板橋区の起業家インタビュー、第23回目は前回の「平岩石油販売株式会社」平岩さんからのご紹介で、「株式会社サイトウ製作所」代表取締役社長の齋藤智義さんにお話を伺いました。

平岩さんがランチの席をご予約して下さったのですが、一度は行ってみたいな、と思っていながらも機会のなかった板橋の名店、「オオタニ」さんでの顔合わせ。美味しい時間を過ごしながらのアポイントをいただきました。

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-家業を継いだ経緯を教えてください。

齋藤さん:小学校の文集には正に「家業を継ぐ」と書いてあります。子どもの頃からそうなんだろうなと思っていました。ですが、大学の頃は、承継に抵抗を感じていた面もありました。自分の人生において選択の自由がない、などと悩んでいましたね。それでも、使命感はありました。

齋藤さん:大学卒業後、アメリカに3年間留学してMBAを取得しました。その後、プラクティカルトレーニングで1年間、インディアナの子会社で就労後、帰国して26歳で入社しました。

齋藤さん:1991年から10年間日本で営業の経験を積み、その後、2001年から2008年、米の子会社社長を務めました。帰国後の2009年に取締役社長に就任しました。

齋藤さん:2016年、先代の父と、叔父である専務が経営から身を引きました。その時初めて、「会社を継ぐんだ」という気持ちを強く感じました。経営を自分ごとと思えるようになりました。

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-創業から88年。齋藤さんは3代目なんですね。

齋藤さん:手前味噌ですが、秀でたものがなければ続いていないと思います。とはいえ、プラスのものだけではないかもしれない。きれいごとではないマイナスの面もあるでしょう。言葉は悪いですが、ヘドロみたいにこびりついているものがあるかもしれませんが、これを如何にに変化させることができるか。ヘドロを認識すること。何故そうなったのかを考えることが大事だと思っています。そこに価値もある。ヘドロ=捨てる・必要の無い物とは考えない。

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-続いていると言えば、youtubeのラジオ配信「トモとリエコの“モノづくりサポーターズ”」でのDJも8年以上続いているんですね。

齋藤さん:話すのが好きなんです。インスピレーションがわきますから。

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-齋藤さんは、今日の最初のアジェンダの確認の時、しっかりとメモを取りながらお話を聴いてくれましたが、しっかりと聴いてくれる人なんだな、と感じました。メモについて、部下の方達に伝えていることはありますか。

齋藤さん:メモは、大事だな、と思ったことは取るようにしていますが、自分はそんなに取る方ではないです。後で大事だな、と思ったことを振り返りの際に書き出すことはありますが。

齋藤さん:メモを取る取らないというのははあくまでも手段です。本人が覚えていられるなら取らなくてもよい。メモを取れ、と強制するのはどうなのかな、と思います。強制するというのは、相手に考えさせていないということになりますから。取るのなら、なぜ取るのかということを自分で見据えないと。例えば、同じミスを繰り返さないように取るという目的があるのであればそれは良いと思います。

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-育成についてのお考えを教えてください。

齋藤さん:環境を整えることだと思っています。植物を育てる時、人間にできることは意外と少ない。例えば、幹にメスを入れて伸ばすことはできますが、それも植物の生命力があるからこそ。できるのはやはり環境を整えるだけ。

齋藤さん:物事を見る視点を示唆してあげることも大事なことです。その上で、自分で考える状況を作らせることを意識しています。あと、失敗への寛容が重要だと思います。私も分かったように話していますができていません。

-具体的にはどのように育成を行っているのですか。

齋藤さん:育成といっても、座学をやっているわけではなく、ベースはOJTです。新人には工場で1,2か月、各工程を回ってもらいます。新人や後輩に教える人・指南役をその工程ごとに指名しています。

齋藤さん:兼務できる人材を作らないと、というのが中小の課題です。多能工の発展型。レストランに例えるなら、厨房で料理を作り、ウェイターとして料理を運び、レジ打ちをして。全員がそういう風にできるわけではありませんが、一人でもそういう人がいると組織の効率が上がり、コスト削減にもつながります。

-本社と宮城の工場を行き来されているんですね。

齋藤さん:宮城の工場には45人ほど勤務しているのですが、工場長はじめ、各部署の部長やその下の補佐やリーダーなどにOJTをお願いしています。伝えたいのは、個人商店ではなく、チームだよ、ということ。要所要所でまとめられる人材を作らないといけません。それと共に行動倫理を伝えていくこと。全体の底上げを目指しています。

齋藤さん:育成で肝心なのは、「いつも見ているよ」と部下に伝えること。そこを部下に分かってもらえればいいなと思います。

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-リーダーシップについてはどうお考えですか。

齋藤さん:強力なリーダーシップの下で、という時代ではありません。その場合、そのあとの人が苦労しますから。多様性が大事です。とはいえ、引っ張り方を工夫する必要はあります。例えば、大河ドラマの「鎌倉殿の13人」。あれはダメだと思います。合議は総花的になってしまう。物事が決められない。合理性とは違う多様性ですね。

齋藤さん:少し話がずれますが、中小の社長は社内でチヤホヤされます。そしてともすると出不精になり、ドン・キホーテや裸の王様に。自ら外に出る努力をしないとと思っています。

齋藤さん:色々なセミナーや講演に出かけるのですが、今どきのスタートアップで理解不能なところがある講演がありました。タイムカードがないとか、フルリモートとか。時間管理がない中、どうやってパフォーマンスを上げるのか。若い人はそれでもパフォーマンスを上げ、働きやすいのだと言います。といって放任でもないそうなんですね。そういうメリットがあるなら、理解不能と言っているだけでなく、修正しないといけない。若い人から学ばないと。

-大事ですよね。

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-次期リーダーの方達への接し方で心掛けていることはありますか。

齋藤さん:「部下に任せた」と言っておいて、ひっくり返すのはどうなのかと思う。任せたのなら最後まで任せきる。リスクは自分が取ればよいと思っています。

齋藤さん:自分が考えている「部下への思い」というものを、次期リーダーと共有できてきました。今は苦労をしている時ですが、頑張ってもらいたいですね。

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-齋藤さんが思う自律型人材とはどんな人でしょうか。

齋藤さん:自分が一番良いと思う方法を取ればよいと思います。その方法を実行できるのが自律型人材です。

齋藤さん:起業とは、セルフエンプロイメントと言いますが、個性を強みにすることです。オンリーワン。右向け右ではなく。もちろん、組織にいるのであれば協調することも必要ですが。

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-最後に、これから起業を目指す若者にメッセージをお願いします。

齋藤さん:孤立を恐れるな、人と違うことを恐れるな、ということです。目指すのは逆張りでもよい。レッドオーシャンは存在するモノですが、ブルーオーシャンは作るもの。ニッチトップを作ってください。

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「対話型OJT」を献本させていただきました。

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「会社としての目標は、『友達に紹介したい会社』『子供を入れたい会社』にすること」という齋藤さん。「いつも見ているよ」という気持ちが伝わる温かい眼差しが印象的でした。

齋藤さん、どうもありがとうございました!

 

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