意識はいつ生まれるのか

意識はいつ生まれるのか

マルチェッロ・マッスィミーニ / ジュリオ・トノーニ

第2章 疑問が生じる理由

・二元論には長い歴史があり、正式にはデカルトから始まった。デカルトの考えでは、精神と物理的な世界のあいだには断じてなんの関係もない。(中略)精神的なもの(思惟実体)と物質的なもの(延長実体)のあいだには埋めがたい溝があるという考え方が、二元論の肝である。

・大学間、研究者間の競争は熾烈で、研究対象として取りこぼされた脳の部位は、ないに等しい。(中略)ハエの目の細胞から、人の大脳皮質ニューロンのうち、アメリカ人女優ジェニファー・アニストンを認識することに特化したニューロンの研究に至るまで、なんでもござれだ。

○それでもまだ計り知れない、脳。

第3章 閉じ込められて

・エードリアン・オーウェン率いるケンブリッジ大学の神経科学者のチームが、患者に一風変わった実験を行うことを決めた。

○交通事故で植物状態と診断された23才の女に。fMRIにかけ、質問。「テニスをしているところを想像してください」と。からだは当然動かないが、脳のニューロンの反応が健常者と同じ反応を示したそう。

第4章 真っ先に押さえておきたいことがら

・てんかんの治療のために、脳梁ーふたつの脳阪半球をつなぐ繊維が集まった、太いケーブルのようなものーを切り離すことがある。その手術を受けた患者を調べたところ、脳半球のそれぞれが、互いに切り離された状態で、別々の意識を宿していることがわかった。

第5章 鍵となる理論

・統合情報理論とは、(中略)この理論の肝となる事実は、まさにわれわれの主観的な経験をダイレクトに観察することで得られた。哲学であれば、さしずめ「現象学」といったところだ。統合情報理論の基本的な命題は、【ある身体システムは、情報を統合する能力があれば、意識がある。】というものだ。

・いかなる薬物治療も効かない重症のてんかん患者に対し、神経外科医が究極の対処法に出ることがあった。脳をまっぷたつに切っていたのである。(中略)いわゆる「スプリット・ブレイン」、「分離脳」である。(中略)だがこの時点で、その患者は一人の存在とはいえず、ふたりになった。

○生きていくのに支障はないが、自分が「分離脳」であるという意識はないそうです。もうちょっと調べてみたいような・・・。

第6章 頭蓋骨の中を探索してみよう

・「意識経験を支える基盤は、統合され、なおかつ均質ではないシステムである」(後略)。

・小脳を構成する二つの半球は、互いにつながっていない(中略)脳梁ーつまり、大脳皮質のふたつの半球をつなぐ二億本の繊維ーのような存在が、小脳には見当たらない!小脳の右側につまっている四〇〇億個のニューロンは、小脳の左側につまっている四〇〇億個のニューロンの世界とはかかわりがないのだ。

・小脳はこの特徴のおかげでこ、体の動きや他の機能を、信じられない速さと正確さで調整できるのだ。

○大脳皮質との大きな違い、「つながり」がないからこそだそう。

・各モジュールにあるニューロンの数やシナプスの数こそ驚くほど大きく、出入りする信号や神経経路は非常に多数ではあるが、それにもかかわらず、小脳は、それ自体としては意識を持たない。

第7章 睡眠・麻酔・昏睡 意識の境界を測る

・睡眠時に意識がないという代償を払っているおかげで、毎朝、掃除が終わった軽やかな脳に、新たな情報を仕入れることができる、ということだ。

・無事に残った大脳皮質の領域を再活性化し、目覚めさせることは可能なのだろうか。もし可能だとすると、それらの領域が再活性化しただけで、意識は回復するだろうか。それも可能で、意識が回復したと仮定しよう。だが、患者はわれわれに感謝するだろうか。それとも、余計なことをしてくれたと、怒りを覚えるだろうか。コミュニケーションをとれない、脳内に閉じ込められた言葉で、何を伝えるのだろうか。

○ある意味、中途半端に起こされるくらいなら・・・なのか・・・家族のことを考えると・・・考えさせられる話です。

第9章 手のひらにおさまる宇宙

・情報を統合できるシステムのあるところに意識あり、という確信を得た。

・脳の発達は、すでに脳内にあるつながりが消えることによって起こる。新しいつながりが加わるよりも、消滅するほうが、脳の発育に貢献するのである。

○面白い!シナプス結合よりも消滅。筋肉は破壊と再生を繰り返して太くなるのと感覚的に一緒。

・結局のところ、われわれが知っていると思っている世界は、われわれの特異な脳が見せてくれるものにすぎない。

○マトリックスの世界観に通じるものがあります。

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