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指導者の言葉かけが子どものやる気と認知に及ぼす影響-2007 

矢澤久史

〇非言語コミュニケーションとはちょっと観点が違いますが、面白い論文を見かけたので備忘録として。

 

1.はじめに

・指導者の言葉かけひとつでやる気が出たり、やる気がそがれることは日常生活でも良く経験する。

 

2.うれしかった言葉かけといやだった言葉かけの影響

・指導者が子どものことを思ってかけた言葉であっても、子どもはいやな言葉として捉えることがある。

〇子どもが「いやな言葉」と感じる言葉には、言葉をかける大人の負の感情が混じっているような気がします。

・成功場面で教師が子どもの努力や意欲を十分に認めて励ますような言葉かけを意識的に行うことは、児童の意欲をさらに高めるために有効であることが指摘されている。

・吉村・日角(2005)は、中学生に体育授業での成功場面や失敗場面で、先生や仲間からどのような言葉をかけられるとうれしいと感じるのかを5段階で評定させた。

〇「すごいね」「さすが」や、「がんばれ」「大丈夫」など。

・中学生は実際に先生からこのような言葉かけを受ける頻度が低いこと、あるいは実際には先生が言葉かけをしても生徒には伝わっていないことが示されている。

・吉村・日角(2005)は、他者からかけられた言葉かけのうれしさと他者受容感や自己認知との関係も調べている。分析の結果、成功場面・失敗場面とも、うれしいと感じる言葉を他者から受けた経験が多い生徒ほど、他者受容感が高いことが示された。

〇否定的な言葉はダメだということ。フィードバックにも言えることでしょうね。前向きに考えること。

 

3.肯定的な言葉かけと否定的な言葉かけの影響

・ほめることと叱ることの教育的効果に関する古典的な研究として、Hurlock(1925)の実験が非常に有名である。

〇賞賛群・叱責群・無視群。実験は大事ですが、小学生に「叱責群」はきついですね。5日間の実験だそうです。

・ほめることは動機づけを高めるのに対し、叱ることは動機づけを低下させることが示唆されている。

・ほめることとけなすことの効果に注目した研究として、大道・北湯口(2002)のスポーツ場面を用いた報告がある。

〇サッカー初心者の大学生にリフティングをさせる実験。

・できたという喜びが何よりも技術取得を促進させる初心者の初期段階において、ほめる指導は技術レベルの上達速度を向上させていくために効果的であることを示唆している。

・西田(1996)は、小学校5年生に体育における学習意欲調査(Achievement Motivation in Physical Education Test: AMPET; 西田.1989)を実施し、(後略)。

〇学習意欲が高いクラスの教師と低いクラスの教師の比較。期待を高めるような発言の割合は56.2%対11.6%。

・成功場面でも失敗場面でも肯定的な言葉かけが子どものやる気を高めるが、両言葉がけともその言葉かけがなされた理由を生徒がどのように認知しているかが重要であること、また個人内評価に基づく言葉かけが効果的であることがわかったと言える。

〇当たり前ですが、子どもも「思いやり」の気持ちは敏感に感じるということですね。ほめるにしろ叱るにしろ愛が必要。

 

4.叱り言葉の影響に

・行為・状態の改変を求める叱り言葉よりも、当該事態が批判されるべき根拠が示されている直接的マイナス評価と間接的マイナス評価の方が、叱られ言葉に対する子どもの納得度が高かった。

〇理由をきちんと伝えること。子どもにもしっかりと考えがあります。

・教師に対する感情の如何に関わらず、「静かにしなさい」という直接表現で叱られた場合には素直に受け止め、「通知表に書いておくからね」という権威的な脅しは嫌われていた。

〇これ、気を付けないと。「お小遣いあげないよ」とか。

・竹内・澤田・三宮(1993)は、叱り言葉の受け入れにくさを規定している要因として「きつさ」と「長さ」に注目し(中略)叱り言葉のきつさに関わらず短い叱りよりも長い叱りの方が反省感情は高められなかった。また、長さに関わらずきつい叱りの方が嫌悪感は高まることも示された。

竹内・澤田・三宮(1994)は(中略)教師経験を積むにつれて叱りの頻度が減少し、叱る強さも穏やかな方向に変化してきたと認知しており、自分の叱り方が総合的に見て向上したと答えていた。

 

言葉がけがやる気に及ぼす効果に関する指導者と選手の認知の違い-2017

矢澤久史

・スポーツ競技において、指導者の言葉かけは競技に及ぼす影響力が非常に高く(後略)。

・島田(2011)は、体育授業で中学生がうまくいかない状況において、「さっきよりだいぶ良くなっている」という成功の示唆の言葉かけや「君ならできる」という有能の是認となる言葉かけが生徒のやる気を高めることを得た。(中略)しかし、「君ならできる」という言葉は指導者に対する信頼感の低い生徒では、逆にやる気を低下させていた。

・指導者は選手が発奮することを期待して「向いてない」、「もうやめれば」というような言葉かけをしている可能性が高い。(中略)結果的には選手は指導者からのこのようネガティブな言葉によってやる気をなくしていた。

〇指導者の中に、イライラがあるからこそ出てしまう言葉だからこそ。選手もそれがわかってしまうからこそ。

・本研究では(中略)言葉かけがやる気に及ぼす効果について選手と指導者にどのような認知の差があるかを検討し、スポーツ指導に役立たせる知見を得ることを目的とする。

〇正直、スポーツ界、特に子供のスポーツの指導者は、怒って指導する人が多い気がしています。ボランティアで教えているからって、怒鳴って指導して良いわけがありません。

・全体的には、指導者が認知している高校生がやる気を高める言葉と実際の高校生選手の認知は一致する傾向が高いと見ることができる。

・選手を否定する言葉や選手を突き放すようなネガティブな言葉は得点が低く、選手のやる気を低下させると認知していた。(中略)指導者はこれらの言葉かけによって高校生が発奮してやる気を出すとは考えていないことがわかる。それにも関わらず、スポーツの指導場面では現在でもこのような否定的な言葉がよく用いられている。

〇頭ではわかっていても、ということでしょうか。指導者に対して「教え方」を伝えられれば・・・その機会を作ることが必要かも。相手に寄り添うこと。

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