あのころの未来

あのころの未来

最相葉月

・星は、風俗描写を避けているうちに、だんだん民話に近づいてきたと書いている。

・モグラ叩きは、どちらかが完全に打ち負かされるまで続く。単なる中傷と事実の内部告発をどのように見分けるのか。

・二足歩行の先に必要なモノがあるとしたら、ホンダのアシモやソニーのSDRの物語では。小児病棟の介護ロボットとして活躍させようとするならば、そのロボットがそばにいるだけで子供たちが元気になる物語がほしい。

・人間というのは群れる動物、群生の動物はお互いに皮膚の接触があることが生理的な安定のために大事。(中略)日本語で「手当て」と言うし、ドイツ語で「ベハンドゥルング」と、「手」がくる、治療で。

人は皮膚から癒やされる

あとがき

・中学以来、星新一を読み直したことはなかった。学校を卒業して友人と離ればなれになったように、星新一の本とも遠ざかった。星新一といえば、少年少女向けのSF小説だと思い込んでいた節もある。

・言葉にしようがないもの、どんなに言葉を尽くしてもこぼれてしまうもの、言葉よりずっと前からあって、今も未来も言葉の外側であり続けるもの。星はそれをすくい上げようとしていた。

「未来」を生きる智慧

・人間の知恵が発達すると共にその知恵を悪用する悪知恵の方も発達。結局どこまで行っても同じこと。悪知恵については星はずいぶんと書いているが、犯罪に利用されなければ、とずっと思っていた。

・科学も技術も使う人次第で、いかようにも悪用できてしまう。星は、頭の中で材料を組み替えながら、自分の願望と冷めた眼差しで人と社会の行く末を見つめていたような気がする(星新一夫人:香代子氏)。

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