Humankind 希望の歴史 下

Humankind 希望の歴史 下

ルトガー・ブレグマン

第10章 共感はいかにして人の目を塞ぐか

・テロリストに見られる特徴は、影響されやすいこと。他人の意見に、権威に。家族や友達に正しいことをしていると見られたいし、そう思われることを行いたい。「彼らは互いのために、人を殺し、自ら死ぬのだ」。

・ベビー・ラボは、赤ん坊が馴染みのない顔、知らない匂い、外国語や聞き慣れないアクセントを好まないことを実証。生まれながらに外国人恐怖症のよう。

・より良い世界はより多くの共感から始まるのではなく、むしろ共感は寛大さを損なう。犠牲者に共感するほど、敵をひとまとめに「敵」と見なすように。(中略)共感と外国人恐怖症が密接につながっている。コインの表裏。

第11章 権力はいかにして腐敗するか

・権力の感覚が、共感において重要や役割を果たす精神プロセス「ミラーリング」を混乱させる。(中略)権力の影響の一つは、他者を否定的にみるようになること。

〇権力を持ったら、家中に張り紙をするべきなのでしょうか。

・文明の進化は、自らの特権を正当化する新たな方法を編み出し続けた支配者の歴史と見なすことができる。

第13章 内なるモチベーションの力

・「ものごとを難しくするのは簡単だが、簡単にするのは難しい」。マネジャーが複雑さを好むのは「その方がマネジャーの仕事は面白くなるから。この複雑なものをどうにかするには、私の助けが必要だ、と言えるから」。

・従業員を、責任感の強い信頼できる人として扱えば、彼らはそうなる。

第14章 ホモ・ルーデンス

・家畜化された動物は大人になっても遊び、ホモ・パピーほど子供時代が長い種はいない。遊びは人生に意味を与える。ヨハン・ホイジンガは、人間に「ホモ・ルーデンス(遊ぶ人)」と命名。「文化」と呼ぶものは全て遊びから生まれた。

・いじめが蔓延する場所、「トータル・インスティテューション(全制的施設)」。究極の例は刑務所で、いじめがはびこっている。老人ホームや学校。人間の遊び心を妨げる。

第15章 民主主義は、こんなふうに見える

・市民に力を与える市長は再選される可能性が高いため、市長は市民を参加させることによって最も利益を得る一人。

第16章 テロリストとお茶を飲む

・汚物のように扱えば、人は汚物になる。人間として扱えば、人間らしく振る舞う。

第17章 憎しみ、不正、偏見を防ぐ最善策

・「接触仮説」。偏見、憎しみ、人種差別は、交流の欠如から生まれる。見知らぬ人をぞんざいに扱うのは、その人のことをよく知らないから。治療法は、より多く交流すること。

・交流におけるたった一度のマイナスの経験が、ジョークや手助けより強い印象を残すことが明らかに。(中略)交流を通じて不快な経験をすることもあるが、良い経験の方が圧倒的に多い。悪は強い印象を残すが、善は、数の上ではるかに悪を上回る。

エピローグ

・時々は騙されるという事実を受け入れた方がはるかに良い、何故ならそれは、他人を信じるという人生の贅沢を味わうための、小さな代償だから。

・世界史上のほぼすべての哲学に共通する「黄金律(ゴールデンルール)」は、「自分がされたくないことを人にしてはいけない」。バリエーションの「白金律(プラチナルール)」は、「自分がしてもらいたいと思うことを他人にしてはいけない。その人の好みが自分と同じとは限らないからだ」。

・共感は、人を消耗させる。思いやりはエネルギーを搾り取らない。

・他者を理解するために、その人に同意する必要はない。他者を理性のレベルで理解するのは一つのスキル。鍛えることのできる筋肉。

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