世界標準の経営理論【第1部】経済学ディシプリンの経営理論

世界標準の経営理論

入山章栄

○832ページ!ブログは【1部1冊弱】と捉えて、「部」ごとに分けて書こうと思います(^-^;

・全ての人がいつも100%合理的とは限らないが、人はそれなりには合理的。

第1章 「ポーターの戦略」の根底にあるものは何か

・SCPとは”structure-conduct-performance”(構造ー遂行ー業績)の略称。

・産業の収益性は需要の伸びだけでは説明できない。大事なのは「その産業がそもそも儲かる構造になっていいるかどうか」。そのメカニズムを体系化したのが「SCP」。

・「経営学のSCP」の重要なポイント、「差別化戦略の重視」。「似せないこと」は「差別化すること」と同義。

・「ネットワーク効果(network effect)」とは、「ユーザーにとって、他の多くの人が同じ製品・サービスを使うほど、自身もそれを使う効用が高まる」特性のこと。(中略)ネットワーク効果の帰結は「独占に近づく方が望ましい」というSCPと整合。

第2章 ポーターのフレームワークを覚えるよりも大切なこと

・他の条件を一定とすれば差別化戦略が望ましいが、コストで圧倒的に勝てる条件が揃っている時に限り、コスト主導戦略も追及する価値がある、というのがSCPの含意。

第3章 バーニーの理論をようやく使えるものにしたのは誰か

・リソース・ベースト・ビュー(resource based view)。①起業リソースに価値があり、稀少な時、競争優位を実現。②そのリソースが模倣困難で代替が難しい時、持続的な競争優位を実現。

第4章 ポーター vs. バーニー論争に決着はついている

・3つの競争の型、「IO型(完全競争・独占)」「チェンバレン型(独占的競争)」「シュンペーター型(イノベーション等)」。

第5章 「悪貨が良貨を駆逐する」のはビジネスの本質である

・「アドバース・セレクション(逆淘汰・逆選択)」。虚偽表示をする質の悪い製品・サービスを持った売り手だけが市場に残りがちなのは、質のいいものを適正な値段で手に入れたい買い手には損失。結果、買い手は市場に魅力を感じず、市場取引が成立しなくなることも(「薄い市場(thin market)」)。

○虚偽表示の問題は、マンションや車など、高額商品が意外と多いようです。そして悪徳業者は売り逃げる・・・。

・複数の商品を提示したり、クーポン券を提供したりと「顧客に選択肢を与える」事で顧客が自らの私的情報に基づいた行動を取ってアドバース:セレクションが解消されるメカニズムを「スクリーニング」と呼ぶ。

・情報の非対称性はチャンス。(中略)自社だけがその企業の私的情報を見抜く目利きができれば、その情報はむしろ価値があって稀少なものとなる。

第6章 人が合理的だからこそ、組織の問題は起きる

・エージェンシー理論の主目的はモラルハザードのメカニズムとその対策を考えること。

・エージェンシー理論(またはプリンシパル=エージェント理論)。多くのビジネス行為は、経済主体(プリンシパル)が特定行為を代理人(エージェント)に依頼し、代わりに行動してもらっていると捉えられる。

・モラルハザードが高まる条件2つ。プリンシパルとエージェントの間の「目的の不一致(interest misalignment)」と「情報の非対称性」。

○「お客様は神様」根性が過ぎるという理由も?

・エージェンシー問題は企業組織に重層的に潜む。「管理職と部下」「経営者と管理職」「株主と経営者」。

○立場で熱量が違うことを肝に銘じることでしょうか。

・「同族企業を上手く活用してエージェンシー問題を解消することが、日本のこれからのビジネス活性化につながるのではないか」という筆者の私見。

第7章 100年前も現在も、企業のあり方は「取引コスト」で決まる

・取引費用理論(transaction cost theory あるいは transaction cost economics)。TCE。

・限定された合理性(bounded rationality)とは、合理的でなくなることではなく、「将来を見通す認知力には限界があり、その限られた将来予見力の範囲内で合理的に意思決定を行うこと」。

・TCEで企業が直面する「ホールドアップ」問題を引きこ起こす要因3つ。「不測事態の予見困難性」「取引の複雑性」「資産特殊性」。

・3条件の大前提としての「機会主義」。相手を出し抜いて出自分を利する行為を「機会主義的な行動(opportunistic behavior)。(中略)善悪、倫理的な問題ではなく、経済学ディシプリンとしての合理的な行動。

○とはいえ、今の時代には見合わない部分でしょう。SNSの発展が歯止めをかけているのかも。

第8章 この世のかなりの部分はゲーム理論で説明できる

・ゲーム理論とは、相手の行動を予想しながら、互いの意思決定・行動の相互依存関係メカニズムとその帰結を分析するもの。

・人は合理的であり、合理的な人間たちが織り成す社会を記述するのが「ゲーム理論」。

第9章 我々は人を「無償」で信じるか、それとも「合理的な計算」で信じるか

第10章 不確実性を恐れない状況は、みずからの手でつくり出せる

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