世界標準の経営理論

入山章栄

 

第11章 経営理論は名経営者の教訓を裏付ける

・マクロ心理学の出発点といえる「企業行動理論(behavioral theory of firm : BTF)」。企業行動理論や知の探索・深化の理論を総称して「カーネギー学派(Carnegie School)」と呼ぶ。

・認知心理学に基づくカーネギー学派を特徴づける前提は「限定された合理性(bounded rationality)」。人は合理的に意思決定をするが、その認知力・情報処理能力には限界があるというもの。

・現実の組織の「生々しい意思決定プロセス」に肉薄することを目指すのがカーネギー学派。

・マーチとサイモンの組織意思決定の循環プロセスの重要な概念2つ。「サーチ」は自身の認知を広げ、新たな選択肢を探す行動。「アスピレーション」は自社の将来の目標水準。

 

第12章 「両利き」を目指すことこそ、経営の本質である

・組織学習のキーワードは「経験」であり、「組織の知の変化」。イノベーションも「知の探索」という経験を通して、新しい知を生み出す(変化させる)という組織学習の一種。

・組織学習の循環プロセス。

・知の探索・知の深化の理論は現代の日本のビジネスを考える上で決定的に重要な「思考の軸」。

・イノベーションの父と呼ばれる経済学者、ジョセフ・シュンペーターが提示した「新しい知とは常に、『既存の知』と別の『既存の知』の『新しい組み合わせ』で生まれる」という新結合。

 

第13章 「両利き」は戦略、組織、人材、経営者のすべてにおいて求められる

・知の探索は遠くの離れた知を組み合わせることだから失敗も多い。既存事業と同じ評価制度を使っていては知の探索は続かない。

・経営学における「イントラパーソナル・ダイバーシティ(intrapersonal diversity:個人内多様性)」。個人レベルの知の探索。

・ゴーゴーカレーの創業社長の宮森宏和氏の座右の銘「創造性は移動距離に比例する」。

○移動距離は幸福感に比例するという話もありますが、一石二鳥ですね。

 

第14章 日本企業が「組織の記憶力」を取り戻す術は何か

・シェアード・メンタルモデル(SMM)が「組織メンバー間の基本認識の共有」というメタ知であることに対し、トランザクティブ・メモリー・システム(TMS)は「組織内の知の分布」についてのメタ知。Who knows what。

34組の男女のカップルに対しての、TMSの高まりを図る実験。①共同作業の際に会話も互いの顔を見ることもできる。②会話あり、顔見せなし。③会話なし、顔見せありで書面交換にて意思疎通。①と③はTMSに違いは出なかったが、②は著しく落ち込み。TMSを高める上で「Face to Face」が重要。

・ブレストの役割はアイデア出しよりもTMSを高めることにある。ブレスト後の知の交流を継続していくこと。

・「トランザクティブ・リトリーバル(transactive retrieval)」。「知のブローカー」として、TMSを1人に集約することで効果的に。

・「一見、何をしているかよくわからない社内ブラブラおじさん」。社内で尊敬されている必要。

○浜崎伝助さん。ピンチの時は頼りになる人(笑)。

 

第15章 これからの時代こそ、「野中理論」が圧倒的に必要になる

・世界唯一の、知の創造の理論。野中郁次郎のSECIモデル。(中略)野中の問題意識は「『知識』は『情報』と違うのではないか」。その時出会った「人格的知識としての暗黙知」。

・暗黙知は大まかに2種類。「個人の身体に体化」されたもの。例えばスポーツ。「個人そのものに体化される認知スキル」。直感やひらめき。

○形式知と暗黙知≒情報と知識、でしょうか。

・SECIモデル。「socialization」「externalization」「combination」「internalization」。

・『直観の経営』で野中教授が語るのは、SECIモデルは現象学と親和性が高いということ。主体と客体の同一性。他者との共感。共感はSECIモデルの共同化に不可欠なプロセス。

・全人格をかけた知の格闘をすることで、互いが「我、汝」の関係に。

・野中教授はブレーンストーミングに懐疑的。必要なのは「共感・共同化に至るまでの徹底的な知的コンバット」。

 

第16章 組織の成長は「進化するルーティン」で決まる

・「組織のメンバーが同じ行動を繰り返すことで共有する、暗黙知と形式知を土台にした行動プロセスのパターン」がルーティン。

・ルーティンが組織にもたらす効果。①安定化②記憶③進化。進化・変化のためにこそルーティンが必要であり、進化を促すようなルーティンでなければならない。

 

第17章 企業が変わる力は組織に宿るのか、個人に宿るのか

・ダイナミック・ケイパビリティの2つの理論基盤「RBV」と「ルーティン」。(中略)学術的には「急速に変化するビジネス環境の中で、変化に対応するために内外の様々なリソースを組み合わせ直し続ける、企業固有の能力・ルーティン」の総称。

 

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