「心理的オーナーシップ:従業員の当事者意識を高める」セミナーに参加させていただきました。
先日、ビジネスリサーチラボ主催のオンラインセミナーに参加させていただきました。
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ビジネスリサーチラボの伊達先生とは、以前、関根さんと共に登壇させていただいたご縁があります。
「JMAM出版トーク 『オンライン採用』×『対話型OJT』本音で語る採用と育成」
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差し障りのない範囲で備忘録として記載します。
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心理的オーナーシップとは
・従業員に責任感を持ってほしい、自分事化してほしい→心理的オーナーシップが概念的に近い。
・組織や仕事を自分のものと感じること。
心理的オーナーシップの効果
・単なる理想論ではない。組織と個人の両方にポジティブな影響。
・新しいアイデアの創出につながる、革新的な行動を取る傾向。
・組織や仕事をより良いものにしたいと考える。
・責任感が芽生え、積極的な行動を促される。
・個人のウェルビーイングにつながる→仕事との感情的なつながりが強まり、エンゲージメントが高まる。「働きがいが高い」状態。
・心理的オーナーシップを組織が高めていけば、従業員の生活の質の向上にも寄与。
心理的オーナーシップを高める要因、「統制・知識・投資・安全性」
・統制(自律性)→仕事の裁量を持てている。上下関係が厳しい組織では、統制の効果が弱くなる。
・知識→仕事への深い理解を持つこと。長く仕事に取り組むほど、心理的オーナーシップが高まる。経験を積むことで、愛着や責任感が高まるため。知識を高めるために、振り返りやメンター制度が有効。近年は「リバースメンタリング」も。若手がAIを上の人に教えたり。教え合う環境を作ることが重要。
・投資→仕事に労力を注ぐこと。注ぐほど、「自分の仕事だ」と愛着や所有感が生まれる。促進策として、自己啓発支援制度、社内プロジェクトへの参加機会、トレーニングプログラムの充実。自分の成長や組織の発展に寄与。
・安全性→心理的安全性。自由に意見やアイデアを出せるから心理的オーナーシップが高まる。謙虚なリーダーシップの実践(上司が弱さや失敗を見せる・認める)、失敗から学ぶセッションの実施、多様性の尊重。
仕事の特性と心理的オーナーシップ 「職務特性理論」
スキル多様性→複数の能力が必要
○多能工に通じるでしょうか。
・自己投資を促す。PJマネジャーはその一例。技術知識、コミュニケーション能力、リーダーシップスキルが求められる。組織ができることは、複合的なプロジェクへの配属や、ジョブ・エンリッチメントとして既存の仕事に新しい課題を付加したり。
タスク完結性→仕事の全体像が見える状態
・作業の意味づけが見える。全プロセスに関わる。細分化された作業の一部分だけの担当で、全体像が見えないと心理的オーナーシップは高まらない。組織ができることは、全体像の共有、誰が何をしているのか、役割の位置づけを明確にする。定期的な進捗会議で、自身の貢献を確認してもらう。
タスク重要性→自身の仕事が重要性があると認識できている状態
・組織の成功や顧客満足につながっていると実感できる。業績に大きく貢献。主観的なもの。
○ジョブクラフティングにつながるかも。
・組織ができることは、成果の可視化、顧客フィードバックの共有、インパクトストーリーの共有。
自律性→裁量権持つこと
・自身で決められるか、細かい指示を受けるか。過度の介入を避ける。自律性を損なう可能性。
フィードバック→自分のパフォーマンスに関する情報を得ること
・成長や貢献を感じやすくなる。タイムリーで具体的であることが必要。定期的な1on1ミーティング、ピアレビュー(同僚同士でほめ合う)。
メリット(貢献行動)とデメリット(縄張り行動:自分の領域を守ろうとする)
・心理的オーナーシップの両面性。良い面と悪い面が存在。主作用と副作用。組織への貢献意欲が高まる。役割内行動の向上。求めた以上の仕事につながる。役割外行動(組織市民行動)の増加。自発的な貢献行動。
・他人の介入を拒む。組織全体の効率性を下げる可能性。知識を個人の所有物として扱い、共有資産と見なさない。相互学習が妨げられる可能性。「非倫理的行動」につながる場合も。
・オープンな関係維持が重要。閉鎖的な環境では、負の側面が助長される可能性。対策として、チーム全体の目標を明確にする・協働の機会を作る・知識共有の奨励及び評価・オープンコミュニケーションの促進。
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・心理的オーナーシップは「組織と個人の成長を促す」。チームワークを重視しながら。
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Q&A
Q.5つの仕事の特性は、モチベーション理論の職務特性理論のものだと思うが、職務特性理論と心理的オーナーシップとが関連しているということ?
伊達先生:上手く発展させたものが心理的オーナーシップだと研究者。
Q.心理的オーナーシップは大事だが、高すぎるのは燃え尽きのリスクも?
伊達先生:責任感が過剰に大きくなるとそこにつながるかも知れない。周囲と関わる余裕がなくなり、情報共有しなかったり、情報隠したりという副作用が高まるかも。ストレスが高くて心理的オーナーシップが高いではなく、休息やサポート、配慮を加えるのが必要。
Q.私はオーナーシップがめっちゃ強いタイプ。周囲には同じタイプ、逆なタイプがいる。ニワトリとタマゴの関係?
伊達先生:ポジティブスパイラル、ネガティブスパイラル。自分事にできなければ、ポジティブもネガティブに。
○環境次第?
Q.行き過ぎたオーナーシップによる主張などは、独りよがりになる可能性がある用に思う。チームのためにと思ってした行動も、客観的に見れば押し付けがましいものに。オープンコミュニケーションやチームの目標を意識させることが大切だと思う。
伊達先生:本人は頑張っていても、周囲にとって「ありがた迷惑」も。周囲との協調、自身を俯瞰したりしないと。
Q.心理的オーナーシップが低い従業員に対しては?特にベテラン。
伊達先生:ネガティブスパイラルかも。知識・経験はあるので、ネガティブスパイラルにはまっている方。マンネリ化も?新しい領域を任せるとか。別の文脈で活用すると、新鮮さが取り戻せる場合も。もしくは、メンターとして活躍してもらう。心理的オーナーシップを高めるきっかけに。ベテランに対して、自己成長の機会を提供していくことも重要。
Q.心理的オーナーシップと職種との関連は?事務職とクリエイティブは?
伊達先生:職務特性理論が参考に。それぞれの職種が、5つの条件に当てはまっているのかを検討することが必要。それぞれ、どういう仕事を振るか、より支援が求められているのか、という使い方も。
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伊達先生、皆さま、どうもありがとうございました!
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