【Garage TOKYO】武下英敏さん

板橋区の起業家インタビュー、第13回目は「Garage TOKYO」を営む、武下英敏さんにお話を伺いました。お店は2021年10月21日(木)で2周年を迎えるそうです。

第9回目の「創作洋食 ハチロク」で飲んでいた時にご紹介いただき、ご近所でBARを営んでいるということで、インタビューの運びとなりました。

※緊急事態宣言終了後、ようやくお話を聞けました。

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―2周年おめでとうございます。

武下さん:ありがとうございます。

―フェイスブックでは、「お客さまやスタッフに助けられて」とありました。今、スタッフは何人いらっしゃるんですが。

武下さん:現在は13人。学生とフリーターです。自分でお店を持ちたいという起業家志望が多いんですよ。

-それは楽しみですね!武下さんは、いつごろから起業しようと思っていたんですか。

武下さん:高校生の頃から経営に憧れがありました。将来は政治家か社長になりたいって(笑)。地元は鹿児島県なんですが、大学進学で東京に出て来ました。経営するなら東京でと思っていましたね。同時に、池袋のとあるBARでアルバイトを始めました。

-大学では何を専攻したのですか。

武下さん:経営です。といっても、1年で中退してしまいました。その時、親に「後期の学費分を投資してくれ」とお願いし、50万円を元手に個人事業主になりました。20歳で法人なりもしたのですが、1年で開店休業状態。甘かったですね。

-BARのアルバイトは続けていたんですね。

武下さん:はい。トータルで3年間お世話になりました。実はその時に初めて鉄さん(森鉄雄さん)と出会ったんです。BARのオーナーに食事に連れていってもらった時、「今、池袋で一番勢いのあるお店だ」と紹介されました。

ー9年前からのお知り合いなんですね。

武下さん:はい。とはいえ、その時はあいさつ程度で。再会するのは4年後になります。僕の独立を一番後押ししてくれたのが鉄さんです。

-そうなんですね!どんな再会だったのですか。

武下さん:22才の時、アルバイトをしていたBARを辞め、板橋の居酒屋の店長になりました。将来自分のお店を持つために修行をしようと思ったんです。その時、たまたまお客さんとして来てくれたのが鉄さんだったんです。偶然なんですが。それからはちょくちょく会うようになりました。その数年後に「ハチロク」がオープンしたのですが、その姿に憧れました。僕も鉄さんみたいになりたいと。鉄さんは色々と相談に乗ってくれました。ビックリしたのは、台帳を見せてくれたこと。普通、数字を他人に見せることなんてしないですよね(笑)。経営状況を包み隠さず教えてくれて。

-武下さんにとっての恩人ですね。

武下さん:はい。鉄さんと、それから板橋の居酒屋のオーナーは僕の恩人です。居酒屋のオーナーにも、経営者目線を学ばせてもらいました。人としても成長させてもらったと思っています。自分が独立して、あらためてオーナーや鉄さんのすごさを知りました(笑)。

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-2019年に「Garage TOKYO」をオープンしたんですね。

武下さん:独立直後は2カ月間休みなしで働きました。当初から5人の学生スタッフを雇っていたので、2か月後にお店が回るようになってきて、ようやく週2で休みが取れるようになりました。飲食で週2の休みって、すごいことなんです。居酒屋の店長時代、ほとんど自分の時間はありませんでした。当時、田舎の祖父母が相次いで亡くなりました。忌引き休暇を取って鹿児島に帰り、葬式に参列し、そのままとんぼ返り。ジジババっ子でしたから、死に目にも会えず、通夜にも出れなかったのは本当に辛かった。このまま働いていたら、親の死に目にも会えないかも、と怖くなったんです。独立したのは、お金はもちろんですが、自由になる時間が欲しいという面が大きいです。

武下さん:独立しようと決めた時、「英ちゃんがお店を出すなら応援するよ」と投資してくれた方が3人いらっしゃいます。開店してもうすぐ2年ですが、そのうちお二人にはお返しすることができました。もう少しで全てお返しできると思います。それを踏まえてみると、お金に対する価値観が変わってきました。もちろん1円を大事にするというのは経営として大事ですが、感覚としては、例えば普通の大学生だったら、100万円すごい!となるところを、今の自分は10万円くらいの感覚で捉えられるというか。挑戦するためのお金なら、1000万円でもしっかりと向き合えると思います。

-メンタルブロックが外れたんですね。

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-現在13人のスタッフがいらっしゃるということですが、採用はどのように行っているんですか。

武下さん:特に募集をかけたりはしていません。8割は元々はお客さん。後はスタッフ同士の紹介です。スタッフは起業家志望が多いので、帳簿をつけさせています。鉄さんがしてくれたように、数字を意識してもらうようにしています。

-スタッフに対しての教育について教えてください。

武下さん:一つは、「独立したらこういうことができるよ」と伝えています。僕は毎日は店に出ません。普段はスタッフが2人体制で、シフトで店を回してくれています。自分が毎日カウンターに入れば人件費が抑えられますが、時間が自由に使える豊かな人生を見せたいんです。カッコいいアニキとして(笑)。スタッフが独立に向けて頑張る理由になりたいです。

武下さん:スタッフは皆、家族のようなものだと思っています。お店が家。僕は家族や仲間を大事にする人、人間くさい人が大好きなんです。家族だからこそ、スタッフとは一緒に成長していきたいですし、そのためには「考える力」をつけさせたいです。その中で一緒に働きながら自分も勉強させてもらっています。

武下さん:店の不利益になるから、という理由では叱りません。スタッフにより良い人生を送ってほしいから叱ります。人間としてきちんとして欲しいことは、叱る。その上で、ほめて長所を伸ばしたいです。

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-武下さんが思う「自律型人材」とはどのようなものでしょう。

武下さん:大事なのは「考える力」。大前提は「人生を大切にしているか」「真面目に取り組んでいるか」「人生に責任感を持ってアプローチしているか」ということです。誰かのせいにしてはいけない。これらをしっかり考えることができる人が自律型人材だと思います。僕は自己実現するために努力し、一生懸命に取り組んできました。「やりたいことリスト100」を16才の時に作りましたが、引越しをするたびに見返しています。できているな、頑張っているな、と励みにしています。

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-最後に、これから起業を目指す若者にメッセージをお願いします。
武下さん:目の前の全てを頑張ることはできません。自分が大事にしていることをトコトン真摯に努力すること。何かの「プロ」になってください。

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「対話型OJT」を献本させていただきました。

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インタビュアーの林(ラーンフォレスト合同会社 代表社員)は、上記の「対話型OJT」をもとにした、新人の適応を促す「上手な仕事の教え方」を研修にてお伝えしています。
仕事は、趣味でもあり、遊びでもある。時間とお金を大切にして『ハッピー』になってほしいですね」という武下さん。先々は飲食のコンサルとして開業支援なども行いたいとのことでした。二人の恩人の矜持を伝えていくのだと思います。
武下さん、どうもありがとうございました!

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【Garage TOKYO】武下英敏さん” に対して1件のコメントがあります。

  1. 武下敏行 より:

    敏君、読んだよ!経営についての自分の基盤がはっきり表明されていて、父親として「安心」「感動」しました。まだまだい安心はできないと思うけど、自分で「選び」「挑戦」している仕事です。親としては、不安と期待とが混線してますが、頑張ってください。敏君が高山に帰ったり、お父さんとお母さんが「GARAGE・TOKYO」に出かけたりできるようになるのが楽しみです。

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