経験学習入門

経験学習入門

松尾睦

〇振り返りたいときに時に読みたくなる本の一つです。

はじめに

・自分の思い通りにコントロールしにくいという意味で、「経験から学ぶこと」は「「波乗り」に似ています。仕事をしていると、さまざまな波がやってきます。私たちは波を作ることはできませんが、どの波に乗るかを決めることはできます。また、その波にどれくらい食らいついていくかも本人次第です。

・経験から学ぶ力は、次のようにまとめることができます。<適切な「思い」と「つながり」大切にし、「挑戦し、振り返り、楽しみながら」仕事をするとき、経験から多くのことを学ぶことができる>

〇波に乗る。流されることなく流れていくことも必要。乗ろうとする意志が大事。

第1章 成長とは何か

・本書では、能力的成長を、「仕事上の問題を発見し解決するために必要な知識やスキルを獲得すること」と考えています。いわゆる「熟達」という言葉で表されるものです。

・精神的成長とは、仕事に対して適切な「思い」を持つようになることを指します。ここでいう「思い」とは、信念や価値観であり、「大事に思っていること、こだわっていること」です。では、「適切な思い」とは何でしょうか。自分のことだけでなく、他者のことも配慮できることが「適切な思い」を持つということです。

・仕事の想いが、自己中心的なものから、他者や社会とのつながりを意識したものに変化していくことを、本書では「精神的な成長」と呼びます。

・環境が変化しているのにもかかわらず、過去に成功した手法に頼り、それをさらに強化して対処しようとする性向を、経営学者のサルとホールダーは「能動的惰性」と呼んでいます。

・アンラーニングとは、組織学習の研究者であるヘドバーグによって提唱された概念で、時代遅れになった知識を捨てることを指します。

〇時代遅れになったことはしっかりと認めること。だけど、捨ててもいつか別の形で目の前に現れることもあると思います。無駄はない。今必要でないということを認め、手放し、だけど必要になれば勝手にまた目の前に現れるかもしれません。「コネクティング・ドッツ」。

第2章 経験から学ぶ

・一見つまらなそうな仕事の中にも宝が埋まっています。その宝を掘り起こして、良質な経験に変えることができるかどうかは、仕事をどのように意味づけるかにかかっています。

〇つまらない中に何があるのか。自分のためになることだと思って続けること。起業家であれば、顧客が言っていることにはきっと意味があると思えば、「楽しみを見つけること」が楽しいです。

・コルブという研究者は、(中略)経験学習サイクルを提唱しています。

①「具体的経験」をした後、

②その内容を「内省し(振り返り)」

③そこから「教訓」を引き出して

④その教訓を「新しい状況に適用する」ことで、

学んでいるのです。

第3章 経験から学ぶための三つの力

・キャリアの研究者であるクランボルツらは、どのような経験をするかは偶然によって左右されるけれど、その偶然を学習の機会として活用できるかどうかは、仕事に対する姿勢によって決まる、と主張しています。

・モチベーションの期待理論によれば、「やればできる(努力すれば成果があがる)という期待」は、人の意欲に影響を与えるといわれています。

・目標が高くとも、因数分解して、やるべきことを分け、できるところからひとつづつつぶしていけば乗り越えられるものです。

〇マラソンの監督の言葉だそうです。中長距離をやっていた時のことを思い出します。確かに、辛くても、「あそこまで頑張ろう」と思って走っていると、次につながりました。小さな目標を立てること。

・経験から学習する能力についての過去の研究においても「批判に対しオープンである」ことが重視されています。批判にオープンであるということは、批判を無批判に受け入れることではなく、批判されていることの本質をつかみ、自分の行動を修正するということです。

〇批判を受け入れる勇気。結構きついですが、いったん受け入れることで見えてくることもありますね。

・組織研究者のワイクは、状況や物事を何かいみのあるものにすることセンスメイキング(意味形成)と呼んでいます。私たちはセンスメイキングによって、仕事や経験に「意味」を付与し、やりがいを創造することができるのです。

第4章 「思い」と「つながり」

・社会における信頼を研究している北海道大学の山岸俊男教授は、嘘をつかず正直であることが、信頼関係を築くうえで最大の戦略であると述べていますが、優れたマネジャーもこの点を理解しているといえるでしょう。

・やみくもに意見を発信するのではなく、まずできるだけ自分で考えた後に、本音で意見を述べ、相手の意見に賛同できないときにも、とりあえず受容し、それを記憶の中にとどめておくという態度が、相手から信頼されるポイントになります。

〇相手の話を傾聴すること。

第6章 学ぶ力を育てるOJT

「Listen,Listen,Listen」とあるように、相手の話を「聞き切る」ことで、若手は「自分を受け入れてくれた」、「自分のことを尊重してくれている」と感じ、指導者を信頼し、指導者のアドバイスやサジェスチョンを素直に受けいれることができるようになります。また、指導者は、若手の考え方や取り組みを把握することができるので、適切なアドバイスができるようになります。

〇そして、教えることで自分の知識の棚卸にもなりますね。

・経験を内省する際には、失敗と成功の両方に目を配ることが大切になる(後略)。

〇ポジティブ、ネガティブともに、両方を見ているよと伝えてあげないといけません。

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