【三興塗料株式会社】清水雄一郎さん

板橋区起業家インタビュー、第11回目は、原田左官工業所の原田さんよりご紹介をいただいた、前野町の【三興塗料株式会社】二代目社長の清水雄一郎さんにお話を伺いました。社名の「三興」は、先代の母校の松山商科大学(現 松山大学)の校訓「真実・実用・忠実」が由来だそうです。

ー「三実」を大事になさっているんですね。

清水さん:はい。当社に入社して8年経ち、平成27年に先代である父から社長を引き継ぐとき、松山大学を尋ねました。創業者の思いを大事にしたかったので、原点を確認するつもりでした。

ー会社を継ぐという気持ちは昔からあったんですか。

清水さん:長男でしたので、小さい時から漠然と思っていました。洗脳ですね(笑)。本気で考え始めたのは高校三年生の時でした。進路を決めるに当たり、どの大学を受けようかと家族に相談した時です。もともとは理系人間だったので、そちらの方に進む考えもありましたが、父に初めて面と向かって「継いでくれ」と言われたんです。その時、子どもの頃から働く姿をずっと見ていた両親はもちろん、ずっと会社で頑張ってくれているベテランの従業員皆を裏切れない、と強く思いました。

清水さん:家業を継ぐことを考えた時、将来を見据えて明治大学商学部に進みました。大学にいるうちに将来役立つであろう資格をできるだけ取ろうと思い、施工管理技士や危険物取扱者、簿記などを取得しました。卒業後は、まずは外で修業をと、日本ペイントで三年間お世話になりました。

ーホームページを拝見しましたが、若い人たちのインタビュー(先輩社員白書)が印象的でした。

清水さん:社長に就任して注力したことの一つが「人材確保」でした。若い人がせっかく入社したのに離職してしまうのは避けたいと思ったんです。うちは毎年新卒を最低一人は採用しているのですが、私が社長に就任してから離職は出ていません。

清水さん:卸業はハッキリ言ってしまえば特徴がないんです。その中でどうブランディングしていくか。ホームページもその一つとして捉え、板橋区内で知名度が上がり、名前を知ってもらえばという思いで作成しています。板橋区内で、と言えば、うちは転勤がないですから、板橋区が好きな人が入社してくれるという側面もありますね。

ー採用活動はどのようにされているのですか。

清水さん:母校の明治大学をはじめ、大東文化大学、大正大学で年に数回、講義をさせてもらっています。若い学生たちと話が出来るのは自分にも刺激になる良い機会だと思っています。そのご縁で就職課とのつながりができるのもありがたいですね。

ー就任以来、離職が出ていないというのは素晴らしいですね。

清水さん:就任前から、少しずつ準備をしていたことは力になっていると思います。就任以来、毎年「経営計画書」を作成し、従業員やステークホルダーと共有しています。

―一倉定先生の名前が入っていますね!

清水さん:何度も読み返しました。まだわからないこともありますが、とても役立っています。経営計画書は、我々の教科書のようなものです。一度作って終わりではなく、朝礼や会議の際には皆手元に置いています。

ー経営計画書を導入しようと思った理由を教えてください。

清水さん:社長就任以前、離職した方にお話を聞かせてもらった事があります。一言でいうと「会社の未来が見えない」ことがその理由でした。経営陣の頭の中に会社の未来があっても、社員にそれが見えないことで迷いが生じるんです。それを見える化したのが経営計画書。皆で企業理念、経営理念を共有することが大事だと思っています。

ー導入時、反発はなかったんですか。

清水さん:おかげさまで全くありませんでした。よく聞かれますが(笑)。

―先ほど清水さんをお待ちしている間、隣から笑い声が聞こえてきましたが、社内の雰囲気が明るいですね。(※休憩中にお邪魔させていただいておりました(^-^;)

清水さん:社内の統括はマネジャーの姉がやってくれています。社内のもろもろのことの窓口です。皆のおかげでアットホームな社内になっていたら嬉しいですね。

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―「ボランティア塗装」について教えてください。

清水さん:CSRの一環で行っています。つい先日、「志村ペイント・プロジェクト」としての活動が完了したところです。たくさんの方達の協力で素敵なものができました。当社としては、社員が分散しながら全員参加で取り組んできたものです。制作中に何よりうれしかったのは、地域の人が声がけをしてくれるんですね。「何してるの」「大変だね」「道が明るくなって良いね」など、皆温かく見守ってくれているんだなと感じました。社員の皆が「やりがいがあって良かった」と言ってくれるのもうれしかったです。

清水さん:うちは卸売業なので、仕事として塗装することはほぼないんですが、お客さまからすると「塗装のことをわかってない」と見られても仕方がありません。このボランティア塗装を通じて、実際に作業体験ができることは貴重な経験になります。また、当社の塗料の宣伝にもなりますし、このプロジェクトは一石二鳥どころか、三鳥にも四鳥にもなりました。

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ー清水さんが考える「自律型人材」について教えてください。

清水さん:理念にもありますが、お客さまに喜ばれ、感謝されることを大事にしています。そのことを常に考え、行動する人が自律型人材だと思います。

清水さん:ちょっとそれますが、昨年の2月頃からのコロナ禍の初期、会社のルートでエタノールを仕入れることができたんです。当時は、世間では品薄になり、病院や介護施設、学校など消毒が必要な施設でも手に入れることが難しかったんです。うちにできることはなにかと考え、近所の施設に無償で配達して回りました。

清水さん:品薄状態が一段落した時、今後エタノールの販売を継続するか否かを社内で話し合ったんですが、ある社員がエタノール販売の継続を勧めてくれ、皆も同意してエタノールの販売強化の継続をしました。おかげさまで、現在もエタノールの販売は順調に売り上げを伸ばしています。

ー消毒の文化は、アフターコロナでも続いていきますよね。

清水さん:社員のリーダーシップの発揮が会社の力になったのはとても喜ばしいことです。

ーまさに「自律型人材」ですね。

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―次に続く起業家へのメッセージをお願いします。

清水さん:「日付を決めてアクションをしてほしい」ということです。ワタミの創業者の渡邉美樹さんに学生の頃お会いした時に印象に残った言葉が「夢に日付を」だったんです。日付をつけることで「じゃあ、どうしよう・・・」と、次の一手を考えることができます。30歳の時、「10年後に”『日本でいちばん大切にしたい会社』大賞”を取りたい!」と思い、まずは地元の賞を取るための行動をしてきました。そうして「第8回いたばし働きがいのある会社賞」をいただくことができたんです。そして、「第10回日本でいちばん大切にしたい会社大賞 審査委員会特別賞」を受賞することができました。目標を具体的に持って行動してほしいですね。

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「対話型OJT」を献本させていただきました。

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インタビュアーの林(ラーンフォレスト合同会社 代表社員)は、上記の「対話型OJT」をもとにした、新人の適応を促す「上手な仕事の教え方」を研修にてお伝えしています。

社員の皆さんと地域を愛する気持ちがひしひしと伝わってくるインタビューでした。

清水さん、どうもありがとうございました!

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インタビュー後、志村ペイント・プロジェクトを目指してウォーキング。

街が明るくなりました( ´∀` )

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