【株式会社エジソンクラブ】新村一臣さん

板橋区の起業家インタビュー、第30回目は「城山幼稚園・城山みどり幼稚園」石川園長からのご紹介で「株式会社エジソンクラブ」代表取締役の新村一臣さんにお話を伺いました。

修祓式にてお会いした石川さんに近況報告をした際、「子供向け教材を手掛けている素晴らしい経営者がいる」とお聞きし、とても興味を惹かれ、ご紹介いただきました。

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ー家業を継いだ経緯を教えてください。

新村さん:私は二代目です。先代の父が昭和42年に学習教室を設立しました。主に算盤を教えていました。私は大学卒業後、出版社に入社したのですが、たまに手伝いをしていました。

新村さん:新卒で入ったのは、金融や法律を扱う出版社です。1年ほどし、何か違うと転職し、別の出版社に転職しました。そこで2年ほど在籍している間に、時代の風はITだと感じ、ソフトウェアや通信を扱う会社に転職。2年ほど働きながら学び、28才で独立しました。メインフレームを手がけるベンチャーです。

新村さん:独立後、5、6年たったころ、通信事業に参入しました。当時、国際通信規格は大手の既得権益でしたが、日本国内で初だと思うのですが、アメリカのFCC(Federal Communication Commission(アメリカ合衆国において、通信・電波の規制を行う連邦政府機関)認証を取り、ベンチャーの中では業界1位になりました。当時、クローズアップ現代に取材されたビデオが残っています。

ー是非拝見したいです!

新村さん:番組の中で、当時の郵政省の担当者が、「業界に口を出さない」と言ったことで激震が走りました。結果としての規制緩和の影響で、国際通信規格が変わりました。ただ、誤算だったのは、当時の1分間のアメリカとの通話料が350円ほどから、100円まで下落したんです。自社では150円ほどの設定をしており、結果会社の縮小を余儀なくされました。そんな中、取引先とのやり取りもあり、自社の従業員や周囲を巻き込まないように、社長を退任しました。

新村さん:傷心の中、新村教育研究所に入社しました。当時は右肩下がりの中、支配人という立場でがむしゃらに頑張りました。おかげさまで3年かけて会社が回るようになってきました。

ー広中平祐博士の推薦を受け、とHPにありますね。

新村さん:自社教材の「れんしゅうちょう」の良さには自信がありましたが、大手と戦うには何か手はないか、と考えたのが、著名な数学者である広中平祐博士に推薦をいただくことでした。事務所に伺い、直談判を思い立ったんです。ですが、秘書に門前払いされました。「先生は他の大手の教材も見ません」と、けんもほろろでした(苦笑)。ですが、子供の使いじゃないという思いがあり、絶対良いものだから見てくれと教材一式を置いて帰ったんです。

ー広中先生が見てくれないかも、という不安はありませんでしたか。

新村さん:正直、50%だと思っていました。ですが、教材の良さには絶対に自信があったので、これでダメならしょうがないなとも思っていました。

新村さん:それから二週間ほどして連絡があり、推薦をいただくことができました。広中先生は珠算業界を応援してくれていたということもあったのかな、と思います。広中先生にはとても感謝しています。

ー大手の営業マンもかなり営業をかけていたのではないですか。

新村さん:こう言っては何ですが、当時の他社の営業に比べて、かける熱量の高さでは負ける気がしませんでした。うまく勝ちルートを選択できましたね(笑)。

ー営業魂、すごいですね。ところで、いただいた資料の「エジソンクラブ強みリスト」の中に「半径500メートルのビジネス」とありますね。私はミニ起業家に学びを提供している「比企起業大学大学院」のお手伝いをしているのですが、そこで大事にしている「ランチェスター弱者必勝の戦略」の接近戦をまさに体現しているな、と感動しました。

新村さん:半径500メートルの感覚を忘れないことを大事にしています。前職では億のビジネスを手掛けていましたが、その時の経験も大事にしながら、エジソンクラブの大切なお客様たちと一緒に接近戦を心掛けることが大切ですから。

新村さん:竹田先生にも何度かお会いしたことはあり、ランチェスター戦略は大事な武器だと捉えています。ですが、実は私の核は一倉定先生なんです。35才頃から3年間、セミナーに参加しました。一倉先生は毎回同じことを言っているかもしれないのですが、セミナーを受ける側のステージ段階によって受け取り方、意味が変わるんです。同じ言葉でも、何回聞いても良いものが一倉先生のセミナーでした。普遍の古典。一倉定の社長学シリーズは私のバイブルです。

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-育成についてのお考えを教えてください。

新村さん:「きっちり伝えること」が大事です。このごろ気が付いたことの一つですが、最近のベンチャー企業は経営理念やビジョンをしっかり打ち出しています。昔の日本ではそこまでやらなくても経営者と社員がツーカーの仲でした。日本には必要なかったといってもよいかもしれません。時間外の半強制的なお付き合いがかなりカバーしていたのでしょう。一方現在は、社会的に人間同士の密着度が薄れてきているので、言葉でしっかり伝えきることが何よりも大切になってきていると感じています。

新村さん:アメリカを例にとると、日本に比べ多民族・多文化のるつぼです。経営理念やビジョンの言語化がなければ、組織は空中分解してしまいます。伝えるための手段として経営理念やビジョンを使っているのです。ただ問題は社会性よりも「自己実現」を大事にしているように見受けられる点です。なぜなら自己実現は毒を持ちやすいからです。社会性をしっかり意識しないと、結果それが格差を生みだすことになります。その毒を中和するために、経営理念やビジョンの言語化がされるといいのですが、そうなっていない現実が非常に多いと思います。

新村さん:日本では、上滑りの理念なら、無理して作らなくてもよいのでは。理念と言葉が乖離している、苦しんでいる経営者もいます。「社会実現」が本来の経営者の役目です。まずは目の前のことを見据え、学び続けながら経営をし、その上で経営理念を作り上げ、それを従業員や部下・後輩に見せていくことが育成につながるのではないでしょうか。

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-新村さんが思う自律型人材とはどんな人でしょうか。

新村さん:目的や目標、価値観が定まらないと自律できません。経営者であれば、経営理念を明示し、何を目指しているのかを明確にすることが大事です。そして仲間と共有することです。そうすれば自ずと自律型人材になっていきます。

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対話型OJTを献本させていただきました。

インタビュアーの林(ラーンフォレスト合同会社 代表社員)は、上記の「対話型OJT」をもとにした、新人の適応を促す「上手な仕事の教え方」を研修にてお伝えしています。

【OJTメンター研修・指導員研修】

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-最後に、これから起業を目指す若者にメッセージをお願いします。

新村さん:まずは「しっかり勉強しましょう」ということです。そして、日本の良さを見つめ直してほしいと思います。そのために歴史を学ぶことをおすすめしたいんです。今、古典を学んでいるのですが、学べば学ぶほど、日本の「良さがわかります。そのルーツは、中国の古典、四書五経、インド哲学(仏教)ですが、日本の文化に溶け込み非常に優れた形式で近代まで続いてきました。日常のお悩み解決にもつながります。自分自身もっと早くから触れていれば良かったと思うことばかりです。起業を目指す人には特に意識していただきたいです。

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板橋区起業家インタビューを始めて早2年4か月。当初目標の30人にようやく到達しました。「営業は、相手のためを考えると同時に『仕込みも大事だよ』」と新村さん。優しい風貌の中に営業への熱意を秘めた新村さんの言葉に、一区切りついた起業家インタビューへの次なる熱意をいただきました。

新村さん、どうもありがとうございました!

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