先日、夕学五十講、「テクノロジーが広げる人間の可能性」に参加してきました。講師は、東京大学先端科学技術研究センター身体情報学分野 教授の稲見昌彦さんです。

===

現在我々はSociety4.0とも位置付けられる情報化社会に生きています。そして情報化とは脱物質化・脱身体化とも換言できます。情報化により様々なサービスやビジネスが生まれました。今回のコロナ禍であっても、大学や企業において講義や会議を辛うじて行うことができたのも情報化の貢献といえるでしょう。しかしながら、現状の遠隔会議システムをはじめとする情報ツールを介したコミュニケーションにおける身体性の喪失により、諸問題が顕在化しつつあります。テレイグジスタンス技術やアバター技術、触覚技術などは情報化社会に身体性を取り戻す、いわばポスト身体社会を目指した試みともとらえることができます。本講義ではポスト身体社会における多様な身体性を扱うための研究「自在化身体」について紹介するとともに、テクノロジーが拡げる人間の可能性を展望します。

※紹介ページより

===

差し障りのない範囲で、備忘録として記しておきます。

===

・身体情報学。

・光学迷彩。車の内装に。外が視認できる。肉体の内部を見ながら外科手術。透視したかのような技術。

・「メタバース」は、稲見さんの周囲ではバズワード。広義では、60年代から始まっているといえるかも。「アウタースペース」(※宇宙)と「サイバースペース」。ITベンチャーが成功すると宇宙を目指すのはここに理由があるかも。

・国土交通省の「プラトー」。3D都市モデル。

・寺田寅彦さんの言葉、「天災は忘れた頃にやってくる」。災害の定義は「普段から起きないこと」。期間が長い、世代間を越えて。

・ウクライナの被害の把握。東大の渡邉英徳教授がデジタルマップ作製。メタバース的なもの。

・2020年の東大の卒業式。バーチャルで実施。安田講堂を学生が作成。そこから東大が公式に協力して「バーチャル東大プロジェクト」に。コロナ禍での使用。藤井総長がメタバースにハマった。

・ALSのピーターさん。喋れるうちにアバターを作成。キーボードを打つとピーターさんの声でアバターがしゃべっているように見える。稲見さんは車いすの生身のピータさんが映っているモニターと、アバターが映っているモニター2台の前で会話。当初は生身の方を見ていたが、徐々にアバターを見て会話するように。不思議な感覚。

・ピーターさんが亡くなったあと、蓄積したデータとAIが組み合わされば、死後も「クローン」として話せるのかも。1人称の死は避け得ないが、他者から見たら「クローン」も本人。

・情報化=脱身体化?

・2年ぶりのオープンキャンパスにて、学生から「研究の説明を対面で出来るのは楽しい」と。

・新体制そのものをDX化できないか。ポスト身体社会。「快適遠隔労働環境」の実現。

・筋肉間通信。振動モニター。トップアスリートの動きを学ぶ。

・身体の使い方をコーチングするのは難しい。

・自転車のペダルの踏み方は「上級者」と「中級者」は違う、とあるベテラン。下半身だけの映像を見てもらうと、どちらが上級者か当てられなかったが、上半身の映像を見せると当てることができた。「下半身」「ペダル」という思い込み。

・身体スキル学習アプリ「スキルサプリ」。自分のジャグリング動画を撮影して投稿して分析し、教示してもらう。熟達者の言語情報を収集。

・「自動化」と「自在化」。自動化は「やりたくないこと」を人間の代替としてロボットに。自在化は「やりたいこと」を人間拡張としてのサイボーグ。

・自在化身体。バーチャルサイボーグ。

・ロボットの二人羽織。離れて操作してもらう。最初は「気持ち悪い」が、段々息が合ってくる。インストラクターに引っ張られるうちに、相手に好意を持つように。仲良くなってくる。操作側はモニター越しに相手の顔が間近に見えている。

○zoom+触覚というのもありかも。

・6thフィンガー(ロボット)。前腕部を強収縮させると動かせる。慣れてくると体性感覚野と運動感覚野をモニターすると反応が変化した。小指の感覚が曖昧に。外したあと、さみしい気持ちに。

○脳の新しい使い方?

・「百聞は一見に如かず」をもじり?、松下幸之助さん曰く「百見は一験に如かず」。

・靴紐の結び方を口で教えるのは難しい。説明し、映像を見せてやってみる。

○youtube。

・人とAIの分担ができるように?

・環境によって能力を失ったり、引き出したり。今日できないことが明日になればできるようになることも。技術の拡張であり、価値。

・VRけん玉。HMD(ヘッドマウントディスプレイ)にて練習。ゆっくり動画に合わせて、まずは小さな成功を。

○けん玉が苦手な人も、この装置であっという間にできるようになった動画を見せてもらいました。これはすごい。

・脳力は「人と人」、「人と環境」の相互作用。

・身体が心にどう働きかけるか。とある実験にて。リモートでブレスト。「笑顔アプリ」を使用すると、1.5倍の効果が。笑顔アプリで感情労働からの解放。

○これもすごい。人は見た目に騙されますが、疲れるのも事実。ただ、ますますリアルが希薄になっていく怖さもあります。

・別の実験。VRにて白人女性が黒人女性に変身。実験後、廊下で大柄な黒人男性とすれ違う際に恐怖感が減少。アインシュタインに変身した場合は、その後のテストで計算問題のスピード増。

・プラセボ。薬理的なもの。情報的な作用も。「痛いの痛いの飛んでけ」。

===

質疑応答

===

Q.動物には?人との違いは?

A.ブレインマシンインターフェイス。電極をマウスに。ベルトコンベア上にマウスを置き、先には餌場。最初は走っていくが、そのうち、ベルトコンベアに身を任せるように。サルにロボットの手を装着した時も、そのうち、ロボットハンドに身を任せる。新しい身体性の学習。人間は、道具の使用による可能性は他の動物よりも大きい。藤井壮太さんは、「将棋盤は頭に入っていない」と。3D以上?現人類のレガシーに?新しい思考形式。

Q.研究の実用化は?

A.筋肉間通信モニタは学生が企業を目指している。光学迷彩の内装はモデルカーを試作。直射日光の影響など、課題も。慶應時代、忍電動との共同でコントローラーの機能について特許。研究の世界は「一番」じゃなくちゃダメ。最新というのが大事。ビジネスはタイミング。「産学連携で新しいものを。ちなみに「パララックスマッピング」の論文の特許が切れた時に使われたので私には一銭も・・・。

○ちょっと寂しい(苦笑)。

===

私も、一つ質問させていただきました。

Q.6thフィンガーを外した時、寂しいと言っていたが、どの位の時間?

A.15分くらい。「行為所有感」と「身体所有感」。身体所有感はオーナーシップ。所有の概念は、「いつでも使える・動かせる」。シェアドエコノミーは行為主体でもあり、身体所有感でもある。フォートナイトの服は人によってはプラダ以上の価値。メタバースやデジタルにおける経済。

===

Q.身体が置き去りになっていないか。

A.技術は、人によっては他人事。サインコサインタンジェント。人間は道具で工夫してきた。「身体情報学」は、他人事を自分の身体に戻すために。もう一度体験に戻してあげること。「超人スポーツ競技」は、技術を身体・体験に。ディープラーニングは、他人事を学ばせる。国語・算数・理科・社会。1人称なのは図工や体育、音楽。金八先生的に言うと、「間」が抜けているのではないか。この「間」が社会的な動物である我々の次につながるのでは。

===

稲見先生、ありがとうございました!

 

応援クリック、励みになります!

にほんブログ村