サピエンス全史 (上)

サピエンス全史

ユヴァル・ノア・ハラリ

第1章 唯一生き延びた人類種

・彼ら太古の人類も、愛し、遊び、固い友情を結び、地位と権力を求めて競い合った。-ただし、それはチンパンジーやヒヒやゾウにしても同じだ。太古の人類に特別なところは何一つない。

・大きな脳は、体に大きな消耗を強いる。

・サピエンスはむしろ、政情不安定な弱小国の独裁者のようなものだ。私たちはつい最近までサバンナの負け組の一員だったため、自分の位置についての恐れと不安でいっぱいで、そのためなおさら残忍で危険な存在になっている。

〇金持ち喧嘩せず。

第2章 虚構が協力を可能にした

・私たちの言語は、噂話のために発達したのだそうだ。

・陰口を利くというのは、ひどく忌み嫌われる行為だが、大人数で協力するにはじつは不可欠なのだ。新世代のサピエンスは、およそ七万年前に獲得した新しい言語技能のおかげで、何時間も続けて噂話ができるようになった。

〇たしかにそうですが、誰彼構わずでなく、相手を選ばないと・・・

・社会学の研究からは、噂話によってまとまっている集団の「自然な」大きさの上限がおよそ150人であることがわかっている。

・キリスト教の台頭あるいはフランス革命を理解するには、遺伝子やホルモン、生命体の相互作用を把握するだけでは足りない。考えやイメージ、空想の相互作用も考慮に入れる必要があるのだ。

・私たちとチンパンジーとの真の違いは、多数の固体や、家族、集団を結びつける神話という接着剤だ。この接着剤こそが、私たちを万物の支配者に仕立てたのだ。

第4章 史上最も危険な種

・ユーカリの木は、四万五〇〇〇年前にはオーストラリア大陸では珍しかった。だが、ホモ・サピエンスの到着とともに、この木は黄金時代を迎えた。(中略)もっぱらユーカリの葉を食べて生きるコアラは、嬉々として新たな領土に広がっていった。だが、他のほとんどの動物はひどい苦難に見舞われた。オーストラリア大陸の食物連鎖の多くが崩壊し、弱い動物は絶滅に追い込まれた。

〇焼き畑農業の歴史。ユーカリは火に強いので残ったと。なにが幸いするかわかりません。

・私たちの祖先は自然と調和して暮らしていたと主張する環境保護運動家を信じてはならない。産業革命のはるか以前に、ホモ・サピエンスはあらゆる生物のうちで、最も多くの動植物群を絶滅に追い込んだ記録を保持していた。

第5章 農耕がもたらした繁栄と悲劇

・農耕は中東の単一の発祥地から世界へ拡がったと考えていた。だが今日では、中東の農耕民が自らの革命を輸出したのではなく、他のさまざまな場所でもそれぞれ完全に独立した形で発生したということで、学者たちの意見は一致している。

・平均的な農耕民は、平均的な狩猟採集民よりも苦労して働いたのに、見返りに得られる食べ物は劣っていた。農業革命は、史上最大の詐欺だったのだ。(中略)犯人は、小麦、稲、ジャガイモなどの、一握りの植物種だった。ホモ・サピエンスがそれらを栽培化したのではなく、逆にホモ・サピエンスがそれらに家畜化されたのだ。

・歴史の数少ない鉄則の一つに、贅沢品は必需品となり、新たな義務を生じさせる、というものがある。

・数人の腹を満たし、少しばかりの安心を得ることを主眼とする些細な一連の決定が累積効果を発揮し、古代の狩猟採集民は焼けつくような日差しの下で桶に水を入れて運んで日々を過ごす羽目になったのだ。

〇このくだり、星新一さんのショートショートを思い出します。

いつまでも香りと美しさ楽しめる花。飽きることのない味の果実。
男の排泄物が樹の養分となり、呼吸で吐き出された二酸化炭素は、樹が酸素に変える。
宇宙船の中、男と樹の間は完全に調和が保たれていた。

生命の調和とは依存の関係。
どちらかが死ねば、もう一方も死んでしまう。
バランスが崩れれば意外と脆いもの。

出典:新潮社「かぼちゃの馬車」

第6章 神話による社会の拡大

・人類の九割以上は農耕民で、毎朝起きると額に汗して畑を耕していた。彼らの生み出した余剰分を、王や政府の役人、兵士、聖職者、芸術家、思索家といった少数のエリート層が食べて生きており、歴史書を埋めるのは彼らだった。

第8章 想像上のヒエラルキーと差別

・不正な差別は時が流れるうちに、改善されるどころか悪化することが多い。お金はお金のある人の所に行き、貧困は貧困を招く。教育が教育を呼び、無知は無知を誘う。

〇このサイクルを変えるのは並大抵の努力では、とは思います。でも、努力を続けられれば、確率は高まる!継続は力なり。

第9章 統一へ向かう世界

・神話と虚構のおかげで、(中略)、膨大な数の見ず知らずの人どうしが効果的に協力できるようになった。この人工的な本能のネットワークのことを「文化」という。

・認知的不協和は人間の心の欠陥と考えられることが多い、だが、じつは必須の長所なのだ。矛盾する信念や価値観を持てなかったとしたら、人類の文化を打ち立てて維持することはおそらく不可能だっただろう。

〇相手を受け入れる柔軟さが必要ということでしょうね。

⇒サピエンス全史(下)に続く。

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