「能力」の生きづらさをほぐす

能力の生きづらさをほぐす

勅使川原真衣

第2話 能力の化けの皮剥がし ー教育社会学ことはじめ

・「能力」に基づく社会的地位や社会資源の分配、職歴や収入といったものは、公平な社会の仕組みの産物ではなく、「生まれ」による影響が強いことが明らかになっている。「親が医者なら子も医者に」という「社会的再生産」と呼ばれる現象。

第4話 能力の泥沼 -誰も知らない本当の私

・教育社会学では、学校教育を「通過儀礼(イニシエーション)」と表現。「能力」(主義が疑われないという意味での)がスルーされる原因の一つとして、学校が社会に出る前の通過点と認識されているから。

・通過儀礼としての学校では、保護者を含め、規定演技をつつがなくこなすことが優先されがちで、学校側が掲げる「能力」について疑問があっても、声を上げないことが賢い選択と考えられている。

第5話 求ム、能力屋さん -人材開発業界の価値

・人事は、収入にもかかわる「能力」を見立てるため、公明正大さが要求される職務なので、本気で理論武装し、社員の納得感の情勢にはことさら気を使っている。(中略)「我々は能力評価が個人の主観に偏らないよう、外部有識者と協力し、客観的データに基づいて評価を行います」。

〇自身がいた業界を商売の観点から赤裸々に・・・!共犯関係(苦笑)。

・「機能」を「能力」と捉え違えたための不協和音。(中略)「能力」の序列化も万能化もいらない。

・個々の社員の持ち味を知って、誰と何をどのようにやるかを泥臭く調整していくことでしか、実効性の高い出口にはたどり着けない。

第6話 爆売れ・リーダーシップ -「能力」が売れるカラクリ①

・「competency」の由来、「conpetence」。人を「competeする(打ち負かす)」、競り勝つ能力、個人の競争優位。

第7話 止まらぬ進化と深化 -「能力」が売れるカラクリ②

・たいていの企業のマーケティングはあくまで販促術。実践で組織をうまくいかせるコツは案外泥臭く足元に転がっている。

第8話 問題はあなたのメンタル -能力開発の行き着く先

・カウンセリングルームを出て戻るのは、現場という戦場。「どうしましたか?」と個人の内面ばかりケアしようとしても、根本解決とはいかない。うがった視点で言えば「商売」としてはいい。いい感じの依存状態すら作り出せる、が、環境調整には決して踏み込まないから、事態が根本から好転せず問題は繰り返し存在し続ける。

第9話 葛藤をなくさない -母から子へ

・主体と客体を同時に達成しようとせず、順番を考えて両立させる。

・まずは相手の話をとにかく聞くことこそが、相手にしてみれば欲しくてたまらなかった「私」に関する情報を「教えてもらった」も同然の信頼を紡ぎ、そのうえで客観性、エビデンスについても安心して聞く耳が持てる。

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