プロカウンセラーの共感の技術
プロカウンセラーの共感の技術
杉原保史
1. 共感とは何か
・共感は、個人の境界線を越えてあなたと私の間に響きあう心の現象、つまり、「人と人とが関わり合い、互いに影響しあうプロセス」のことなのです。ですから共感は、ただ相手とぴったり同じ気持ちになることを指すわけではありません。
2. 孤独なのになぜ人と関わりたくないのか
・現代人は共感を恐れているのだと思います。「共感すること」は、ともすると「生きづらさ」をもたらすことが多いからです。
・こうした共感への恐れは、コミュニティをバラバラにし、コミュニティのメンバーに孤独をもたらします。
3. 苦境を乗り越える力
・ビジネスの世界においても、”共感”はもっと重視されてよいはずです。共感はコミュニケーションの最も重要な要素だからです。
・ビジネスの世界において共感が伴わないコミュニケーションが横行していることこそ、職場でのうつが増加している大きな要因だと私は思います。
4.「考えるな、感じろ」― ブルース・リーの教え
・このブルース・リーの教えは、カンフーの極意であると同時に、共感の極意でもあります。
・より正確に言うと、「感じていることに注意を向ける」ことが必要です。
6.相手の思いを受け取るように聴く
・誰かのために自分の時間を使うということは、人間にとって最も貴重なものを差し出す行為だとも言えるでしょう。
・感情はひとりでに、即時的に、オートマチックに伝播します。表情、視線、姿勢、声、しぐさ、それらのすべての複雑な組み合わせによって、おのずと伝わります。
・共感的に話を聴こうと思うのなら、その時間は相手のためのサービスの時間です。
〇サービスの時間を真心こめて提供できると、それがお金になりますね。
7.自分の意見は脇に置く
・差しあたり、あなたの意見は脇に置いておいて、「どういうこと?詳しく話してみて」と促してみるのです。
8.共感する気持ちを表現する
・自分の中に感じられることに注意を向けて、衝動的にすぐに行動に表さずじっくり感じてみる、そうして放っておくというのは、共感を深め、鍛えていくための手段なのです。
11.何が変化を促すのか
・専門的な悩み相談であるカウンセリングは、しばしば、二頭立ての馬車だといわれます。「受容」と「変化促進」という二頭の馬をうまく操ることがカウンセラーの仕事なのです。
13.「悲しいんです」「悲しいんだね」―共感と反射
・カウンセリングでは、鏡が像を反射して返すように、相手が伝えてきたものを反射して返す応答の型を「反射」と呼んでいます。たとえば、「悲しいんです」に対して、「悲しいんだね」というような感じです。非常にシンプルですが、実はこれがなかなかに難しい技術なのです。
〇オウム返しは、本当によく相手の話を聴かないとできません。
18.声のトーンを聴く
・相手の話の内容ばかりに注意を奪われていてはいけません。(中略)その内容を乗せて運んでいる乗り物である声に注意を向けましょう。
「声が乗り物」というのは、うなずかされました。乗り物を選ばないといけませんね。隣のコンビニに行くのに、新幹線に乗っていては意味がありません。
19.相づちの打ち方
・相づちにも上手下手があります。
・相づちを打つときには、音声のレベルで調子を合わせるのです。
・共感の表現は、決して言葉だけではありません。言葉が中心的なものでもありません。共感の表現の中心はむしろ言葉にはないのです。感じたことを表現していくとき、その中心は声や表情や視線や姿勢など、言葉以外の(非言語的な)ものにあります。
〇非言語コミュニケーション。
20.葛藤の両面に触れる
・共感的な対応をするためには、話を聴いていてそうした葛藤に出会っても、性急に白黒つけようとしないことが大切です。
25.相手を信じて賭ける勇気を持つ
・共感は時に戦いなのです。信じたもののために戦うことが避けられないならば、そうします。ただし、穏やかに、落ち着いて、力強く、そして、温かく。
〇落ち着いて、ということこそ、経験が必要かもしれませんね。落ち着ければ、優位に戦えます。感情的にならないこと。
28.ポジティブな感情への共感
・ポジティブな感情は、「健康増進的感情」とも呼ばれることがあるように、じくっりと味わうことによって、それ自体で、心身の健康を高めます。
31.自分の中にある認めたくない部分
・自分の中で以前は認めることができなかった部分に共感が広がることは、”生き方が変わる”ということです。”行動が変化する”ということです。
〇不思議と、そういう時はあっさりと認められるものなのでしょうね。なんでこだわっていたのかが不思議なくらい。
36.家族への共感はなぜ難しいのか
・魚にとって水は認識しにくいように、家族メンバーにとってその家族に特有の考え方や価値観や文化は認識しにくいものです。
・ある著名な精神分析家の先生は、(中略)「精神分析家としての実力をつける上で最も鍛えられた経験は何ですか?」と尋ねられて(中略)「家族との経験」と答えておられました。
〇家族を大切にしようとすれば、自分のわがままさを抑えないといけないということ。身内だからこそ甘えたくなりますが、甘えすぎると気遣いができなくなる。鍛えられますね。
39.まず模倣から始めよう
・深層心理学を切り拓いたカール・ユングが「自然に逆らうのが人間の自然な性質であると言っているように、何らの自覚も訓練もなしの自然の状態においては、「ありのままに自然に感じる」などということを、人はまずしないものです。
・進歩はしばしば模倣から始まるのです。形から入って、そこに魂が宿るのを待つのです。
〇ミラーリング、ミミクリ。
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