THINK AGAIN
THINK AGAIN
アダム・グラント
1 今、自分の「思考モード」を見直せ
・考えたり、話をしたりするとき、無意識に3つの職業の思考モード、「牧師」「検察官」「政治家」に切り替わる。
・メンタル・アジリティ(思考の敏捷性)が向上するんは、科学者の思考モードにいる時。
・既存のものを変えることに抵抗する人には、変わらずに残るものを提示するのが有効。
2 どうすれば「思考の盲点」に気づけるか
・「アームチェアー・クオーターバック症候群(自信過剰の知ったかぶり)」と「インポスター症候群(ペテン師)」。
・「ダニング=クルーガー効果」。能力に低い人は多くの状況において、自己の不適格性を認識できない。人は能力が欠如している時、自信過剰になる傾向。
・自信過剰になりやすいのは、ド素人からワンステップ進み、アマチュアになった時。(中略)微々たる情報で満足し、それをもとに意見を言ったりしていると、「マウント・ステューピッド」(自信過剰・優越の錯覚)のてっぺんにいることにも、盲目になっていることにも気づけない。
3 「自分の間違い」を発見する喜び
・ギバー(惜しみなく与える人)はテイカー(自分の利益を優先する人)やマッチャ―(損得のバランスを取る人)よりも多くの過ちを犯すが、成功する確率も高い。
・自身の過ちを認めることで能力が過小評価されることはない。誠実さ、学ぼうとする前向きな姿勢のあらわれ。
4 「熱い論戦」(グッドファイト)を恐れるな
・「なぜ」について討論する時、自分の見解への思い入れが強すぎて、相手の見解に対して否定的になるもの。建設的なグッドファイトを交えたければ、「どのように」について話し合うべき。
5 「敵」と見なすか、「ダンスの相手」と思うか
・一流の交渉人は、自分の論拠をごく少数しか提示しない。持論のベストポイントを薄めないため。弱い論拠は、たいがい強い論拠の効果を薄めてしまう。
・一流の交渉人は、5つの発言のうち少なくとも一つは質問。
・反論され、それを闘いとして受け止めた時は、反撃若しくは逃走する。ダンスとしてみれば、前進や後退の他の選択肢、サイドステップが。対話を持つことで、意見の対立の原因から関心をそらして、話し合いを発展させることに意識を集中。
・自慢したり謙遜したりするよりも、自信の最大の欠点を認める志願者により興味を持つ。
・聴衆のために考えるのではなく、聴衆に問いかけること。
6 「反目」と「憎悪」の連鎖を止めるために
・同じ思想を持つ人と交流する傾向があるため、極端な方向に流れやすいという「集団極性化」という心理現象。
・固定観念と言う不安定なジェンガのブロックを取り除くもっとも効果的な方法は、相手と向き合って話し合うこと。
7 「穏やかな傾聴」こそ人の心を開く
・「動機づけ面接」(Motivational Interviewing)というカウンセリング・アプローチ。他者の行動や考え方を変えることはできないという前提。人々を変えようとするのではなく、彼らが自力で変われるように、動機を見つける手助けをする。
・動機づけ面接の目標は、教えることではなく、過信サイクルから抜け出せるよう、新しい可能性を見つけられるように手を貸すこと。
・動機づけ面接の3つの技術。「開かれた質問を投げかける」「聞き返しを行う」「変わろうとする意志や能力を是認する」。
・動機づけ面接では、質問を投げかけて「維持トーク」に耳を傾け、「チェンジトーク」を引き出したのち、なぜ、どのように対象者が自分を変えていきたいか、質問を投げかけること。
・傾聴とは、質問するスキルと応答するスキルが一体となった能力。「相手の関心」に強い関心を持っていることを示さなければならない。「純粋な好奇心に満ちた質問」を投げかけること。「相手が考えを明確に表現できるよう」手助けをすれば、当事者全員に良い結果をもたらす。
・優れた傾聴者が賢く見せようとするのは、自分自身ではなく、対話の相手。
8 「平行線の対話」を打開していくには
・バイナリー・バイアス。複雑に連関した事象を二つのカテゴリーに分けることで単純化し、明確性、認知的閉鎖(問題に対して確固たる答えを求め、曖昧さを嫌う欲求)を手に入れようとする人間の基本的な傾向。対処法は「複雑化」。多種多様な観点を提示すること。
・「懐疑的な態度」とは、「科学的思考の本質、基盤」であり、事実の否定は「客観的な観点を持たない、機械的な拒否反応」。
・問題を単純化している見出しに出くわしたら、両極端の意見の間に他の見方があるのではと疑えば、バイナリー・バイアスに陥ることもなくなる。
・EQは、人の感情と関わる仕事においては有用であり、感情を重視しない業務においてはさほど意味がなく、時にはマイナスの効果も。
・ある実験では、会話の初めに相手に対して尊敬の念を継げると、敵視する姿勢が弱まり、より寛大になるという結果。
・非生産的で不毛な対話においては、参加者はポジティブかネガティブ化という限定的な感情に終始。心の単純化パターンに陥ったため、一つか二つの強い感情しか示さなかった。
・生産的な会話においては、参加者はより多様な感情を感じていた。
・再考できなくなる原因は、「感情の範囲が制限されていること」。
9 生涯にわたり「学び続ける力」を培う方法
・あるメタ分析では、講義形式とアクティブ・ラーニング、生徒の学習内容の習熟度がより上がるのはアクティブ・ラーニングという結果。
10 「いつものやりかた」を変革し続けるために
・再考が最も頻繁に行われるのは、学ぼうとする文化-成長こそがコア・バリューと位置付けられ、再考サイクルを回すことが日常になっているような環境。
・学びの文化を醸成するには、「心理的安全性」と「アカウンタビリティ」という組み合わせが必要。
・「成果の説明責任」だけではなく、「過程や手順についての説明責任(プロセス・アカウンタビリティ)」を果たし、判断を下す際に様々な選択がいかに慎重に検討されたのかを評価しなければならない。
・「プロセス・アカウンタビリティ」と「心理的安全性」は対局ではなく、独立して共存。心理的安全性があっても説明責任がない場合、コンフォートゾーンに留まりがち。その反対は、不安ゾーンの中で、口を閉ざしたままになりやすい。共存すれば「学習ゾーン」が形成される。
11 視野を広げて「人生プラン」を再考する
・自分の選択肢や可能性について再考するための最もシンプルな方法は、日々の行動を疑問視し、見直すこと。
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