日本の地政学
日本の地政学
北野幸伯
第1章 ロシアの地政学 ー 緩衝地帯をめぐる争い
・悪意を持って世界地図を眺めれば、ロシアの地形は「どこからでも攻め込むことができる」。海に守られている日本とは根本的に「地政学的ポジション」が違う。ロシアの支配者は、広い国土を守るための方策が「緩衝地帯をつくること」。
○日本は海に守られている、と。
・ウクライナ戦争が始まる前、アメリカとロシアは19年間戦い続けていたという事実を知っておくべき。
・禁断の学問としての地政学で一番問題視されているのは、「生存権(レーベンスラウム)」という教え。国家が生存(=自給自足)するために必要な地域。国家が生存圏を確保するために国境を拡張するのは国家の権利、という考え方。
・ドゥーギンは世界の構造を、ランドパワー(大陸国家)対シーパワー(海洋国家)の対立とみる。ソ連崩壊後は、シーパワーのアメリカとランドパワーのロシアによる新冷戦。地政学的な見方。
・共産主義的な見方をしても、地政学的な見方をしても、「アメリカが最大の敵」という同じ結論に。
第2章 日本の地政学 ー 「東洋のイギリス」としての日本
・日本とイギリスは共に「外周の半月孤」に属し、「ユーラシア大陸のすぐ近く」に位置する島国。
・日本の敗戦理由。日本の行動の大前提に、「ロシアの南下政策を恐れる」があり、「だから緩衝国家をつくろう」だったが、これが必要なかった。「水の抑止力」に守られているので、「緩衝地帯は既に存在している」と考えるべきだった。
○過ぎたるは及ばざるがごとし、だったのでしょうか。
第3章 中国の地政学 ー 「東洋のドイツ」としての中国
・地図をひっくり返して中国側からみると、日本、特に沖縄、韓国、台湾が、海への出口を塞いでいることが分かる。もっと広い視点で見ると、加えてフィリピン、ベトナムなど、いわゆる親米勢力に包囲されている。
○こう見ると、確かに中国側からは圧迫感を感じる、というのも少しわかる気がします。仲良くなければ。
第4章 勝利の地政学 ー 英独関係から分かる日本の大戦略
・ドイツは「欧州最強」になった途端に(他国に対して)アグレッシブに。「東洋のドイツ」中国も、「アジア最強」になったとたんにアグレッシブに。二国の動きが相似。
第5章 これから世界で起こること
第6章 未来の繁栄のために
・(日本の)首相が増税をやめたければやめることができるのでは?、と考えてしまうが、そう単純な話でなく、『予算編成を担う財務省の力は強力です。彼らは、自分たちの意向に従わない政権を平気で倒しに来ますから』(安倍晋三回顧録 2022)。
・日本が、米中露に翻弄されない大国になるには、増税路線、緊縮財政路線を改め、経済成長する国に戻すことが不可欠。
・日本は報復関税を何もかけず、ひたすらトランプをなだめることに終始。「情けない外交」かもだが、ケンカ腰の人には、日米関係悪化のエスカレーションを阻止し、被害を最低限にするために「仕方ない」といえる。
・日本はアメリカとも欧州とも良好。両者の間に立ち、「民主シーパワー同盟」の崩壊を食い止めるべき。対中国である「クアッド」を維持し、NATOとの交流を強化拡大を。
・「独裁ランドパワー同盟」が勝利した世界には自由はない。日本は「民主シーパワー同盟」を守ることで、世界を救う。
○未来の日本に希望を持てる考え方、子供たちにも伝えたいですね。
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