【NPO法人シンフォニア】山下真由美さん

板橋区の起業家インタビュ、第25回目は「株式会社サイトウ製作所」の齋藤さんからのご紹介で「NPO法人シンフォニア」理事長であり、板橋区認可保育園「はぁもにぃ保育園」園長の山下真由美さんにお話を伺いました。

  <NPO法人シンフォニア はぁもにぃ保育園>

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齋藤さんからのご紹介の際、「林さん、『インタビュー後、保育園が力を入れている事の一つである、給食も食べていってください!』って山下さんが言ってたよ」と嬉しいお言葉をいただき、齋藤さんとも日程を調整して、二人でお伺いしました。

インタビュー後、美味しい給食をいただきました♪

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-前職は大手の研修会社にお勤めだったんですね。

山下さん:はい。(株)日本創造教育研究所に新卒から8年間勤務していました。担当企業様の研修派遣計画を立案したり、研修の運営などを行っていました。

-前職ではかなりバリバリ働かれていたんですね。

山下さん:はい。仕事は楽しかったですし、研修も大好きでした。新卒で入った会社で、上司にもお客様にも可愛がってもらい、育ててもらいました。良くも悪くも男社会の文化でしたから、「女性だから、つかえないとか思われたくない」と、がむしゃらに働いていました。徹夜の日も何日もありましたし、妊娠中も働いていたのですが、東京駅で倒れたりしたこともあって、上司に迎えに来てもらったりと今から考えると、身体に負担をかけながら無理してましたね・・・・。

-それはそれは・・・!そして、出産後いったん復帰された後に我が子を入れたい保育園を創業されたんですよね?保育園創業にあたっては、お父様が背中をおしてくれたとお伺いしました。

山下さん:そうなんです。「いつまでサラリーマンしてるんだ!保育園がなかったら創ればいいじゃないか!今まで沢山の経営者と渡り歩いてきたんだろ。早くおまえも経営者になれ!」とだいぶ強めな背中の押し方でしたが・・・(笑)銀行とのやりとりや、資金繰りの仕方、父の経営しているマンションのテナントと空いていたマンションの1階部分を貸してもらったりと物理的な援助も沢山してもらい感謝しています。

―それは、素晴らしいお父様ですね。力強い後押しですね。今の山下さんの経営スタイルもお父さん仕込みなんですか?

山下さん:もちろん経営者として沢山教わることはありましたが、当時の私は正直、父に対して非常に犬猿してまして、父のようにだけはなりたくないとずっと反発していました。父にとっては、我が子がどんな厳しい社会の中でも這い上がってこれるようにという思いからでしょうが、幼少期からとても厳しく育てられ、なにか失敗をすると正座で何時間も怒られていた記憶しかなく、いつも父の前では緊張していましたし、大嫌いでした。だから、正直、父のように、頭ごなしに叱ったり強引な経営者にはなりたくないと心に決めていました(笑)

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-では、そんなお父様への半面教師的な思いもあって、職員さんに対して、人材育成を色々工夫されていらっしゃるんですね。

山下さん:実は、あんなに父のような厳しい経営者になりたくないと思っていましたが、皮肉なものです。創業したての頃は、保護者や地域からの評価をとても気にして、職員に対して厳しく指導していました。正直、初めて経営者になって右も左もわからないですし、怖くて、不安で毎日押しつぶされそうだったんですよね。だから職員を厳しくチェックしたり、細かく口うるさく指導していました。相当嫌な上司だったでしょうね。そして、あんなに嫌いだった、父のような経営者になっていることに罪悪感もありました。

2016年に、職員の3分の1が離職した時にはかなりのショックを受けました。その数年前には、「いたばし働きがいのある会社賞」や、雑誌のベスト保育園ランキング入りしたり。それでも、離職が増えてしまったのは、全部、経営者として私が未熟で至らないからだと毎日自分を責めていました。

私自身が心療内科で安定剤や睡眠導入剤を処方してもらう時期もありましたが、ある日、先輩経営者から「山下さんは、すごく生きづらそうだからカウンセラー、セラピストの岡部明美さんに会った方が良い」と勧められたんです。それですぐにセッションの申し込みをして心理学の勉強が始まりました。

