いい子症候群の若者たち
いい子症候群の若者たち
金間 大介
第1章 先生、どうか皆の前でほめないでください
・大学生が選ぶ嫌いな講義ランキングの1位は「当てられること」。現在の大学生にとって目立つことは重大事件。
・現在の大学生の多くは自己肯定感が低く、人前でほめられることはダメな自分に対するプレッシャーに。「ほめ」=「圧」。
第2章 成功した人もしない人も平等にして下さい
・上司と部下のモチベーション・ギャップ。上司が「こうすれば部下たちはやる気を出す」と思っていることが、部下にとっては全然興味がなく、むしろドン引く要因。
・競争を強いられたとしても、絶対に全力を出さない。周りを見て平均点を取りに行くだけ。
・自らの意志で自らの欲を満たす行為は恥ずかしく、かつ貸しを作ることになる状態が落ち着かない。
第3章 自分の提案が採用されるのが怖いです
・「人は皆自律的でありたい」という前提の「自己決定理論」だが、他人に何らかの影響を与える場合はそうではないかも。食事や週末の予定などの簡単なことですら、自分の考えを伝えることを回避する傾向が強い。
第4章 浮いたらどうしようといつも考えています
・大半の大学生が求めているのはリアルな社会でのつながりであるが、それは極めて閉じた狭い範囲に限定。(中略)彼らの意識はネットの向こうの外の世界にはなく、すぐそこの友達数人だけ。
・現在の若者は「負けるのが怖い」という意識は強いので、負ける可能性が少しでもあるのならそもそも競争しないという結論に。競争するなら1戦1勝、それ以外の競争はしない。
第5章 就職活動でも発揮されるいい子症候群
・最近の大学生は同級生とのディスカッションには慣れている。グループディスカッション用のテンプレをすでに持っている。
・若くて安価な労働力確保は会社にとって不可欠。就職活動は学生と企業の騙し合いの場。演技力勝負。
・現在の大学生の多くは、やりたい仕事や働き甲斐を、安定の対極にあるものと捉える傾向。やりたい仕事を求めるということは、意識の高い「そっち側の人間」のすることで、それは安定した仕事ではない。「自分はそっち系の人間じゃないんで」。
・複数の同期といる中で、名指しで質問を受けたとき(中略)いい子症候群の若者たちは真っ先にどう返答するのが正解かを考える。統計的に最も多いリアクションは「固まる」。一生懸命考えている姿勢を見せることが正解。
・職場の飲み会に行く割合は長らく続いた減少傾向から一転して増加基調に。(中略)表面的に周りに合わせる抜群の協調性。
・仕事や職場の人間関係を重視するようになったのではなく、断るだけの意志がなく、かつ最近の飲み会の多くはお客さまモードでいられるから参加する。
第6章 頼まれたら全然やるんですけどね
・いい子症候群の若者にとっての社会貢献とは、誰かに「貢献する舞台」を整えてもらった上での貢献。
・自分に自信がなく、評価が嫌いで、評価されることへの恐怖心がある気質の若者にとって「社会貢献」はぴったりはまる概念。「自分がやりたいのでやってます」という状況とは真逆の立ち位置が大事。主体的に参加するボランティアや献血は、彼らにとっての社会貢献ではない。
・頼まれたらやる自分を知っているから「自分は人より優しい」という自己評価に。優しさとはそういうことではないが。
第7章 自分にはそんな能力はないので
・失敗にビビる人はアントレプレナーにはなれない。(中略)日本だけの特徴として「知識・能力・経験の自己認識の高い人たちの方が、失敗への脅威を強く感じている」という調査結果。
第8章 指示を待ってただけなんですけど
・今の世の中で、明確な「指示待ち」ができる状態はごく少数の恵まれた環境の場合だけ。
・挑戦が成長につながることを実感できない、一度失敗すると這い上がれないと思っているのも既得権信者も大人。それが子供たちに空気感染する。(中略)若者たちはこの30年間、日本の大人たちがやってきたことをコピーしているに過ぎない。
第9章 他人の足を引っ張る日本人
・大型旅客船が沈没しそうな時の船長の活を入れる声かけ、日本人に向けて「Just look at people around you. Everyone is jumping.(周りを見てみなさい。皆ジャンプしてるぞ)」。
・集団の規模が大きければ大きいほど、不確実でチャレンジングな課題に直面した場合に「集団の愚」に陥りやすい傾向。
第10章 いい子症候群の若者たちへ
・人が人生の進路を決める際、考慮する要素は3つ、「コト」「ヒト」「場所」。重みづけは人によって異なり、バランスが最終的な優先順位に。
・人は疲れやきつさは実感できるのに、成長は実感しにくい。(中略)腹筋を1日10回するだけで簡単にお腹は割れる。心も同じ。脳はさらにもっと簡単に鍛えることができる。
応援クリック、励みになります!
にほんブログ村