スタンフォード大学の共感の授業

スタンフォード大学の共感の授業

ジャミール・ザキ

プロローグ

・相手がどう感じているかを把握する「認知的共感」、同じ感情を持つのは「情動的共感」、相手の状況を何とかしたいと望むのは「共感的配慮」。

・人間は複数人、数百人の悲劇に対してよりも、たった一人の被害者に対しての方が、強く共感。

・共感は固定された素質ではなく、むしろスキルに近いことが明らかに。

第1章 共感は「本能」か

・他人に痛みを負わせた本人が、自己防衛のために相手を非難したり、非人間的に扱ったりする「道徳不活性化(モラル・ディスエンゲージメント)」。

・PTSDは軽減していく傾向。性暴力の被害者は事件から半年後に同じ症状を訴えるのは2分の1未満、帰還兵の場合はおよそ8分の1。他者の支えがあれば、トラウマ・サバイバーは比較的容易に回復の道を進む(外傷後成長)。

第2章 僕らは共感を「選択」している

・共感とは心理的な心の綱引き。「人は『動機』によって引っ張られている」とクルト・レヴィン。「接近欲求」が動機なら行動する方へ、「回避欲求」が動機なら行動することから離れていく。

・感情は出来事に反応するのではなく、自分が「どう解釈したか」によって変わってくる。(中略)シェイクスピアはハムレットに「物事事態に良いも悪いもない。善悪を決めるのは思考だ」と語らせている。

・共感することを避けるとき、人はその過程で自分を傷つけている。人は他人に共感するとき、同時に自分自身のことも救っている。

・意図的な努力を通じて長期的な共感力を高められること、その過程で脳の形態が実際に変化することが明らかに。

第3章 敵に「接触」する

・「身内」と「よそ者」の境界線が共感力を台無しにする。苦しんでいるのがよそ者なら、人はあまり共感しない。

・「よそ者」に誰かを具体的に見知っていれば、人は相手に憎しみを抱きにくい。

・「接触」の効果は「他人に対する考え方を変えさせられるかどうか」という考えに、かつてのヘイト集団の当事者の考えは「自分自身に対する見方を変えられるかどうか」という問題と認識。

・セルフ・コンパッション(自分の短所を認めて受け入れる姿勢)と他者に対する共感は、コインの裏表であり、一緒に出てこないことが多い。(中略)彼らはセルフ・コンパッションが欠けていたが、接触の機会を得て回復。(中略)研究者は、接触をセルフ・コンパッション構築に役立てるやり方を探っている。

・未来の自分をありありと思い描くことができる人は、より賢明な行動をする。

第4章 「物語」を摂取する

・役者は演じるたびに、想像力を広げて他人の思考の中に入っていく。演技の訓練を通じて心の放流ができるなら、他人の気持ちを理解する共感の力も、演技で鍛えられるのでは。

○まさしく!

・医学生が演劇を学ぶと、患者に対して前よりも高い共感力を示すように。自閉症の子供が2週間の演劇プログラムを受けると、共感テストのスコアが伸び、家族との意思疎通も以前よりスムーズに。

・演劇の体験は「共感する」のほうへ引っ張る力に。(中略)「これは架空である」という距離があるので、共感に伴う負担は抑えられる。

○他人の苦痛を一緒に感じてしまう「情動的共感」は時には危険なものになるようですが、演劇で距離を置くことをトレーニングできると。

・熱心な読書家は読書量の少ない人と比べて、他人の気持ちを理解することが得意。たくさん読んでいる子供は、本嫌いの同年代と比べて、人の心を察する力が早く伸びる。

・チェンジング・ライブズ読書会の効果。再犯率が減少。再犯しても、重罪率は少ない。読書が共感力を高めたからだと考えられる。

第5章 「共感疲れ」を回避する

・共感力のある医師が担当した患者は、ケアに対して高い満足を示しやすく、医師に指示されたことを比較的きちんと守る。距離を置く医師が担当した患者よりも、短期間で回復する傾向も。

・有害事象の後にカウンセリングを活用した看護師は、そうでない看護師と比べ、休職や退職に至る確率が低いことが確認された。

・「共感的苦痛」と「共感的配慮」を区別。自分の苦痛として感じる共感は、医師や看護師やソーシャルワーカーをバーンアウトに引きずり込む。相手のこととして慮る共感なら、相手の痛みを引き受けずに、患者に心を寄せる道に。こうしたケアギバーは共感疲労に苦しむことが少ない。

第6章 共感は「流行」する

・トム・タイラーの研究では、立場の強い人間-患者に対する医師、市民に対する警官など-が隠し事をせず、公平な態度で相手の意見に真剣に耳を傾ける姿勢を見せていれば、苦痛や処罰を与える場面でも、相手に尊敬されることが明らかに。

第7章 テクノロジーで「善意」の循環を

・テクノロジーは共感力を殺す現代最大の脅威。

・教会の見学ツアー。スマホを預けさせた被験者と、積極的に写真を撮ってフェイスブックに投稿を求めた被験者。ネットで体験を共有していた被験者は、見学の内容をあまり覚えていなかった。

・ネットの利用量が多い国ほど、共感力の平均レベルは低い。

・人に温かく接すると、満たされた気持ちになり、ストレスが緩和。高齢者がボランティア活動することで寿命が延びる例も。手を貸す側が対象に共感を抱くときほど、この法則が当てはまる。

エピローグ 未来に心を寄せ、「共感」を選び取ろう

・アリ・ウォラックのワークショップでは、参加者に自分の追悼記事を書かせる。TEDトークでも、「自分の人生が終わった先に対して、自分は何ができるかと考えてみてください」と語った。共感の長期思考を育てるにあたり重要。

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