両利きの組織をつくる

加藤雅則、チャールズ・A・オライリー、ウリケ・シェーデ  

 

第1章 いま必要な組織経営論

・既存事業の先行きに希望が見えないなら、新たな事業に取り組まなければならない。

・組織としてこれまでのやり方を変えることが出来ない、いわゆる大企業病。組織経営論ではそれを「成功の罠」)(success trap / success syndrome)と呼ぶ。成功してきた組織には、「慣性の力」(Inertia)が働く運命に。

・存在目的のために戦略論があり、それを実行するために組織論(why / what / how)がある。

 

第2章 AGC、変革への挑戦ー戦略と組織を一体として考える

・島村CEOの当初メッセージ、「リーダーの役割は、人の心に灯をともすことだ」。

・新しいニーズを見越した「待ち伏せ開発」。

 

第3章 両利きの経営ー成熟企業の生き残り戦略

・「両利きの経営」とは、既存事業の「深掘り」(exploit)と新しい事業機会の「探索」(explore)を両立させる経営。

・日本では「知の進化」と「知の探索」として紹介されてきたが、オライリー自身は、「両利きの経営」は知識創造論やオープン・イノベーションを特に意識した理論ではなく、むしろ組織イノベーション論であり、本人は主に組織進化論として語る。

・「両利きの経営」の背景には、「成熟企業は自ら買われないと新興企業に一気にディスラプト(創造的破壊)されてしまう」という強い危機意識がある。

・コングルエンス・モデルの4つの基本要素。「KSF(Key Success Factor:成功の鍵)」「人材」「公式の組織」「組織カルチャー」。4要素が互いにフィットしている状態を「アラインメントが取れている」という。

・分離しつつ、統合するのが「両利きの経営」のアプローチ。

・統合のプロセスは「着想」「育成」「量産化」の三段階。これらは「研究」「開発」「事業化」と言い換えられる。AGCでは意味合いは同様だが、M・I・T(マーケティング・インキュベーション・トランスファー)プロセスと称している。

 

第4章 組織はどのようにして変わるのか―アラインメントの再構築

・成熟した組織が次の段階へと進化するためには、経営者の役割が極めて重要。組織トップの意思表示に加えて、価値判断が決定的な鍵になる。(中略)つまり、①トップの意思表示が契機となって、②トップダウンとミドルアップの絶妙な組み合わせが生まれ、③トップの価値判断によって組織の進化が可能になる。

・AGC plusというコンセプト。顧客企業のニーズにこたえる中でイノベーションを生み出す。(中略)協業先である各業界のリーディング・プレーヤーから「まず最初に声のかかる会社になる」という事。「自らがイノベーションを起こす会社というより、顧客のイノベーションを加速する製品や素材を作る会社だと思う」と、平井CTO。「Your Dreams, Our Challenge」。

・既存事業のヘッドに「事業本部長」や「カンパニー長」ではなく、「カンパニー・プレジデント」という名称。プレジデントという言葉が、通常業務の決済は自分のところで責任を持つという印象を本人にも部下にも与えている様子。

○名は体を表すといいますが、形から入ることは重要だと思います。

・トップが方向性を示し、ミドルが具体的な事例を作ることで初めて新たなカルチャーが生まれる。

 

第5章 組織開発の本質―トップダウンとボトムアップの相互作用を作り出す

経営者にとっての組織開発とはー

①組織を「変える」のではなく、組織が「変わる」を支援する取り組み。

・議論による説得ではなく、対話による納得を大切に。対話を通じて共通認識が形成されて初めて組織にとってのありたい姿、必要な解決行動が生まれる。

②組織の能力開発。

・経営の意識の無いところで、研修だけでは組織の能力開発にはつながらない。

・既存の業務ややり方を深掘りしつつ(カイゼン活動)、新しい業務のやり方を探索する。抵抗(反発)する人に無理な変化を強いるのではなく、新しい事業環境の中でも居場所を作る。両利きには「人を生かす」という発想が流れている。

○適材適所を見極めるのは愛情も必要かもしれません。

③能力発揮のルート・ファインディング。

・エグゼクティブ・コーチングの際にある経営者に言われたこと。「戦略系やマーケティング系の提案と違って、組織系の話は経営そのもの、経営者のスタイル、ひいては自分の人格を批判されているように感じてしまうんだよ」。組織開発の話は、経営者の防御反応を引き起こしやすい。それ以来、経営者と話をする際には、経営の意思として「組織をどうしたいか」を具体化する施策の一つとして、組織開発のアプローチを提案。経営者の立場に立って、組織開発を再解釈するという事。

○高飛車なわけでなくても、そう取られがちなのがコンサルなのかも。だからこそ、人間的な修養が必要。

・トップの支援型リーダーシップが組織内の分散型リーダーシップを誘発する。

○サーバント⇔シェアード。面白く、魅力的です。

④組織感情のマネジメント。

・心理的な「抵抗」に向き合うためには「適応課題(Adaptive Challenge)という考え方が有効。当事者自身が適応しなければ解決できない課題(答えのない問題)のこと。

・部としてどんな組織能力が必要なのか、について対話。具体的な3つの問い。「1.新しく何を始める必要があるのか?」「2.そのために、何を諦める必要があるのか?」「3.一方で、何は継続(強化)するのか?」。中でも3.の問いが大切。守るべきものをハッキリさせ、抵抗の源である喪失感を緩和することになる。1.と2.の間に生まれるテンション(緊張関係・ジレンマ)をほぐす役割が、3.の問い。

○筆者のまなざしはどこか優しい、と特に感じる箇所です。

⑤経営に対する信頼醸成。

・変革プロセスで浮上した適応課題を先送りせず、トップが勇気をもって大きな価値判断を示すことで、組織変革は定着し、同時に経営に対する信頼が確かなものへと変わっていく。

 

第6章 脱皮できない蛇は死ぬー日本企業のための組織進化論

・「存在目的」「戦略」「組織」のトライアングル。戦略と組織の間の好循環の中で、企業独自の「組織能力」(organizational capability)が形成される。

・組織能力を形成するプロセスは、「組織アイデンティティ」を問い直すプロセス。自分たちは何者か?(中略)組織進化の過程においては新しい組織能力が形成され、背後には組織アイデンティティの更新がある。

・「存在目的⇒戦略⇔組織⇒組織アイデンティティ⇒存在目的」というように、変革の大きな流れは存在目的から始まり、存在目的に戻ってくる。大きな循環が組織進化。

○目的を常に意識すること。

 

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