働かないニッポン
働かないニッポン
河合薫
第1章 意欲を奪われる若者たち
・キャリア心理学でいうところの「組織社会化過程の欠損」が、30代窓際族を量産してしまったのでは。
・大企業の正社員という肩書きがあれば社会的には勝ち組。仕事が面白くなくてもそれなりにやっていれば年収700万円稼げる。
○教育でどこまで啓蒙できるのか。
・「組織を変えたきゃ、若者、よそ者、バカ者の視点を生かせ!」のように、若者でよそ者は「会社組織のバカバカしい構造」がもろ見えに。
・日本人は、学生時代に偏差値によって自分のポジションが振り分けられる経験から、「身分偏差値」らしきものを察し、受け入れる能力が極めて高い。その「なんとなく身分」を決めているのが「パパのSES(Socio-Economio Status)=社会経済的地位」。
・(著者が)受け持っていた大学の講義で「仲間がいることの良い点と悪い点」を学生に挙げてもらったところ、意外な本音が。仲間至上主義に息苦しさを抱える学生の多さ。(中略)「仲間と一緒にいなきゃいけないのは辛い。だけどぼっちになるのはもっと辛い」。
○適度な距離の取り方をだんだんと覚えていくのでしょうか。
第2章 中高年無理ゲー社会
・自分のアイデンティティと関係のある属性へのステレオタイプを察知すると自分で自分を蔑み、次第に内面化されステレオタイプに即した言動を取るように。
・「リスキリング」という言葉を巧みに使い、中高年を「鶏口転職」させることに必死。(中略)(日本以外の)先進国では、労働人口減少の危機感と「自社の社員に投資した方がコスパがいい」というエビデンスが、リスキリング志向を高めた。
第3章 なぜ働く意欲をなくしてしまうのか
・階層主義国ニッポンと日本的マゾヒズムにおける権威・権力は「天道にこそ負けるが、人間社会では法よりも道理よりも強く、これに逆らうことは心得違い」。
・当時の権力者には「徳」を積む度量も。日本的マゾヒズムはある側面からは「異常心理」だが、義と情と徳がうまく回っている間は日本企業の強みでもあった。
○今、ここに、徳はないのでしょうか・・・。
第4章 日本的マゾヒズムの呪縛から逃れる
・TEAMの語源は、”Together Everyone Achievement More”。多種多様な人材、すべてのメンバーを輝かせてこそチーム=会社は生きるが、日本の経営者が信じるのは「チーム」より「個」。
・「終身雇用=長期雇用」は制度でなく経営者の経営哲学であり、覚悟。それが働く人の心に届いてこそ、「ルールに決して違反しない」という責任が芽生える。「心理的契約」の本質。
第5章 脱「働かないニッポン」のためにできること
・(”Working!”に登場する)日々の仕事に魅力を発見している幸せな人たちに共通していたのは、「賃金以上の、それを超える立派な仕事をしようとする意思」(ターケル)。著者の私見を加えると、その意志を貫くには「あなたのことをちゃんと見てるよ」とメッセージを送ってくれる他者が不可欠。
○教え方研修でいつもお伝えしています。承認欲求に誠意で応えたいものです。
・仕事とは「私」と「他者」をつなぐものであり、「私」は「他者」と関わることでしか有意味感=自分の存在意義や価値を認識できない。心理的報酬は働く人だけが手にできる、人生の宝物。
・人の本性は「愛」。だからこその「半径3メートル世界」。自分で選り好みできない世界で「愛」をケチらないでほしい。
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