日本心理劇学会第30回大会に参加させていただきました②
先日、標記大会に参加させていただきました。
差し障りの無い範囲で備忘録として記します。
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☆大会二日目
【大会長講演】
講演者は、共立女子大学の安藤嘉奈子先生。
・サイコドラマの起源、1887年。ドイツ語の「PSYCHODRAMEN」。
・科学と技術の狭間。心理劇の「深化」。科学の方向性と完全には一致しない。再現性や一貫性の間で揺れる。
・サープラス・リアリティ。時間と空間を超える。
・自発性は「思考」よりも「感情」。
・心理劇の真価と役割理論→「○○キャラ」。望んでいるのか、周囲からの目は?イジメに繋がらないか。周囲から見た自分となりたい自分の一致。
・役割を認知し、実現するためにロールプレイで成立させるのがヤコブ・モレノ。そこに期待を加えた、妻のザーカ・モレノ。
・「自己開示」とロールプレイは≓(ニア・イコール)。どこまで有効?
・ドイツで生まれた、マイノリティのための心理療法。相互に尊重すること。分かり合えていないことを前提として、「分かりますか?」と。非言語の役割が大きい。
・安藤先生のご子息、幼少期にドイツ。砂場で富士山を作るのがアイデンティティーだったかも。日本は留学剥がしをするが、「互いに違う」から始めないと。分かり合いたい。
【特別講演:わかりあえないことから】
講演者は、戯作家の平田オリザさん。
・高校の授業の選択肢に「演劇」が無いのは、日本を含めてOECD(経済協力開発機構)で3カ国だけ。
・演劇の先生(美術の先生、音楽の先生のような)と心理士がタッグを組んでカウンセリング。
○ここが無いからこその私の強みではあります。だからこそ、先々は必要なものだと強く思いました。
・初対面が苦手な日本の若者。進学校はアルバイト禁止だったり。
・「話しかける文化」との違い。緊張の感じ方が真逆。善し悪しや優劣を気にしない。
・2軸、横軸にコミュニケーションの種類、縦軸に学生1人1人の未来。切り分けて考えることを学生に伝えている。
・コミュニケーションと道徳が一緒くたにされている。
・国語の立体化。従来の日本は、作者の意図を解釈するのが「○」とされる。多様性を認める上で考えることが大事。
○正解は一つではない。
・台詞の解釈は国で変わる。
・「コンテクスト」は「文脈」と訳しているが、「どんなつもりで、その言葉を使っているのか」→コンテクストのずれ。ここがAIに対しての最後の領域かも。
・シャベルとスコップ、関東と関西では逆。
・間違えを訂正しながらコミュニケーションを取っていく。
===Q&A===
Q. 初等教育に演劇教育を導入したいが。
A. 非認知理解、思いやり、は難しいが、他者理解は可能。合意形成能力が弱い子供は多い。演じたりするのは大きい。つけたい力に対して、演劇は汎用性が高い。シンパシーからエンパシーへ。これからの多様性の日本に必要。同一性から共有性へ。同意はしないけど、理解に努める。
Q. 介護や認知症への活用は?
A. 演劇が注目されている。演劇情動療法。予防効果。脳と身体を別々に動かすことが大事。
【シンポジウム:心理劇の成熟と新しい展望】
藤堂先生:即興劇のルーツ、悲劇と喜劇。モレノはギリシャ悲劇を目指した。
大島先生:心理劇研究の特殊性、身体接触が生じる可能性。研究者として20年継続して、やっと。「旅人」には難しい。「住人」にならないと。研究支援は、芽を育てるのは多大な時間がかかるが、潰すのは一瞬。
岡嶋先生:拡大ミラー、ダブルの応用。間接誘導。
○トーク&シェアの手法は、読書会議に応用が利く!
横山先生:心理劇学会員は減り続けている。大学のポストを得て、学部生を育成する循環を。メタバース空間における「AIダブル」。織田信長や徳川家康さえ実現。アプリ開発は難しくない。アプリを使用したサイコドラマも。薬物療法で確立されていない分野に、心理劇が有効なことも。取って代わる可能性。口伝のモノを承継していかないと。「リワーク」という言葉の定義がかなり広義に。「Hikikomori」が医学用語に。日本のサイコドラマを海外に発信するべき。
===Q&A===
Q. ロールプレイは「ソシオドラマ」では。
A. ロールプレイの方が耳障りが良い。文科省もこちらを使用。安心感がある。ターミノロジーは大事であり、学ばないといけないが。アメリカに合わす必要があるのかといえば、必ずしもそうではない。日本化は否定しないし、文科省に合わせないと普及しない。
○普及を考えると確かに耳障りは大切。ロールプレイは大項目としても使いやすいと思います。
【心理劇:みんな、舞台の上で語ろう】
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○ファシリテーターが指示出しするときは、相手の名前を呼ばないと伝わらない。
○コンテクストのずれ。ここが最大の肝だと感じました。
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皆さま、どうもありがとうございました!
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