再興 THE KAISHA
再興 THE KAISHA
ウリケ・シェーデ
第1章 <イントロダクション>ビジネス再興
・外からは日本の変革ペースの遅さに、停滞しているという誤解したり無能だと思われるが、このスローペースは明らかに計画的なもの。
・タイトな文化とルーズな文化という概念(正しい行動についての共通の合意)は、日本人経営者の行動を理解するのに役立つ。(中略)手続き、礼儀作法、全ての利害関係者への配慮が非常に重視される。
・「ナッジ」や「シェイミング」は「社会的証明」を気にする場合、つまり周囲の人々の行動を真似る傾向のあるタイトな文化では効果的。
第2章 <前提条件>タイトな文化における企業刷新
・日本における企業カルチャーの変革マネジメントにおける最大の課題は、どこに抵抗感が残っているかを見極めること。(中略)研究によると、中間管理職や部長クラスの抵抗が日本のリインベンションの障害に。
第3章 <背景>日本の経済発展 ー 終身雇用を通じた安定
・失われた20年の間、低い経済成長率、低い生産性、政府債務の増加、株式市場の停滞、世界から見向きもされない無力感を味わうが、振り返ると、政治的、経済的、社会的な安定を極力維持することで、社会的な転換が限定的になってコストが抑制され、長期的には大きな恩恵。
第4章<新・日本企業の戦略>集合ニッチ戦略
・すべての生産段階に同等の価値があるわけでなく、独自のテクノロジーを持ち、難しい生産プロセスに精通することにより、付加価値も利益率も高くなる。
・法律制定と比べてナッジのメリットは、法律を起草する必要がないのでスピード感があり、受け入れ率が高く、制裁の必要性が少ないことなど。(中略)日本のタイトな文化の中で、ナッジとシェイミングは特に強力なツール。
第5章 <インパクト>グローバル・ビジネスにおける日本の影響力
・人口減少や人出不足を考えれば、規模の拡大は利益率ほど重要ではなく、日本企業はものづくりのスキルをカスタマイズされた高粗利益率のディープテクノロジーというニッチ分野に集中させられる。
・日本は中国の製造業者を他のアジア地域の労働力に置き換えられるので、依存度はそれほど高くない。
第6章 <マネジメントの変革>ガバナンス、スチュワードシップ、役員報酬
・JPX400の主目的は基準に達しない企業に恥をかかせること。(中略)口に出さなくても誰もがわかるさりげないシェイミング。
第7章 <ファイナンス市場>プライベート・エクイティとM&A
・(東京の金融業界で)企業の信頼を裏切るファンドであれば、次の取引で成功する可能性は大幅に低下。(中略)経営者たちはどのファンド・マネジャーが約束を守るか知っている。約束を破れば許すことなくずっと覚えている傾向。
・礼儀正しく思いやりのある建設的な投資が経済合理性を持ちうる。
第8章 <ビジネス再興の実行>行動様式の変革
・破壊的変化に直面しても、強いカルチャーが根付いた企業は、明らかにもはや機能しなくなっているのに、最初に成功した行動を一層強化することが多い。
・クールビズの取り組みは変化の機会をうまく捉えたもの。(中略)タイトな文化では不確実性に対して疑念が生じるので、本社の人事部は、許される服装に関する新しい規則を説明するために情報提供したり、社内の行動規範を改定したりと、慎重なお膳立て。
第9章 <雇用とイノベーション>カイシャの再興
・リクルート。起業を奨励しながら、彼らを自社の周辺に留め続ける。
・シリコンバレーでは、スタートアップ企業を大企業に売却することがイノベーションの主な原動力。(中略)大企業を巻き込むことが日本のアントレプレナーシップ問題を解決するカギ。
・終身雇用の社員には各自で起業しつつも傍に居続けてもらい、失敗したら給料をもらう立場に戻れる保険を提供するのは、起業家精神に対するバランスの取れたアプローチであり、日本ではうまくいく可能性が。
第10章 <前に進む日本>DXに向けたビジネス再興
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