問いのデザイン

問いのデザイン

安斎勇樹・塩瀬隆之

1章 問いのデザインとは何か

・問いは、思考と感情を刺激する。

・問う側が常に正解を知らないといけないというのは強迫観念のようなもの、問う側の理解度は、問われる側の思考や感情を刺激するのに直結しない。

・討論→「どちらの立場の意見が正しいかを決める話し合い」、議論→「合意形成や意思決定のための納得解を決める話し合い」、対話→「自由な雰囲気の中で行われる新たな意味づけを作る話し合い」、雑談→「自由な雰囲気の中で行われる気軽な挨拶や情報のやり取り」。

・「対話」というコミュニケーションの定義、「新しい関係性を構築すること」。

・社会構成主義では、「現実」と思っていることは客観的に測定できるものではなく、関係者のコミュニケーションによって意味づけられ、合意されたものだけが現実。(中略)「問題」とされている現実を解決するためには、当時者自身が対話を重ねて現実を再構築するしかない。

・問いは、創造的対話を通して、あたらな別の問いを生み出す。

・「問い」の定義、人々が創造的対話を通して認識と関係性を編みなおすための媒体。

2章 問題を捉え直す考え方

・「課題」の定義、関係者の間で「解決すべきだ」と前向きに合意された問題。

・問題の理解を深める段階では「よい問いかどうか」を考える必要はなく、素朴に沸き上がった問いを出発点として思考を巡らせたり、当事者にぶつけたりしながらその過程で問いを育てていけばよい。

〇「問いを育てる」、好きな言葉です。

3章 課題を定義する手順

・適切な期間を定めて、優先順位をつけながら、目標を「成果目標」「プロセス目標」「ビジョン」に分類して精緻化する。

○ビジョン:目的(抽象)、成果目標:目標(具体)、プロセス目標:方法・やり方

・自身の経験の中から「一生懸命考えぬいた目標」であることが重要で「目標が変化する」のは自身の成長。

・課題を定義したら、ワークショップを開催し、当事者同士で話し合う機会を持つだけで課題が解決され、目標に向かって前進していける場合も。

4章 ワークショップのデザイン

・ワークショップの定義、普段とは異なる視点から発想する、対話による学びと創造の方法。

・ワークショップデザインでまずやるべきことは、定義した課題を出発点にどのような「参加者の経験」が必要なのかをあぶりだし、「課題」を「経験」に翻訳すること。それらの経験を促進するトリガーとしてどんな問いかけが必要なのか複数の問いに変換し、プログラムを構成していく。

・「悪い問い」の効用。「悪い問いの条件」として挙げられていた要因に対し、「こういう側面からみると、意外に良い問いなのでは?」という意見がきっかけで討論に発展するケースが大半。

5章 ファシリテーションの技法

・ファシリテーターの芸風、「場に対するコミュニケーションスタンス」「場を握り、変化を起こすための武器」「学習と創造の場づくりに関する信念」。

・初心者であればあるほど、自分の元々のコミュニケーションの特性とは真逆のタイプに対してファシリテーターとしての憧れを抱く傾向。

・ワークショップの参加者の動機は人それぞれで、(中略)ファシリテーターがイントロダクションですべきことは、多様な参加者の目線を揃えて、全員が「なぜこのワークショップに参加するのか」に納得する状況を作り出すこと。

・ファシリテーターは、何のために「知る活動」をやっていたのか、「創る活動」にどのように接続されているのか、問いと問いのつながりを明示することが大切。

6章 企業、地域、学校の課題を解決する

・そうした対話の流れから「業務を遂行するためにオフィスが必要なのではなく、その企業のアイデンティティが感じられるところがオフィスの価値では」「鳥居をくぐって参拝することで神様を感じることができる『神社』に似ているのでは」という意見が飛び交い(後略)。

〇オフィスの有無を論じる際の良いメタファだなと思います。

(※チャレンジングな経験を子供に経験させる機会があっても)大人が躊躇することも少なくない。これこそが教育の「Denial of the Oppotunity(機会の拒絶)」の一つかもしれないが、この機会を奪っている大人が必ずしも悪気があってそうしているとは限らないのが根深い問題。

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