管理職コーチング論

管理職コーチング論

永田正樹

序章 管理職コーチング研究の課題と枠組み

・管理職コーチングを学習理論の観点から発展させるためにも、成人学習の基本理論である、経験学習の視点を組み込む必要。

第1章 管理職コーチングに関する先行研究

・メンタリングはキャリア支援の文脈の中で、指導・支援・開発に焦点、コーチングは、スキル・能力・仕事上のパフォーマンスを成長させ、向上させるための支援・促進プロセス。

・成長できるというグロースマインドセット(Dweck, & Leggett, 1988)を持つ個人ほど、管理職コ-チングを積極的に受け入れる。

・管理職コーチングを本研究では、へスリンら(Heslin et al. , 2006)の定義にパクら(Park et al. , 2021)を加えた「部下の仕事におけるパフォーマンスを改善させることを目的として、マネジャーが1対1で部下にフィードバックやガイドを提供し、個人とチームに影響を与える活動」と定義。

・イェら(Ye et al. , 2016)は、女性マネジャーは男性マネジャーよりもコーチング的な行動を取ることが多く、ジェンダーニュートラルな現象ではないと報告。

・へスリンら(Heslin et al. , 2006)は、人間の能力は生まれつきで変更できないという「実体論」を持つマネジャーと、個人の能力は開発できるという「漸進論」を持つマネジャーと対比し、実体論を取るマネジャーは、部下の能力を開発しようとする努力を無駄と考え、成長させるためのコーチングに熱心に取り組まないことを示唆。

・ハントとワイントラウブ(Hunt, & Weintraub, 2017)は、管理職コーチングを機能させる上で、部下の「客観的観点からの自己の行動を振り返る能力」「自己や他者の活動に対する好奇心」「フィードバックを受け入れる能力」「学習・改善への高い動機付け」が必要」だと。

・ウー(Woo, 2017)は、コーチングとメンタリングの関連性の研究にて、メンタリングがコーチングと組織コミットメントの正の関係を媒介すると報告。両者は補完的。

第2章 経験学習・リフレクションに関する理論

・批判的に深く学ぶためにはその経験に対して、これまでの前提や信念、価値観が適切かどうかを検証することが重要で、アンラーニングにつながることも。

第4章 部下育成能力の高いマネジャーの育成行動

・I氏:自分の感情の安定を演出することがチームのパフォーマンスにつながる。

・J氏:弱みは変えられないので、強みを伸ばした方が良い。どこで使えるかを見極めさせ、組織の中での自分の役割を発見させる。

・A氏:自分でやったことは再現性がある。マネジャーは、言いたくなるところを我慢する。広い心で耐える必要。

○口を開かない忍耐力。

・G氏:私が知りたいことを説明させるのではなく、自ら語らせる。答えが出ない時間が大事。

第5章 管理職コーチングの効果

第6章 部下の性別による管理職コーチングの効果の違い:定量分析2

・イーグリーとジョンソン(Eagly,  & Johnson, 1990)は、性別とリーダーシップスキルについての研究のメタ分析の結果、対人関係やタスクを重視することについては違いがなかったが、女性は男性に比べて民主的なスタイルを採用し、独裁的・指示的なスタイルを採用しない傾向を明らかに。

第7章 結論

・ガードレイル型指導が「リフレクション支援」のイメージに近い。

・石川(2022)は、自ら導き出した教訓、すなわち「持論」の有効性を、「応用が可能」「自らのパーソナリティに合わせて構築されているので活用しやすい」「状況に合わせて構築されているので効果が高い」と。

・羅針盤を作成する。

○持論を導き出すうえでの羅針盤としての管理職コーチング。

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