【合同会社kando design】南雲由子さん

板橋区の起業家インタビュー、第29回目は「木工房 Asukayama Works」のサイトーさんからのご紹介で「合同会社kando design」代表の南雲由子さんにお話を伺いました。

サイトーさんの工房のある「time spot」のオーナーである南雲さんのことは、SNSではよくお見かけしていましたが、偶然の出会いにこれ幸いとインタビューを申し込ませていただきました(ホント、ご縁って不思議です)。

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ー起業の経緯を教えてください。

南雲さん:始めたのは2011年、合同会社として法人化したのは2018年です。time spotを志村坂上でオープンしました。アーティストの居場所づくりがそもそもの目的です。「何とも言えない場所」を提供したいという思いからでした。

ー南雲さんはアーティストとして多くの作品を出展していますね。

南雲さん:アートとまちづくり、をコンセプトにしています。人の人生には何かが隠れていると思うんです。そこに興味があります。そして、まちの面白さを大切にしています。

南雲さんの作品⇒Scrap and Bride - |大地の芸術祭

ー「何とも言えない場所」というのは?

南雲さん:アーティスト活動には例えば芸術祭などの発表の場があります。その「場」とは切り離されたところに「家」がありますよね。その発表の「場」と「家」の「間」の実験場がアーティスト活動には大切なものなのですが、そういう「間」としての場が社会人になるとなかなかないんです。「間」は、学生時代には部活や研究室だったのですが、卒業後はそういう場所がありませんでした。とめどもない話ができる「間」である場所。宇宙の話をしたり。そういう場所が欲しくてtime spotを立ち上げました。

南雲さん:アーティストとして、どうやって食べていくかにいつも悩んでいました。そんな折、2012年の衆議院総選挙の開票速報をtime spotで仲間と見ていたのですが、投票率の低さに愕然としたんです。「政治が売れていないのは、なぜなんだろう」と仲間と議論しました。「中身が面白くない」か「売り方が悪い」せいではないかと考えました。チラシ一つとってもわかりづらいと何も届かないんです。そこで、資金稼ぎもかねて選挙関連のアルバイトとしてチラシ作りに携わるようになりました。投票率を上げたいと思ったんです。続けているうちに、チラシやパンフレットがわかりやすいと評判になり、口コミで仕事が増えていきました。自分で言うのもなんですが、「選挙の女神」と言われていたそうです(笑)。

南雲さん:選挙のアルバイトを2~3か月行い、そこで貯めた資金で創作活動を行い、またアルバイト、というサイクルを2年間続けていました。そんな折、世田谷の建物が建て替えになり、今の場所にtime spotを移転しました。

ーそのタイミングで板橋区議会議員選挙に出馬されたんですね。アートとまちづくりが政治に生きているんですね。

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ー2018年に「 合同会社kando design」を立ち上げたんですね。

南雲さん:はい。現在はイベントと広告の二本柱で活動しています。地域でゆっくり長く続けられるようにということを意識しています。

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-育成についてのお考えを教えてください。

南雲さん:これまでに大学生26人、ママインターン11人にお手伝いをしてもらいました。インターンの方には、「取材を受けるつもりで」ということを伝えています。自分もそうだし、私もそう。お互いにすべてをさらけ出すことが大事と伝えています。

南雲さん:インターンの方には、手始めにブレイン・ストーミングを行います。「3分で面白いことを考える」ワークショップ。頭を柔らかく、引き出しを増やすための手法です。

南雲さん:また、大学生インターンには社会経験を積んでもらうために、できるだけ全てを見てもらうつもりで活動しています。移動の車の中で会話の時間も大事にしています。

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ー南雲さんが思う自律型人材とはどんな人でしょうか。

南雲さん:世の中生きづらいと感じている人にすごく興味があります。そこにはチャンスもある。一言で言うと「アーティスト」。その観点でいうと、世の中は自律型でない人が多いと思っています。「アーティスト」はとがっている、凸凹がある人。コントロールできない。人に言われたことを言われたとおりにできない人。もちろん、それはわざとではないのだけど。ともすると、「アーティスト」は誤解を招いたり、周囲と軋轢を生むことがあります。

ー自律型人材との橋渡しをするのが南雲さん。

南雲さん:私は、「アーティスト」とそうでない人の間で通訳することができるのだと思っています。翻訳して、マージする。どう生かすかを考えます。お互いの特性を認める、待つ、理解する、そして慣れることが肝要です。

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〇ここで、事務所に詰めていた大学生インターンのヨシザワさんにもお話を聞かせていただきました。

ーヨシザワさんから見た南雲さんの印象を教えてください。

ヨシザワさん:誰にでも平等に接する、対応する人です。子どもにも敬語なんです。とてもステキ。

ーヨシザワさんも「自律型人材」でしょうか。

ヨシザワさん:はみ出す感覚は時にあります(笑)。

南雲さん:「わかるわ~」(笑)。

南雲さん:変わっているといわれたり、すごいねーと言われたり。それをうまくいかせるかどうかということですよね。こうあるべき、丁度いいという幅がわかる、気にならなくなると良いんです。時間はかかるかもしれませんが。それも自律型として世界を拡張できると良いですよね。

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対話型OJTを献本させていただきました。

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インタビュアーの林(ラーンフォレスト合同会社 代表社員)は、上記の「対話型OJT」をもとにした、新人の適応を促す「上手な仕事の教え方」を研修にてお伝えしています。

【OJTメンター研修・指導員研修】

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-最後に、これから起業を目指す若者にメッセージをお願いします。

南雲さん:先ほどの育成にもつながりますが、小さい引き出しをたくさん持ってほしいです。そして、頭を柔らかくする努力を怠らないでください。

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ご縁というのは本当にあるもので、南雲さんとの出会いは驚きでした。近くに寄ったついでと「木工房 Asukayama Works」のサイトーさんに会いに新河岸から徒歩で向かっていたところ、念のためと信号待ちの自転車の方に道を尋ねたのが南雲さんでした(マスクをしていたので、当然南雲さんとはつゆ知らず)。time spotに行ったら「あれ、さっきの人・・・?」と南雲さん。ご縁って、不思議ですね。

南雲さん、ヨシザワさん、どうもありがとうございました!

 

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