経営パワーの危機

経営パワーの危機

三枝匡

【経営ノート①:経営パワーの危機】

~優秀な人材の職人化~

・東大名誉教授尾高邦雄先生の言葉を借りれば「このシステムのおかげで、どれだけ多くの低能力者が働きがいを感じさせられたか分からない」という組織環境が維持されたのである。

・本来は経営者になれる優秀な人材までもが、機能的仕事では抜群に優秀だが団子から出てきて「一人で勝負しろ」と言われたらあまり自信のない人に育てられてしまった。

・職人化させられた人は誰かに雇ってもらって指示を受けなければ生きていけない。

○指示を待つのは楽です。

~あなたの経営パワーを上げるには~

・企業が若い社員の経営パワーを引き上げようと本当に思うなら、一番大切にしなければならないのは社員の失敗体験である。その失敗の傷が「お金のかかった会社の財産」として次のチャレンジに生かされ、その人たちがまた次の世代を鍛えるというサイクルを回すことができるようになれば、その企業は大変な経営パワーを発揮するようになる。

○大企業だからこそできる面はあるとは思いますが、失敗を許容できる精神は見習うべきでしょうね。死なない程度に(苦笑)


【経営ノート②:経営者の変身と組織の変遷】

~創造性による成長(第一段階)~

・そうした無謀な経営を避けるためには、経営経験の浅い起業家には二つの方法がある。一つはゆっくり行く。自分で十分な経営経験を積むまで、ハイリスクの戦略を追いかけないことだ。もう一つの方法は、十分な経営経験を持った人と組む。例えば、そういう人に会長になってもらえばよい。

○組める人がいるかどうかが分かれ目ですね。

~起業家の危機~

「起業家的経営者による拡大の危機」を突き抜け、会社を次の発展段階に持って行くには、起業家が「自分はすべてのことに優秀ではない」「自分一人がすべてを引き回していたのでは、かえって会社の成長を阻害する」ことを認識しなければならない。

○スゴイ人はここに陥るのでしょうか。周りの力をお借りしている身としてはまだわかりません。だから、記録しておくことが大事なんですね。初心忘るべからず。

~権限委譲による成長(第二段階)~

・自分で何もかも走り回ることをやめた経営者は、営業、生産、開発など自分の得意でない機能分野から順次、外部の優秀な人材を引き入れ、仕事を任せる。これは創業者にとっては苦痛なプロセスである。それまでと違って、組織のアクションの時間軸が長くなる。つまり待たされる。しかしそれに苛々して自分が動くと、雇った幹部は育たない。

・予算管理やプランニング手法などのシステムの導入は、「権限委譲」と同義語である。

○権限委譲をしたくない、できない社長さんもいます。人がいない・任せるのが不安など。でもそれじゃあ発展はしませんね。というより、発展を望んでいない?

~プロフィットセンターによる成長(第三段階)~

・優秀な創業者は自ら直接事業に手を下さない演出家(資本家的なプロの大企業経営者)に変身していくのである。

○役者に舞台を任すという演出家の気持ちと経営者がリンクする。芝居の幕が上がれば、演出家はただ見守るだけ。


【経営ノート③:アメリカの自滅と復活】

~日本企業への教訓~


・アメリカのようにあまりにも個人主義の拝金社会になったら日本は破滅だ。アメリカと同じゲームを演じたら、アメリカに勝てるはずはないのだ。その中間の道はなんだろう。

・新たな事業機会を戦略的に生むためには、有能な経営者的人材を発掘してガンガン鍛え、事業の活性を最大限に引き出し、それによって生み出された新たな成長機会を獲得していかなければならない。一方、組織としての継続性の強みを保つとすれば、普通の社員もそれなりに働いてそれなりに幸せだという環境づくりが必要だろう。簡単ではないが、そうした二本立ての雇用体系はいずれにせよ必要になる。

○経営者がいれば、雇用者もいます。


【経営ノート④:経営にストーリー性を持たせる】

~ストーリー作り~

・企業に本当に変化が起きるときには社長のデスクの上に誰かが筋書きを書いたシナリオがなければならない。そのシナリオを書いたのが社長自身か、部下か、コンサルタントかはどうでもいい。大切なことは、演出家でありかつ主役でもある社長がそれを自分のドラマとして完全に理解し、徹底的に演じきり、社員を燃えさせることができるかどうかだ。

