人はなぜ集団になると怠けるのか

人はなぜ集団になると怠けるのか

釘原直樹

 

第1章 社会的手抜きと集団のパフォーマンス

・社会的手抜きとは、集団で仕事をするときの方が一人でするときよりも一人当たりのパフォーマンスが低下する現象。

 

第2章 社会的手抜きと個人や集団の特質

・欧米の研究者は、自分たちは個人主義(高貴)であり、東洋人は対極に位置すると考えている可能性。色がついた概念。文化差に一貫した結果が見出されない一因。

 

第3章 日常生活における社会的手抜き

・名義集団の方が優れていることが多くの研究で確認。(中略)アイデア総数や独創的なアイデアなど。集団サイズが増大するほどブレーンストーミング集団の成果が悪くなるという研究も。

・多元的衆愚は、社会的手抜きのモデルでは「努力の不要性」の認知と関連。

 

第4章 国家と社会的手抜き

・集団浅慮を防ぐ一つとして、(米国のジャニスは)リーダーの役割の重要性を指摘。リーダーの顔色を窺うのではなく賛成反対を自由に述べることができるような闊達な状況をつくること。聞き役に徹して、最終決断ではじめて意思表明をすることを提言。

 

第5章 社会的手抜きとスポーツ

・手加減がない競争が格差をもたらすことは、経済や社会においてもいわれていること。

 

第6章 社会的手抜きの悪影響

・フリーライド。様々な理屈で自分の社会的手抜きを正当化している可能性。

・プロスペクト理論によれば、利益の増大は主観的価値の増大をもたらすがすぐ頭打ちになってそれ以上伸びなくなるのに対して、損失の増大は主観的価値(マイナス方向)の増大につながり、ますますマイナス方向に急激に増大。

・自分の利益を優先して集団の利益をないがしろにするような利己的振る舞いをするものが集団の中に少数いた場合、その影響はすぐさま集団全体を利己的にしてしまう可能性(腐ったリンゴ効果)。

 

第7章 社会的手抜きに反する現象

・場合によって、無能な同僚の存在は周りの人の自尊心と動機付けの向上や維持に貢献している可能性(社会的補償)。

 

第8章 社会的手抜きに対する対策

・逐次合流テクニックと集団意思決定の方法を比較した研究によれば、前者の方が優れていることが明らかに。

・規範順守の警告がなくても(中略)「目」のイメージという些細な刺激でも、内在化された社会的規範を顕在化させる力があり、その効果は特に現実の人の眼が少ない時に現れやすくなることが明らかに。

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