星新一 一〇〇一話をつくった人

星新一 一〇〇一話をつくった人

最相葉月

序章 帽子

・「何もいらない。いまのわたしに必要なのは思い出だけだ。それは持っている」 - 鍵を帽子に縫い付けた理由の99%までがちょっとした遊び心に過ぎなかったとしても、1%の真意があるかもと想像。

第1章 パッカードと骸骨

・「義理という言葉があるが、これには強いられてやるという感じがあり、消極的である。しかるに、親切は自ら進んでなすことにして、積極的である」。

・根底から発想を転換することによって固定観念を覆し、新たな地平に目を向ける父親(星一)の言葉を生涯忘れることはなかった。

第2章 熔けた鉄 澄んだ空

・星一が何度となく親一に言い聞かせていたのは、「親方にならなくてはいかん」という言葉。他人の指示を待つのではなく、自分が先頭に立ち、自分の判断で行動せよ、という意味。

・ひとつの選択肢がつぶされても次を探し、即座に行動、それが星一のやり方。

第4章 空白の六年間

・(裁判などの揉め事に対し)大谷は銀行からおろしてきたばかりの札束を目の前に積んで話し合いに臨み、解決に。取りっぱぐれるよりも目の前の現金をもらった方が得だろうと相手に錯覚させる戦略。

・人間が原爆のような科学技術を手にしたからには、それに相応する高い精神を要し、科学小説はその一助になるとみなされ、この時点ではエンターテインメント性よりも精神性が求められていた。

第5章 円盤と宝石

・ある一定の評価を得られ多妻の思い上がり。これまでの自分とは違うと感じ、根拠のない自信が。過去を知られている自分とはできるだけ距離を置きたくなってくる。

第6章 ボッコちゃん

・創作に関わる人間には、何かを機に全てが開かれ、新しい領域に入ったと感ずる大きな転機があるが、第三者の客観的な評価、高い支持が得られてこそ。

第7章 バイロン卿の夢

・断片を組み合わせる場合は、いったん常識の枠を取り外し、取捨選択は最後の最後と思いながら、どんな低劣な組み合わせも次々に試し、その中で最良の組み合わせが見つかったら、それ以外は惜しくても捨てる。

○これは難しい。「感心しない副作用が発生」と考えたそうですが・・・。

第8章 思索販売業

・本格か変格かの分類などさほど意味なく、作家として書きたい内容があり、それが読まれることこそ何より重要。

○ビジネスの本質に通じます。

・常識を知ってこそ常識の外から常識を逸脱するアイデアが生まれる。常識は時に本質から目を背けさせ、空疎な建前となる。本質を覆い隠そうとする世間の度肝を抜くためにはまず常識をわきまえていなければならない。

第9章 あのころの未来

・「人民は弱し 官吏は強し」と「鍵」は表裏一体。星一の名誉回復は、新一をも回復。

第10章 頭の大きなロボット

○新井素子さんを見出した星新一さん。中学時代に書いた作文、「読書の楽しさ素晴らしさ」で紹介したのが、「ブランコの向こうで」と「グリーンレクイエム」。自身の思い出がリンクしました。知らなかったことが紐解かれる出来事が続きます。

第12章 東京に原爆を!

・「私は気づかずにいたが、本質は民話作家なのかもしれない」。

・1001編の業績が文学的評価を得ていたならば、これまでの苦行の日々も報われ、賞賛の一つで人は人生を肯定的に総括できるはず。表舞台から身を引いても安らかな余生を過ごすことができたであろうが、それは叶わなかった。

○プリズンホテルの主人公の作家、「木戸孝之介」は最後に昇華しました。もしかして浅田次郎さんは・・・。

・「この抜け殻を見よ。私から目を逸らすな」 - と。

あとがき

・子供の頃にあれほど引き込まれた作家のことを自分は何も知らない。引き込まれたのに、物語の内容は全く忘れている。それでも、心に落ちている小さなかけらがある。そのかけらの正体を見極めてみたかった。

○多くの人が忘れていたこと、気づいていなかったことをこうして刻み付けていただけこと、本当に感謝です。最相先生、ありがとうございます。

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