○演じきること。中途半端では、見ぬかれ、しらけられる。お芝居と一緒ですね。

~組織の強み弱み~

・思考の出発点は「客先であり、そこで起きている「競合」である。決して社内事情を優先してはならない。

【経営ノート⑤:経営パワーを上げるプロセス】

~気骨のある人材~

・リーダーに向いた性格の人間が選ばれねばならない。リーダーとは物事を決めることのできる人だ。明らかにそうした役回りに向いていない人にいくら責任を負わせてもうまくいかないし、本人にも不幸な結果を招く。

○どうすればリーダーになれるのか。自分はリーダーの器なのか。三国志の周瑜が頭に浮かびます。

~経営能力の醸成~

・成功の味を知らない人は、次の成功を呼び込むのに苦労する。しかし一度成功したところで、その「成功体験」にいつまでも頼るのは難しい。下手をすると、成功体験はただの自慢話に転化してしまう。

・「失敗体験」はいつまでも生きる。経営がどのようなメカニズムで動くのか、さまざまな要素の因果関係が見えてくる。その「因果律」のデータベースが貯まってくると、経営者の「勘」が冴えてくる。「失敗の疑似体験」は貴重な実験場だ。

・花王がトップからボトムまでデータにこだわり、「成功しても反省を繰り返す」と言われているのは、会社全体で失敗の疑似体験を蓄積するカルチャーを作ったからである。

○立ち直れないほどの失敗をしないようにということですが、例えると「バンジージャンプ」のようなものかもしれません。最悪な事態は免れるので。

~起業家精神への道~

・実は成功のためにはもう一つ、「運」がある。しかし運を本当に運任せにする人は起業家ではない。運は他の要素をきっちりおさえたときに呼び込まれてくるものだ。だから運を成功の要件に挙げる必要はない、いや、挙げてはならないと私は思う。

○流れをつかむためには、準備が必要。

【経営ノート⑥:戦略的リーダーの弱み】

~チャレンジに乾杯~

・精神的重圧に耐えて走りぬく最大の力は若さだ。だからリスクへのチャレンジはなるべく早いうちにトライした方がいい。

○本当にそうですね。若さは才能。ただ、十年後の自分より、今の自分は十年若いということも思って生きています。

・人生に少なくとも一回は、試しでもいいから少し先のところまで歩いて行ってみないことには、何が無謀かどうかも分からない。

○歩いて行ったら、無謀だった・・・と考えてしまったら動けませんね。動くことが活性につながります。動き、もがくこと。

~浪花節との相性~

・戦略型のボスに求められる最大の課題は、マキャベリズム的方向に行かずに、どれだけ精神的余裕を保って浪花節的心情を持てるかだ。

○浪花節が通じる人かどうかはわかりませんが、浪花節を受けて嫌がる人はあまりいないでしょう。

~部下を育てる経営者~

・日本には「何もしないのがよいリーダー」という見方がある。

・官僚機構の上に居心地良く座っている大臣みたいなもので、詳細が分からなくても「よきにはからえ」でことは済むのである。

・例えばプレジデント誌を読み返すと、会田雄次先生いわく「日本の将は、不動で山の如し」「日本の将はボケることが必要」「陣頭指揮は自己顕示欲や部下への嫉妬」「それはコンプレックスの裏返し」「織田信長はアブノーマルで、だから殺された」と書いてある。

・ボケた大人物リーダーとして旅順攻略の大山巌大将もよく引き合いに出された。しかし堺屋太一氏は、(中略)実際の大山巌はよく実態を掴み積極的に指揮に当たっていたという。

・本当にボケているのと、たまにボケたふりをするのは違うのである。

○「龍馬の居眠り堤」「のぼうの城」などもありますね。

【経営ノート⑦:成功のシナリオ】

~仮説の戦略シナリオ~

・勝負を決めるカギは何なのか。狙うセグメントの絞りを考えながら、どのような特徴を新事業に盛り込み、どのような価格設定や拡販戦略を組み込んでいけば競争優位を築けるかという「戦略」の問題である。そこでの基本的視点は「顧客の願望」だ。そのためには、そもそもあなたが狙いにしている顧客像がはっきりしているかどうかがポイントになる。

○顧客をはっきりさせる。単純で難しい。そこが決められれば一番の強みになります。

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