する本質。

・同質化プロセス(アイソモーフィズム)の3分類。①強制的圧力(政策・法制度がもたらす)②模倣的圧力(皆がやっているから)③規範的圧力(先行事例)。

・多国籍企業が受ける二重のプレッシャー。

・「非市場戦略」は「政府部門を味方につける」「グレーなものを巧みに利用する」というアプローチ。

・「既存の常識に挑戦し、それを破壊して変えてしまう」という「インスティテューショナル・チェンジ」、その旗振り役を「インスティューショナル・アントレプレナー」。(中略)必要なのはスーパーヒーローではなく、日々の地道な行動の積み重ねである」という経営学の結果も。

○多かれ少なかれ、ビジネスには根回しが必要ということでしょうか。だからこそ、仲間内の信頼が効いてくる・・・。

第29章 小企業が大企業を抑え、飛躍する「パワー」のメカニズム

・資源依存理論(resorce dependence theory [RDT])。企業は様々な取引・投資などリソース交換の関係性に埋め込まれている。(中略)ネットワークの中で、企業は依存度の高い相手から「強い制約」(=「外部抑圧」)を受ける。

・「企業は軽減(diffusion)、取り込(co-option)、吸収(absorption)のいずれかを用いて外部抑圧を軽減することが可能」というRDTの基本主張。

・米国のスタートアップ企業は様々な手段でCVC(corporate venture capital)が「サメ」になるのを避けながら、巧みに投資を受けている。

○北方健三先生の「挑戦シリーズ」が頭をよぎります。深江製作所は大企業に変貌しているでしょうか・・・。

本多プラスの事例。購買部門の担当ではなく、人脈を活用し、マーケティング担当者との直接交渉に。金額の提示が「桁が一つ違った」。

○接近戦!

第30章 変化の時代にこそ不可欠な「超長期」の時間軸

・組織エコロジー理論。個体群生態学などを応用する経営学分野の総称。前提3つ、①企業の本質は変化しない(内部要因としての「限定された合理性」による硬直性(イナーシア)、外部要因としての正当性(レジティマシー効果))②自然選択のメカニズム(VSR(variation・selection・retention)メカニズム)③超長期視点。

・企業のレジティマシー獲得に必要なのは、再生産可能性(reproducibility)と説明責任・透明性(accountability)。組織のルーティン化が欠かせない。

第31章 生態系の相互作用が、企業進化を加速する

・近年は「VSR」にStruggle(苦闘)が厳密かつ正確。VSRSメカニズム。環境にフィットしなくなると苦闘に立たされる。

・生物進化学で主張されているホモフィリー(homophily)。生物は本質的に同じ特性のものがつながる性質。(中略)ホモフィリー基準による人材選択を放置すると、企業に埋め込まれてしまい、視野が狭くなり、環境の変化に対応できない。日本企業の苦しみは「苦闘」段階。

・ダーウィニズムに対抗するラマルク説。「生物は生まれた後でも突然変異が起こり得る」。遺伝子工学分野での根拠となる考え「エピジェネティクス」。「一度生まれた生物はDNAの塩基配列そのものは変えられないが、塩基配列のどこを引き出して使うか(異なる遺伝子を表出させるか)は変えられる」。

・共進化(co-evolution)。他の生態系のダイナミズムを活用することが、企業内部の進化につながるという主張。

○多様な交流。

第32章 競争が激化する世界で、競争すべきは競争相手ではない

・「手を携えた共進化」と「生存競争による共進化」。キツネとウサギの捕食関係。捕食関係にある生物種同士が競い合って進化し合う循環、「レッドクイーン効果」。

・企業Aも起業Bもサーチ活動を絶え間なく続け、両者が「共に永久に進化し続ける」のが「レッドクイーン理論」の基本メカニズム。企業間の競争こそ、進化の源泉の一つ、という視座。

・切磋琢磨がガラパゴス化。「知の深化型の共進化」のスパイラルに。「サーチ」を「知の深化」に置き換えた「新レッドクイーン理論」。コンピテンシー・トラップ(競争力の罠)に陥る。

・真の競争相手は「自身のビジョン」。

・アリスは相手より2倍速く走ることを目指すのではなく、空を飛ぶことを考えるべき。

○ブルーオーシャン、エバーグリーン。

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