失敗の科学

失敗の科学

マシュー・サイド

第1章 失敗のマネジメント

・医師が真相を明らかにして患者に正直に接した方が、結果として医療過誤で訴訟を起こされる確率が下がるという調査結果。

・(どの航空事故のケースでも)クルーは時間の感覚を失っていた。集中力はある意味怖ろしい能力。一つのことに集中すると、他のことには一切気づけなくなる。

・失敗から学ぶことは最も「費用対効果」がよい。

・全体で見れば科学者は、科学理論(特に知識の最先端を行く理論)には誤りがあったり不完全であったりすることが多いと認識。

第2章 人はウソを隠すのではなく信じ込む

○認知的不協和。加入儀式の軽重で変わると。

・DNA証拠は強力だが、自己正当化や保身の衝動の方がはるかに強力。

・明晰な頭脳を誇る高名な学者ほど、失敗によって失うものが大きいから、世界的に影響力のある人々が、必死になって自己正当化に走ってしまう。(中略)失敗から学ぶことなく、事実の方をねじ曲げる。

・認知的不協和の影響で目の前が見えず、最も失敗から学ぶことができていないのは、最も失うものが多いトップの人間。

・記憶は脳全体に分散するシステムで、あらゆる種類のバイアスの下にあり、さまざまな影響を受けやすい。(中略)記憶の編集をしてしまう。

第3章 「単純化の罠」から脱出せよ

・どんな分野でもその歴史を紐解けば、試行錯誤の結果として発明やイノベーションが生まれ、後に論理化・体系化されてきたことがわかる。

・テクノロジーの進歩の裏には、論理的知識と実践的知識の両方の存在があって、それぞれが複雑に交差し合いながら前進を支えている。

第4章 難問はまず切り刻め

・ホットドッグの早食いに使えるぐらいだから、マージナル・ゲイン(小さな改善)のアプローチは何にでも使える。

第5章 「犯人探し」バイアスとの戦い

・自分の失敗を隠す「内因」が認知的不協和だとしたら、、「外因」とも言えるのが避難というプレッシャー。避難の衝動は、組織内に強力な負のエネルギーを生む。

・ミスは単に注意を怠ったせいではなく、複雑な要因から生まれることが多い。その場合、罰則を強化したところでミスそのものは減らず、ミスの報告を減らしてしまうだけ。(中略)失敗から学ぶ機会がなくなり、同じミスが繰り返し起こり、非難が強まり、隠蔽体質は強化される。

○これは怖い。ハインリッヒの法則にも似たものを感じます。

・ふ頭は非難をせずにミスの報告を促す組織文化と、スタッフに高いパフォーマンスを求める組織文化は共存可能。

・脳には、一番単純で一番直観的な結論を出す傾向、「根本的な帰属の誤り」。人の行動の原因を性格的な要因に求め、状況的な要因を軽視する傾向。

○だからこそ、対話が大事です。

第6章 究極の成果をもたらすマインドセット

・失敗から学べる人と学べない人の違いは、失敗の受け止め方の違い。成長型マインドセットの人は、失敗を自分の力を伸ばすうえで欠かせないものとしてごく自然に受け止めている。

終章 失敗と人類の進化

・すべてを「失敗ありき」で設計する。データとフィードバックは有意義な進化への舞台に「明かり」を灯す。

・失敗ありきのツール、「事前検死」。プロジェクトが終わった後ではなく、実施前に行う検証。失敗した状態を想定して事前検証していく。

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