―心理学を学び始めてから、どんな変化がありましたか?最近山下さんに出会った人は、以前の山下さんが想像できないと言っていますね。

山下さん:人間らしさを少しづつ見せ始めることができてきたと思います。鬼軍曹と言われていましたから(笑)。この2,3年で鎧を脱げたかなと思います。補正下着もとれたかな(笑)。幼少期に両親から強く教育された「こうあるべき」、「こうあらねば」というようなものに囚われてガチガチに自分も周りも縛っていたことに気づきました。人のことが怖かったり、どう接していいかわからなかったり、だから変に強がってみたりして、非常に生きづらさを感じていましたが、すごく楽になれたというかんじですね。

山下さん:仕事面では、以前は全てにおいて自分が管理しないと気が済まなかったのですが、人に任せられるようになりました。部下の提案に対しても「あなたはどうしたい?やってみたら?」と働きかけることができるようになりました。

山下さん:今年度の経営方針は「対話」です。この3年ほどは変えていません。職員一人ひとりが本音を語りあって、自分に正直に、ダメで未熟な自分も受け入れて、自分らしさを大事に仕事をしていってもらいたいし、私自身もそうありたいと願っています。

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-育成についてもう少し具体的にお考えを教えてください。

山下さん:職員会議ではどんな意見も言える場を心掛けています。特に、立場の弱い新人や、非常勤の方の違和感などを吸い上げるようにしています。

山下さん:以前は出退勤の数分の雑談くらいしかありませんでしたが、今はできるだけ1人1人とコンタクトを取り、その人が今、何に興味関心があるのか、何を大事にして仕事をしているのかを知りたいと思って対話を心がけています。

-1人1人とのコンタクトは、どのように取られているんですか。

山下さん:小倉広さんの考案された「カウンセリング型1 on 1」を行っています。(インタビューしている)この部屋で実施しています。1回は30分程度、1カ月に1,2回くらいですね。人事考課や評価の面談ではなく、「この30分はあなたの時間だから、仕事のことでも家庭のことでも、良かったことでも、今不安に思ってることでも、なんでもいいので、あなたが話したいことを自由に聞かせて」と伝えています。アドバイスや解決はしません。職員からは「まゆみの部屋」と呼ばれています(笑)。

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-山下さんが思う自律型人材とはどんな人でしょうか。

山下さん:「自分のご機嫌を自分で取れる人」かな。自己理解をしていくこと、自分の良い部分も見たくないドロドロした部分も受容できること。例えば感情が「モヤモヤしている時」の原点は必ず自分の中にあります。人との関係は相手との関係のように一見感じますが、本当は自分の中の頭(こうすべき、ああすべき、普通は、みんなは・・・)と心(本音、本心、感情)の関係性に折り合いがついてないてことなんだと思っています。

山下さん:あと、これは自律型人材と直接関係するかわからないですけど、「公平と平等」の違いを理解して、公平を許容できる組織にしたいと思っています。一人ひとりできることと、できないこと。強みも弱みもあって、得手不得手もあると思うんですよ。でも組織の中では、平等を重視する傾向が多いような気がして。でも必ず不具合がおきてくると思うんですよね。その個人個人の違いを皆で理解し、受容し合い、優しい社会になったらいいなって思うんです。

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-最後に、これから起業を目指す若者にメッセージをお願いします。

山下さん:あなたしかない個性、自分にしかない強み、個性を掛け算することが必要だと思います。はぁもにぃ保育園は、「音楽」×「食事」×「人材育成」です。「×3」が、唯一無二のコアコンピタンスになると思います。自分にしかできないことで社会貢献したり、自分もまわりも幸せになれたらいいですね。

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「対話型OJT」を献本させていただきました。

インタビュアーの林(ラーンフォレスト合同会社 代表社員)は、上記の「対話型OJT」をもとにした、新人の適応を促す「上手な仕事の教え方」を研修にてお伝えしています。

【OJTメンター研修・指導員研修】

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「自『立』は、自分の人生。自己一致をさせて、幸せになってほしい」という山下さん。飾らずに自己開示する様子に、職員の皆さんも救われたのだと思います。
山下さん、どうもありがとうございました!

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