利己的な遺伝子
利己的な遺伝子
リチャード・ドーキンス
1 人はなぜいるのか
・利他的に見える行為とは、表面上、あたかも利他主義者の死ぬ可能性を高め、同時に、受益者の生き延びる可能性を高めると思わせる行為。姿を変えた利己主義であることが多い。
2 自己複製子
・進化とは、自己複製し(遺伝子)がその防止にあらゆる努力を傾けているにもかかわらず、いやおうなしに起こってしまうという類のもの。
3 不滅のコイル
・遺伝子は前途の見通しを持たない、前もって計画を立てない、遺伝子はただいるだけ。
・遺伝子は不死身と言えるに近い遺伝単位として定義。
・DNAの真の目的は生き延びることであり、それ以上でも以下でもない。余分なDNAは無害だが役に立たない旅人。
4 遺伝子機械
・遺伝子は自らの利益のために予測できる限りの不慮の出来事に対処するための規則と忠告を前もってプログラムして、あらかじめ最善の策を講じておくことだけ。
5 攻撃 ー 安定性と利己的機械
・進化とは、絶え間ない上昇ではなく、安定した水準から安定した水準への不連続な前身の繰り返し。
6 遺伝子道
7 家族計画
・子育て、子作り両戦略のさまざまな混合戦略が進化的に安定となり得る。進化的に安定となり得ない戦略は純粋な子育て戦略。子育てに没頭して子を産まぬ状態になれば、この個体群は小作り専門に突然変異した諸個体に牛耳られてしまう。
・遺伝子の利己性の観点から見れば、幼い兄弟を育てることと、幼い息子を育てることの間に原理的な差異は全くない。
・彼女は子作りと子育ての間で収支勘定をつけなければならない。
8 世代間の争い
・子供に詐欺行為を行わせる傾向を持つ遺伝子が、遺伝子プール内で有利さを示す。(中略)子供たちに利他主義を教え込まなければならないということ。生物学的本性の一部に利他主義が組み込まれていると期待するわけにはいかない。
9 雄と雌の争い
・雄に求愛の給餌を要求。ある種の退行を起こして雛の時期の行動を示している。この種の仕草は女性の幼児的な喋り方や口をとがらせる仕草を男性が愛らしく感ずるのと同様、雄鳥には抗しがたい魅力。(中略)求愛給餌は、雌雄が最初に子どもに対して加える投資量の格差を縮める効果。
10 僕の背中を掻いておくれ、お返しに背中をふみつけてやろう
・トリヴァースは、他者を騙す能力や詐欺を見破る能力、騙し屋だと思われるのを回避する能力などを強化する方向に働いた自然淘汰が、人間に備わる各種の心理的特性-妬み、罪悪感、感謝の念、道場その他-を形成したと主張。
11 ミーム ー 新登場の自己複製子
・人間を巡る特異性は「文化」という一つの言葉にほぼ要約。基本的には保守的でありながら、ある種の進化を生じ得る点で、文化的伝達は遺伝的伝達と類似。
・(ミームは)文化伝達の単位、あるいは模倣の単位という概念を伝える名詞。(中略)旋律や、観念、キャッチフレーズ、衣服のファッション、壺の作り方、アーチの建造法、いずれもミームの例。(中略)模倣と呼びうる過程を媒介として、脳から脳へ渡り歩く。
・知後に残せる二つのもの「遺伝子」と「ミーム」。(中略)(ミームに)唯一必要なことは、脳に模倣の能力がなければならないということだけ。
・個々の人間は基本的には利己的だとしても、意識的な先見能力には、盲目の自己複製子たちの引き起こす最悪の利己的暴挙から、我々を救い出す能力があるはず。
・遺伝子機械として組み立てられ、ミーム機械として強化されてきたが、これらの創造者に歯向かう力がある。唯一我々だけが、利己的な自己複製子たちの専制支配に反逆できる。
12 気のいい奴が一番になる
・(「囚人のジレンマ」におけるプログラムトーナメントにおいて)参加した15の戦略のうち、8つは「気がいい」。上位8位はどれも「気がいい」戦略という結果。
・勝利する戦略の二つの特徴「気のよさ」と「寛容さ」。
・戦略の成功は他にどんな戦略がたまたま提出されているかどうかにかかっている。
・心理学者たちが現実の人間の間で「反復囚人のジレンマ」ゲームを実施する時には、ほとんどすべてのプレイヤーが妬みの誘惑に屈し、相対的に乏しい金額しか得ることができない。
13 遺伝子の長い腕
・この章は(中略)今すぐ読むのをやめて「延長された表現型」に切り替えてほしい。
○今度読んでみようと思います。
・生存は繁殖と同じではなく、一種のトレードオフ。
・ある物が実質的な遺伝子のヴィークルとなるためには、内部の全ての遺伝子にとって公平な、未来に向けての退出経路を持たなければならない。
・プロペラエンジンを打ってジェットエンジンにしようとしてもできない。プロペラエンジンは廃棄して、製図版に戻らなければならない。(中略)祖先の設計の理念をDNAのプログラムの形で引き継ぐが、その祖先の肉体的な器官を引き継がない。
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